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【詩】生命のかけら

暑い午後惰性で皿を洗っていると
流し台に黒く光る目玉
艶々と光を受けてこちらを見据えている
互いの視線が交差し
9秒ほど寿命が縮んだ

心臓が元通りに拍動を再開した途端
その黒い目玉の正体に気付く
なんだ、ただのすいかの種だ
さっきまでむしゃむしゃと食らっていただろうが
流し台の前に立ったまま、人差し指でほじくり落としたその種
やけに艶めかしいのはなぜだろうな

身体は勝手に皿洗いを続けている
皿を流した水と共に目玉は排水溝へ消えたが
夏はまだ続く

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