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#7 他にも彼女いますよ事件

2022年5月の出来事。

配信上の知り合いから、企画について協力して欲しいと言われ、彼にも報告した上でその知り合いと打ち合わせをしていた時だった。この知り合いを今後「5月男さん」と呼ぶ。

5月「ちょっと気になることがあるんですけど、いいですか?」
私「どうしました?」
5月「(彼の名前)のこと、好きなんですか?サプライズとかもしてましたし。」
私「え?好きというか…仲良くはしてますけど、男女という訳ではなくて。配信仲間として。」

付き合っているという事実は伏せておかなきゃいけない。だから5月男さんの前では怪しまれないように取り繕った。

5月「そうなんですね。いや、付き合ってるとかじゃないならいいんですけど。もし恋愛感情でいいなぁとか思ってるなら、やめた方がいいですよ。」
私「どういうことですか?」
5月「彼、今付き合ってる人いるんで。」
私「…え?あ、そうなんですね!?」

この一言を聞いた時、
私の頭は一気にフル回転した。
どういう事だろうか。
本当に…彼に他の女がいる…?
私だけだと思って信じて耐えてきたけど、それが嘘だったって事?
でもそうだとしたら、時間の使い方どうなってるんだ?
仕事もしてて、配信もしてて、私以外に費やす時間があるのだろうか?
そういえば、最近22時30分頃にはいつも電話を切りたがるよな。
でもそれは明日も仕事があるからって事だよね?
その後眠れないからって配信してる時とかあるけど、そんな中で他の女を構ってる時間なんてあるのだろうか?
…うまいこと私は騙されているのか?

それとも…。
この5月男さんが私にふっかけてきてて、何かを聞き出そうとしていて、ハッタリをかましてきているのか?
こういう世界、恋愛ゴシップ系のネタはすぐに面白がられて広められる。
その情報収集?ネタ集め?
彼の人気を落としたいから、5月男さんによって仕組まれた罠かもしれない。
私から何かを聞き出そうとしている?
心配してるフリをして、私を利用しようとしている?
だとしたら、彼を守らなきゃいけない。

二つの考察により、私の頭はごちゃごちゃ。
どちらなのか整理していくためにも、もう少し話を聞いた。

私「え?その付き合ってる人が私だって、周りで言われてる…とかですか?」
5月男「いや、付き合ってないんでしょう?付き合ってるんですか?」
この言い方はわからない。前者でも後者でも取れる言い回しだ。なんなんだよこの攻防は。
私の味方なの?敵なの?もうよくわからない。
味方であって欲しいのか、敵であって欲しいのかもよくわからない。
私は心臓の奥の方がキュッと痛くなった。
唇がワナワナとしてきて、口の回りも悪くなる。

私「私は付き合ってないです。ちなみに、どうして彼女がいるってわかったんです?」
5月男「その付き合ってる彼女さんから、彼について相談を受けてるんですよね。」
私「…へぇ、どんな相談されてるんですか?」
5月男「『付き合ってるんだけど、自分のこと大切にされてる気がしない』とか『こういうこと言われて困ってる』とか。惚気話聞かされることもあるんですけどね。」

まさしく私の状況と一緒じゃないか。
彼の言葉や行動に心を踏み躙られて、吐き出すところがない。
この女性はうまいこと相談相手を作れただけ。
…となると、本気で他の女がいるのかもしれない。
…え?何股かの中の1人なの…?
両親に挨拶までしておいて…?
それとも浮気?

私「そうなんですね。配信だと愛に溢れてる感じなのに、裏だとそんな感じなんですね。」
5月男「俺も離れた方がいいんじゃないかって言うんですけど、もう彼女の意思は固くて。もうすぐ同棲するらしいですよ。住む物件を一緒に見に行ったりもしてるみたいで。」
住む物件を一緒に見に行っている…!?
たしかに彼は来年の6月が更新月だからって言っていたし。
あり得ない話ではないだろうけど…。

私「その女性って、私も知っている人ですか?」
5月男「そうですね。あなたも察しがついているんじゃないでしょうか?」
この時点で、だいたいの察しはついていた。
彼には熱狂的なファンが何人かいる。信者と言っても言いほどだ。
その信者の中でも、印象的な女性が一人いた。
その女性を「5月女さん」としよう。
5月女さんは、彼の配信が始まれば必ずそこにいて、高額な投げ銭を何度もしていて。
彼のTwitterのツイートは必ずリプ、リツイート、いいねをしている。
収録のアーカイブが投稿されれば、その投稿を拡散するように努める。
献身的というか…妄信的というか…とても私には理解できないような尽くしっぷりだった。
それが「彼女」という存在だったからしていたというのであれば、納得がいくようにも思える。

私も気になって、付き合ってすぐの頃に、彼に聞いたことがあった。
私「私ね、5月女さんとあなたって付き合ってるんじゃないかって思っていたんだ。だって5月女さんものすごい貢献してくれてるじゃん?それが恋愛感情無しにできるものじゃないだろうなって思ってて。」
彼「は?5月女?あり得ない。ただの推し活でしょ?それで付き合うとかないから。」
私「推しと好きって私よくわからないんだけど。見返り求められたりしないの?」
彼「最初は付き合ってほしいとか、会ってほしいとか言われたけど、ちゃんと断ったよ。実際一度も会ったこともないし。」

過去のこの会話が、脳内で何度も繰り返されていた。
ひとまず、私の予想が外れていてはいけないので、
私「それって、5月女さんですよね。」
と確認すると、
5月男「あなたを信用して言いますが、その通りです。彼女の話を聞いていると、結構彼からの仕打ちで苦しんでいるので。あなたにもそんな目に遭って欲しくはないからこそ、伝えておこうかと。」
と返ってきた。

ここで私も「ホントは…」と打ち明けられたらよかった。
でもこの人に話したら、この人から話が広まってしまうかもしれない。
私の甘えのせいで、また彼を不機嫌にさせてしまったら…
私がまた痛い目を見る。
せっかく築いてきた信頼関係が、また崩れてしまう。
だからこそ、何も言えずに、本人に直接確認しようと打合せを終えた。

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