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人生に必要なのは理想と戦略と少しのお金

わたしが好きな喜劇王チャップリンの言葉に「人生に必要なのは勇気と想像力と少しのお金」というものがあります。よく授業でも扱います。勇気と想像力をブランクにして自分が必要だと思うものを当てはめてもらうのです。学習者のみなさんの価値観が出て興味深いです。

さて、養成講座の講師をしているとよく進路の相談を受けます。日本語教師になってやっていけるかどうか? 非常勤で食べていけるかどうか? やっていけるかどうかはあなた次第じゃないですか? といつも答えます。

なぜなら日本語教師にはいろんな働き方があるからです。もちろん日本語教師だけじゃなくミュージシャンにもライターにも弁護士にもそれぞれの働き方があります。では、どうすれば自分で自分の働き方を選べるのか? 

今日はどんな働き方を選んだらいいかという話ではなくて、どういうスタンスで働き方を選べばいいかについてのわたしの意見を書きたいとおもいます。

そこでタイトルの理想と戦略と少しのお金という話になります。まず、理想についてから考えます。理想とは何か?具体的にいうと、日本語教師になって自分の人生をどうしたいのか? というのが理想です。どんなことを実現したいのか? とも言い換えてもいいかもしれません。夢や目標とも言えるでしょうが、達成したいことではなく、こうありたいという姿なのです。ここがふんわりぼんやりしている人が多いのではないでしょうか。でも、それは現代を生きるわたしたちはみんなそうです。いつも「どうありたいか」なんて真剣に考えて生きているわけではありません。

わたしの場合はどうかというと、日本語教師の仕事をすることで、未知への扉を開きたいということと、カリキュラム作りは一種の自己表現だと思っているので、できるだけ国籍も背景も職業もいろいろな学習者に出会いたいと思っています。経験も20年になりましたので、カリキュラム作成から関われる現場にいたいという希望があります。一方で、大好きな旅をしたいので旅に出やすいスケジュールを組めるポジションがいいし、ライターの仕事もしたいので平日に自由な時間を残しておきたい。

今はこんなふうに考えていますが、ここまで言語化できるには時間もかかりました。いろんな本を読んだり、情報も得ました。でも、大きな影響を与えたのは、岡田斗司夫さんのこの言葉かなと思います。以下のnoteにまとめています。

そして、この働き方になってから、急に終わる仕事に動揺しなくなりました。ただ、この働き方は疲れます。ほぼ毎日なんらかの仕事をしないといけないからです。授業がなくても原稿を書いていて、原稿がなくてもカリキュラムを作っています。でも、そんな働き方があっているとおもいます。コースとコースの間は強制的に休まされるし、旅先でまとめて休むこともすることできます。週に2日が休みって誰が決めたんでしょう。わたしはわたしです。

このように理想、こうありたいという姿を思い描けたら、次は戦略を練ります。自分で戦略を練ることなく、ひたすら悩む。悩むのではなく考えるのです。戦略を練るためには、以下を言語化しておく必要があります。

ひとつめは自分の現在地とセールスポイント。今自分に提供できる価値としてどんなものを持っているかということです。ふたつめはそれをどこに売るかということです。みっつめは今生活していくのに、いくら必要かということ。今の自分の価値(現在地)から理想(ゴール)への道を思い描いてみるのです。例えば、自分が新卒なら若さが価値です。ならば、正社員になるのがいいでしょう。あとは売る場所を考えます。日本語学校の専任になるか、日本語教育はあきらめて他の会社で働くか。自分の理想と照らし合わせ、遠い未来のことも考えて、決定を下すのです。忘れてはいけないのは、就職したら、得られるものは給料だけじゃありません。経験も得られます。後々これがお金よりも大事なあなたの価値になっていきます。

そして、働き方を選んだから、定期的に見直しを行ないます。「自分の理想」は何か? 常に自分に問いかけ続けて。

そんなふうに考えてみたらどうかなとおもいます。そして、考える時間、理想を実現するための時間に自分を支えるお金も必要です。お金がないと焦ります。冷静な判断ができなくなります。だから、どんなときも、ある程度お金に余裕があるようにしておける働き方を選んだほうがいいとおもうのです。

とここまで書くと、働き方ってつまるところ、生き方なのですよね。日本語教師に限らず、どんな職業であっても、働いて生きるから、どう働くかはどう生きるかに直結する。だからこそ、悩むのではなく考えてほしい。

そして、私が書いたのは日本語教師であるために必要なものではなくて、日本語教師として人生を生きていくために必要なものです。ちなみに日本語教師であるために必要なものは教養と想像力とほんの少しのお金だとおもいます。この話はまたいずれ。


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