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感想&雑感:『幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える』前野隆司 , 小森谷浩志 , 天外伺朗 (著)

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで。

 今回は『幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える』の読書感想文で~す。

1.合理性が生み出した幸福のアプローチ

 著者の前野氏が幸福というアプローチに関心を持ったのが学生時代に指導教官ではない別の教官から言われた「それ、何の役に立つの?」という一言だそうです。役に立つ言葉それ自体の考え方の根源には合理性の要素はありそうですが、この一言を前野氏は卒業後エンジニアとして働く上でも自問自答されてきたそうです。そして突き詰めていって40歳となった歳に1つの答えにたどり着いたそうです。

 世の中の役に立つことの究極は、やはり人々を幸せにすることではないでしょうか。ものづくりに限らず、どんな仕事であれ、人々の幸せというものを軸にして考えないと、それが本当に世の中の役に立っているかどうかはわかりません。

 しかし実際幸せは人それぞれという疑問にぶつかり、著者の前野氏は幸せそのものにアプローチをした研究を始めたと著書内で挙げています。そして、幸せをメカニズムしていく過程で幸せには4つの因子があると著者は指摘しています。

第1因子「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)

第2因子「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)

第3因子「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)

第4因子「ありのままに!」因子(独立と自分らしさの因子)

 詳細は本をお読みいただきたいのですが、これらの因子は企業経営の前提となる利益の追求と同じぐらい会社の成長の源泉となりえると著者の前野氏は指摘していて、ブラック企業の対をなすホワイト企業の特徴の源泉にもなっているとのことです。

 自らの力で確固たる将来のキャリアビジョンを描いている・描くことができる人にとっては話は別かもしれまんが、多くの人は企業経営の前提となる利益追求の波に飲み込まれて忙しくなり、人としての本来の幸せを忘れてしまう可能性は高いかもしれません。これが幸福×経営の根源にある理念・考え方の1つにあるのかもしれないと思いました。

2.ホワイト企業の実際

 本書の第2章では前述しましたホワイト企業を表彰するホワイト企業大賞受賞企業の事例が連なっていますが、本書記載の事例で興味深かったなと想ったのが、第3回表彰で人間力経営賞を受賞しました有限会社アップライジングという会社です。

 創業社長である斎藤幸一氏は元々プロのボクサーだったが、若くして引退をしその後事業していた家族が商品先物取引に手を出して失敗したり自身も健康食品のネットワークビジネスに失敗した過去があり、一時は今のビジネスへと繋がるリサイクル事業でどん底を脱したけれど、家族と商売を巡って絶縁状態になってしまったという過去があるそうで、斎藤社長に掬う恨みの心を解き放ったのが実業家・斎藤一人氏の言葉だそうです。

「斎藤君、他人を許すのだよ。他人を許すと、自分の心も緩むから、自分の心が緩むと、体じゅうの筋肉が緩み、病気になりにくくなるから。また、自分の過去の行動・言動から後悔するのをやめて、自分を許すのだよ。自分を許すと、楽になるから」

 この言葉と出会った斎藤社長は、許すことは自分も変わり・相手も変わり、変わることは成長に繋がるという考え方から、障がいを持った方や過去に薬物に手を染めて数年更生施設に通っていた人等幅広い人たちを受け入れ、ミスや失敗を許しながら成長を促し、かけがえのない戦力として育てていったとの事です。

 そしてこの気持ち・考え方はは斎藤社長が若かれし頃持っていた利己の心から利他の心へ昇華させていって、社会貢献に寄与したりベトナム人の外国人技能実習生を受け入れたり、自社のベトナムの拠点を設置するといった流れにも広がっているそうです。

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