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水があう。

水が合わないとは、よく言ったもの…。
孤独を感じたり、周囲に馴染めない環境を表現する為に、よく聞く言葉。

若い頃、生まれた場所から離れて一人暮らしをした。
しばらくすると肌が荒れ、体調がなんとなく悪い。
大きな不調は無かったものの、仕事の忙しさも重なりストレスが溜まる。
ストレスは肌に悪いと聞いた事があった。きっとストレス。

大型連休が来て、車で4時間の真夜中の実家に帰った。
雨が降る。まとわりつくような空気は正直鬱陶しかった。
しかし、一晩経つとすこぶる体調がいいのだ。
あんなに荒れていた肌が一晩ですっかり治っている…。
その時気づいた。水だ。

生き物の体は、ほとんどが水分。
私は、生まれ育ったこの地の水でつくられているのだと、その時初めて意識した。
この地の水を飲み、水を浴びて、水で育った作物を食べて育った私が、
一番元気で居られるのはここなのかと、愕然としたのを覚えている。
当時私は、地元が嫌で都会に飛び出していた。

それから数年の後、地元に帰った。
水に引き寄せられたのか。

もう梅雨時、蛍が舞う。
まとわりつく空気は、昔ほど嫌いではない。
今は、ここの水が一番私に合っているらしい。

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