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日本庭園から見る中国文化③④~植栽~・~景物~

(構成・文:田中昭三)


箱松

日本庭園では石は自然の形のまま使うが、庭木は植栽としてほとんど手を加える。
高松市の栗林公園にある「箱松」は枝が下に向かい、苑路の松が箱状になっている。これは江戸時代の景観が変わらないように、 松を一定の高さに保ち続けるよう勇定したためだ。
箱松を下から見上げると、曲がりくねった枝が複雑に入り混じり、まるで抽象絵画を見ているようだ。
栗林公園の一角に、 自然の岩盤が岸壁状に露出しているところがある。そこは 「赤壁」 と名付けられているが、いうまでもなく中国湖北省の長江にある名勝赤壁に因んだ命名である。
栗林公園は、高松藩の城主が代々造営し今日の姿になった。江戸時代の大名庭園を代表する名園である。

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▲栗林公園の箱松。枝ぶりが美しい(写真:田中昭三)

大刈込

日本庭園ではサツキやツツジなどの植栽を円く刈込み、曲線の美しさを強調する。それを「玉物」といい、詩仙堂(京都市)の庭には大小の玉物が造られている。まるで現代アートを見るようだ。
頼久寺(岡山県高梁市)の大刈込は、海の大きな波を表現している。この庭の作者である小堀遠州(1597-1647)の発案で、他に類を見ないダイナミックな造景である。

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▲頼久寺の海の波を表現した大刈込.巨大な日本画のようだ(写真:牧野貞之)

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