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【不妊治療 5年】どうして子を持つことにこだわっていたか振り返ってみる


不妊治療5年
人工授精、体外受精は6回ずつ
採卵も6回した。

流産は2回
今お腹にいる子も
双子が1人になるという
「バニシングツイン」
を経験している。

この5年の間に
心身ともに限界
夫婦関係も限界
ということは多々あった。

でも治療を続けた。
なにがそうさせたのか?

今だからこそ振り返ってみる。



私は不妊治療中
『不妊治療ありきでの生き方』
のヒントを探して
経験者の記事を読み漁りました。

私も、今不妊治療を頑張っている
どこかの誰かのために

不妊治療経験者の立場で
考え方や乗り越え方を
シェアしていきたいと思います。



そうあるべき、という他人軸

結婚適齢期になると、一緒につるんでいた友人たちがどんどん結婚し、順序よく妊娠→出産していく。次々とママになっていく友人たちを見ると、私もその時期なのではないかと焦り始める。

これはかなり一般的な価値観だと思う。最近でこそ「DINKS」と言い切る夫婦も多くなっているが、当時地方で暮らしていた私の周りにはそのような人が少なかった。

ちょうど私も30手前で結婚し、周りからも次は子供を…!と囁かれていた。先の人生をじっくり考えて決めた訳では無いけど、子供はいた方が楽しそうだなとふんわり考えていた。


大学時代の恩師の言葉

大学時代は「小児看護」を専攻。そこで出会った恩師の1人がとてつもなく仕事の出来る女性で、私は彼女をとても尊敬していた。

彼女はまだ若かったが、元々小児科の看護師としてハードな環境で働いていた経験豊富な人だった。

そんな彼女がある日、いくら勉強して経験を積んでも、患者の母親には「子供がいないあなたにはわかるはずない」と言われてしまうと嘆いていた。そして数年後、私も同じ悩みを持つようになる。

小児科Nsとして働いたトータル8年超。歳をとるにつれて次第に患者の母親たちが自分より年下になっていく。子供のいない私の助言は、時に心から聞いて貰えないこともあった。

自分に子供がいない状態で子供や母親に関わるることは、子供がいる看護師が関わることと比べてそんなに差があることなのか?

実際に自分で子供を産んで確認してみたいという気持ちが強くなった。


小児科Ns時代の先輩の言葉

そんな小児科時代には、色んな変わり者のスタッフが多かった。独身の師長、晩婚で子持ちの副師長、若くから妊娠出産を繰り返していて自分より働いている時間は短い先輩、同い年で独身の後輩。

その中でも強い印象を持ったのが、専門資格も取得している、人一倍好奇心の強い先輩だった。

2人の娘を持つその先輩は、新たなスキルのためなら泊まりがけでも研修に出ていた。私は希望していた研修枠を彼女に譲ったこともある。

そして、「どうしても男の子を育ててみたい」とあっけなく産休に入った。散々研修枠を使った後なので、周りからは小言を言われたりしていたが、一切動じず自分の好奇心に突き進むその姿は、見ていて爽快だった。

そして私も、子供を産み育ててみたい、という好奇心を持つようになった。


育児に対する好奇心

小児科看護師として、軽い風邪から寝たきりの難病、発達障害や先天性の疾患、そして生死の場面にも携わってきた。

まだ経験していない「自分が産んだ子の育児」はお預けにし続けていた。

子供に振り回される親を見ては、実際に自分の子となるとそうなってしまうものなのだろうか?と疑問に思ったり、「ワンオペ育児」の大変さを耳にしては、いつかそれをゲームのように攻略してみたいと、溢れる好奇心に変えたりしていた。

やってみたら痛い目に合うのかもしれないけど、やってみないと気が済まないタイプなのだ。


遺伝子はどうでもいい

ちなみに、自分の遺伝子を残したいとは今も昔もあまり思っていない。以前、不妊治療仲間とこのテーマについて話した時に、相手の子は「遺伝子を残したい側」の子だった。対して、私は「養子でもいい」と言い切った。

たしかに、自分の遺伝子が夫の遺伝子と掛け合わされた時にどういう形になるのか、少しの興味はある。でも自分が毒親に育てられた過去や、自分自身の自己肯定感の低さを考えると、遺伝子を残すリスクも大きい。

たしかに、産む経験もしてみたい気持ちはある。でもどちらかというと、子育ての方がしてみたかった。なので、不妊治療はどこかで諦めて、養子の受け入れに切り替える予定も立てていた。

しかし養子の受け入れに関しては、夫が転勤族であるという大きな壁があった。そのステップに切り替えるには、転職も視野に入れる必要があった。


不妊治療という棚ぼたの経験

好奇心の部分で言うと、不妊治療は自ら望んだ訳では無いけど貴重な経験だった。

当事者が心身ともにこんなに辛いということ、社会的に不利な状況に陥ること、まだまだ風当たりが冷たいということ。その時々でそんな余裕はなかったが、今思えばケースレポートを書いて発表したいくらいだ。

経験している人は沢山いるのに、新しい命を望むことは前向きなことなはずなのに、なかなかポジティブなイメージに変換されない分野。不思議である。


どう捉えるか、結局は自分次第

出産や育児は、神秘的に考える人もいれば、科学的に考える人、社会的に考える人もいて、それ自体の価値をどう捉えるかは人それぞれである。正解はないし、意見の違うお互いが分かり合えることも無い。

不妊治療を毛嫌いする人もいれば、当たり前のことと考える人もいる。結果が出なくて落ち込む人もいれば、まだ出来ることがあると前向きになれる人もいる。

その時のメンタルで考え方も感じ方も変わるし、そうなってみないとわからない。

だからこそ人生は面白い、と思えるのなら、もしかしたらどんな困難も乗り越えられるのかもしれない。

私は今妊娠中だからこそ冷静に振り返っているのかも知れないし、まだ産まれてないからこそ不妊治療の延長線上でこの文章を書けているのかもしれない。

いちいち正解を追求せず、とりあえずの仮置きをすること。これが一番の人生攻略法なのかもしれない。


さいごに
不妊治療を頑張っている皆さんが報われる未来を心から願っています。


▶︎他にも不妊治療に関する記事を書いています。

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