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「絵本」ができるまで 表紙編

4/20にブックデザインをさせていただいた絵本が発売になりました。
今までいろんな印刷物を作ってきて、毎回印刷されて納品されると嬉しいんですが、今回の喜びはひとしおです。

こういった時世の中で作ってきて、発売されて嬉しいというか。
どうしてもリモート作業ができない紙屋さん、物流関係の方、印刷所・製本所の方、関わる方全てに感謝です。
あかね書房の編集Eさんとの方と打ち合わせをしたが2月中頃。印刷所に入稿した(データを送った)のは、3月中頃で、印刷所の方は休まなくて良いのかな…でも…、とぐるぐるとしたり。でも、美味しいものを作って食べるポポたちを見ると元気が出たし、ももろさんの描く色とりどりの季節の絵に、そしておいしそうなメリリルさんのレシピに救われながら、こんなに素敵な本が今こそあったら、家時間が幸せだろうな…どうにか発売されて欲しい…と思いながら製作していました。

作者のももろさんのお話もイラストも、とっても元気になり、読むだけでもすごく楽しく素敵な本なのですが、
この本を読んだ後にそのレシピを作って食べたらもっと最高に楽しめます。おいしいってすごい!



ところで、ブックデザインって何をしているかみなさん知ってます?

グラフィックデザイン、ブックデザイン、エディトリアルデザイン、DTPデザイナーと紙にまつわるデザイナーという職種に、いくつかあることを知っています?美大卒でエディトリアルの授業も取っていたと言うのに、私は社会人になってからこの違いを知りました。

グラフィックデザイン…本というより、平面上の1枚ものを作る仕事(ポスターとか) 平面上のデザイン、って言うのにパッケージやパンフも入ってきたりするので、紙にまつわるものをグラフィックって言っていると思い最近は生きてます。本もグラフィックといえばグラフィックですが…

本に関わるデザインとなる仕事はざっくりですがこの3つ

装丁家…本の表紙や表紙周りのデザイン、カバーやタイトルの文字とか。(昔はイラストを描いている人も装丁家って言ったりしてましたね)
あとはどういう印刷に、紙に、製本に、帯にするのか…など本の形を考えたり作る、という造本設計もしたりします。

エディトリアルデザイン…本の中身を作る。本文の書体選び、文字組みなど。奥付やノンブルなんかはこっち。

ブックデザイン…装丁家+エディトリアルデザイン

というイメージです。

今回の「ポポときせつのおかしづくり」
ブックデザインを担当したので、表紙などのデザインから中身までまるっとデザインしました。会社員時代、そしてフリーになってから本のデザインはいくつかしてきたのですが、絵本(児童書)は初めてでとても楽しかったです。今回驚いた違いは、奥付以外すべての漢字にルビ(振り仮名)を振るのか…!ということでした。あとノンブル(何ページかの表記)がないこと。

雑誌と書籍で一番の違いを感じるのは、判型や、印刷・製本について提案できるところです。本をつくっている〜!という感じがします(でも書籍の仕事でも全て決まっておりデザイン作業だけ、ということもあります)
今回は、表紙をどうするか、製本や印刷する紙、帯など本の形などをどうするか、色校確認と色調整(色調整は印刷所がやってくれるこことも)、デザイン+入稿作業でした。

表紙編

自分でリトルプレスをしていることもあり表紙の提案段階では、どういう絵の表紙にするか、というのを考えはじめる前に、どういう世代を対象としているのか、どういう子たちに手にとって欲しいのか?ということを明確にしておきたかったので、作家さんと編集さんに提案書を2回ほど作って送って、イメージを固めていきました。

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 ももろさんと編集Eさんにお送りした私が作った資料です。この前段階の提案書は他の絵本を例に出したりしているのでお見せできず…。デザインの仕事をどこまでやるのか、というのをいつも考えるのですが思考の整理をしないと制作に進めない性格のため、文字ベースの提案書をなるべく制作しています。

 私とEさんで、ももろさんの絵のどこが魅力的で思わず手に取りたくなるのかを考えているなかで生まれた案です。象とケーキが同じサイズだったり、かき氷であそぶペンギン…イラストならではの表現ですが、キャラクターテイストに寄りすぎずおいしそうな食べ物と動物で世界観をつくっているのが、ももろさんならでは!

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そして表紙の変遷です。
最初にももろさんが提案してくれたものからだいぶ変わりました。最初のものもかわいいけれど、一緒におかしづくりをしたくなるのはやっぱり最後の案かも。あと上記したももろさんの絵の魅力が増した感じがします。

 表紙は作品の「顔」でもあるんですが、販売の「顔」でもあるので、デザイナーや出版社の編集&営業さんの意見が入って修正が多くなる感じがします。この絵本をより魅力的に見せること、そして手にとってもらうためにはこう言う本です!という宣伝的な説明も必要です。

 中面の絵や物語は作家の制作したものなのでこうした修正はほぼないイメージです。表紙のイラストが固まったところで、やっとデザイン作業に入りました。

ポポときせつのおかしづくりカバー++

表紙イラストが決定しざっくり組んだラフですが、ももろさんの絵がとても可愛いく強いので、打ち文字(フォント)でも十分に素敵でした。
打ち文字を入れると少しレトロな雰囲気でこれもまた可愛い…のですが、中面のイメージと少しちがうのでタイトル文字を作ることに決めました。

タイトル編へつづきます



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