サービス業は"チームワーク"という幻想
私が旅館を経営するようになる前から、
そして今なお思い続けることに
『サービス業はなぜこうも生産性が低いのか?』があります.
しかし、最近その一つの答えを見つけれた気がします.
それは【サービス業は"チームワーク"という幻想を捨てるコト】
よくチームワークの重要性を説く標語として、こんな事が言われています。
この業界にいる人もそうでない人も上記のような言葉は聞いたことがあるはず.
式にすると非常にわかりやすく、もちろん私も共感しています.
しかし、共感してしまっていたからこそ、
この”チームワークの重要性”に必要以上に囚われていたことに気づきました.
我らサービス業の生産性を上げる一つの答えとして
主に星野リゾートさんが推進するマルチタスク*という働き方があります.
*マルチタスク……1人のスタッフがフロント▶︎清掃▶︎レストラン▶︎予約など複数部署の業務を時間毎に行う.
これは、素晴らしいシステムだと思っています.
しかし、私が経営する旅館でマルチタスクを実施しようとトライしたところ
明らかにスタッフのパフォーマンスが下がりました.
なぜそんなことが起きたのか??
その答えがまさに【サービス業は"チームワーク"という幻想】です.
ではその幻想を捨て、どのようなマインドで働くべきか?
それは【一人一殺】という考え方です.
文字にすると怖く見えてしまいますが、
要は「自分が担当した業務は自分1人で対処する」ということです.
サービス業以外で働く人や、元々こういった思想を持たれている方には
何言ってんの??と思われるかも知れませんが、
この業界では、このマインドが著しく欠如しています.
それは「チームワーク」という言葉が一人歩きしてしまっているからに他なりません.
(少し頑張れば1人で対応できる業務を)
・他の人と一緒にしようとする
・次のシフト(他者)に引き継ごうとする
こんなことを目にしたマネジメントはいらっしゃいませんか?
まさに我々の業界の生産効率を下げている大きな事象です.
具体例として、こんなことがありました.
弊宿ではお心付け(チップ)を頂いた場合、
フロントの台帳で一括管理し、再分配しています.
客室係Aさん(フロント経験有り)が、
「お心付けもらいました〜」とフロントに持ってきました.
これは暗にフロントBさんへ「台帳に記載し、入金処理して」というタスクの横流しの意味合いを含んでいます.
そもそもフロント経験のあるAさんは上記のタスクをこなすことができます.
それでもなお、こんなやり取りが日々行われてしまっているのは
無駄なセクショナリズムとチームワークを履き違えた結果です.
もっと分かりやすい例だと
何かクレームが起こった時に
複数人が集まって何か対処するでもなく
やいのやいの話しているだけの時間を見たことがありませんか?
生産性のかけらもありませんよね…
私はできる限りスタッフ教育の場において
この【一人一殺】のマインドを持って
まずは一人前になること.
そして、一流のプロフェッショナルとして行動することを目指して欲しいと伝えています.
"3人寄れば文殊の知恵"とは言いますが、
一人前にもなっていない者が何人集まっても1人のパフォーマンスにもなりません.
0.5 × 0.5 × 0.5 = 0.125 < 1
チームワークを説き、マルチタスクをやらせる前に
我々サービス業の経営者は
改めてスタッフ1人1人への研修と
プロフェッショナルマインドの強化が重要だなと.
自戒を込めて.
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