「独身だけど、今日から親になります」 子供の感情を抱えて大人になった人への日記-5

相変わらず息子のイヤイヤは止まりません。
でも理由はわかりました。

それは彼も成熟してなくても、みっともなくても、「男」なのです。

大声で泣いてたら「強く、雄々しく」なりなさいと言われて、またそうありたい生き物なのです。

だから弱い姿なんか見せたくないのです。
そして褒めてもらいたいけど、「もらうより与えたい」とも思っているのです。

でも自分の現実と理想の間で苦悩している。

感情では自分に痛みを与えた人間に報復したい。
でもそれは良い事でない事も、自分の利益にならない事もわかってる。

感情を手放さないで相手の事を恨む事は、相手に「死ね」と言いながら、相手の皿の毒を飲むような事。

私の“義父”が教えてくれた事です。
そして、私は彼にそれを教えたくて、彼の親になったのです。

私も彼と同じように「親に従えないなら出て行け」と言われて、ビクビクしながら成長しました。

そして私の親は普段は優しいのですが、酒が入ると人が変わって暴力を振るう人でした。

“息子”も境遇は同じ。だからこそ何で苦しんでいるかわかります。

彼がこんなに苦しんでいる事を彼の両親は知らないかも。
だから反省もしてないかもしれないし、一生変わらないかもしれない。

本当は殺してでも、苦しみの荷物をおろしたいはずなのに、それは自分の得にはならない事が彼にもわかっています。

だからこそ相手を赦すため、「いい所を見よう、良い所を見なきゃ、イイトコロ…」と頑張ったのです。

そう。本当は殺したいほど憎くて、怖くて、仲良くしたくない相手の、同情できる所、情状酌量の余地を見つけようと頑張って、そして疲れ切ってしまったのです。

そんな彼の気持ちを私もわかるんです。
そして誰かにそれを話すのは、その怖い経験をもう一度するって事。

だからこそ、ここまで話してくれた勇気を褒めてあげるのです。
途中で投げ出した弱さを責めたくはなるし、そっちの方が簡単ですが、向き合ったその努力を称えるのです。

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