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人生ナビ【短編小説】

人生ナビがあったらどんなに楽だろうか


目的地へ向かって進むカーナビの矢印を確認しながらふと思った

将来の目標を設定し
そこに行くまでの道筋をわかりやすく丁寧に案内してくれる

困難を避け
できるだけ真っ直ぐに最短距離でいける楽な道

多少のカーブや上り坂もそりゃあるだろう
でも苦になるようなものではない

だって人生ナビだもの

設定した通りに楽な道を最短距離で目標まで案内してくれる

ナビに従えばすべて順調に人生を歩んでいける

1年、2年、5年、、、10年。

もう目指す場所は近い
自分が掲げた将来の夢

その夢まであとほんの少しの距離で辿りつく
人生ナビがあればどんな夢だって叶いそうだ

こんな風にどんな場所でも簡単に行けるのだから

そして夢が叶う瞬間を目前にして意気揚々と進む僕に人生ナビが告げる

「目的地周辺です、音声案内を終了します」


まだ目的地を目視できていない僕は
突然のナビ終了の声に立ち竦む



人生ナビがあったらどれだけ楽な人生だろう


先の見えない山道を進む僕は
少し笑みを浮かべハンドルを握り直した

目的地まではまだまだかかりそうだ。

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