見出し画像

雨が好きな話。

最近とあるサイトで連載をしているという
友人の記事を読んだ。
雨が嫌いな彼女が、雨を愛そうと外に出て
雨が好きだった小さな彼女を思い出したという記事だった。

雨が好きな私が
雨を嫌いな彼女の内側を覗いて
その記憶の中の小さな、雨の好きな彼女に出会った
とても素敵な経験をした。

私は雨が好きだ。
雨の日は頭がとても痛くなるし
ジメジメして、なんとなくどこも湿っていて
嫌な部分は上げれば沢山ある。

だけど私は雨が好きだ。
しとしと、ぽつぽつ、ぽたぽた、ザーザー。
全てを濡らしていく。
そのBGMに全てを委ねて
真っ暗な部屋で布団にくるまって
壁をじっと見つめる時間が好きだ。

夜中の頭の中はいつも
どんどん良くない考えに溺れていく。
だけど雨音のBGMで
思考は集中を遮られて
何も集中出来ずに、考える事をやめる。
雨はやまなくていいし、夜も明けないでほしい
闇と水に溺れていたい。
この感覚がとても気持ちがいい。

頭が痛い。寒い。メイクも崩れて前髪も割れる。
だけど、雨の日は静かで喧しい。
飾りも溶け落ちて私を裸にする。

晴れの日は
暖かくて、カラッと乾いていて
体の調子がとてもいい。
けど、静かな場所が見当たらない。
明るくて、みんな楽しそうで。
ジリジリと汗をかく、紫外線だって痛い。
とても嫌気がさす。ため息が出る。

私が一番好きな雨は夏の夕立。

ドタドタと重たくて大粒の雨、
もう傘をさしても色々濡れた。
ええい、いっそ濡れちまえ、と。
制服が透けるのも白い靴下が茶色く染まるのも気にせずに
タオルにスマホを包んで
リュックに捩じ込み、教科書で挟んで、
水没だけはしないようにと守ってバスからおりる。
濡れたアスファルトに飛び降りて雨を浴びながら一息。
よーい、ドン。
背中のリュックを揺らしながら
家まで一直線、およそ1キロ。
途中で呼吸も絶え絶えになって、諦めて
雨で荒れる川の上、小さい橋。
立ち止まって
雨に濡れた。
また走って家に到着。
冷房でキンキンに冷えた家の中で
凄い嫌な冷え方をしそうな、
雨を含んだ重たい体を脱衣所に運んで
一気に熱いシャワーを浴びて
雨と汗を洗い流した。

高校生の記憶が鮮明に蘇る。
この記憶が大好きだ。

雨が好きな理由は
余計な事を雨が閉ざしてくれるから。
無になれる。スッキリする。1人になれる。
自由になれる。
太陽も人も誰も私を見てない。
でっかい声で歌っても、誰も聞こえない。


雷と風の音は
ゴロゴロ、ドーン、ぴかっ。とか
ビュービューガタガタ。とか。不安を煽る音を出す
だからこの2つは、私も嫌いだ。

雨、雨だけでいい。
大粒の雨がやまなければいい。
運動会なんか潰れちまえ。
リア充のデート?潰れちまえ。
みんなが雨が嫌だとしかめる顔が
私は気に入っている。

頭痛とだるさと眠気に耐えるから
私を包んで、離さないで欲しい。

この記事が参加している募集

#スキしてみて

528,477件

#眠れない夜に

69,944件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?