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【東京マラソン】西山選手の涙に思うこと

こんばんは、ずっきーです。なんとか3日連続投稿は叶いそうですが、予定を大きく変更して本日の東京マラソンについて書きます。時事ネタにタイムリーに反応できるのも、毎日投稿の魅力かと思い。

東京マラソン。今日の試合はパリオリンピック男子マラソン代表の最終選考も兼ねた大会。選考基準は日本人トップで相当する2時間5分50秒を切ること(このタイムは日本歴代3位に相当する)選考基準を満たす選手が出なかった場合は、昨年の代表選考レース(MGC)で3位に入っている大迫傑選手が自動的に代表内定となる。

今日の大会には、東京オリンピックマラソン代表の服部勇馬選手、現日本記録保持者の鈴木健吾選手、昨年の東京マラソンで日本人トップ、昨年のブタペスト世界陸上マラソン代表の山下一貴選手等、錚々たる顔ぶれが集まった(錚々たる顔ぶれとして紹介したい選手はまだまだいるが、全員紹介しているうちに日付が変わってしまいそうなのでこれくらいで)

試合は、ペースメーカーが安定せずややスローな展開、転倒のアクシデントもあり難しいレースだったが、25km過ぎから前に出て積極的にレースを展開した西山雄介選手が見事日本人トップ(全体9位)となった。

しかし、タイムは2時間6分31秒、設定タイムとの差は僅か41秒、1キロあたり1秒ずつ、パリへは届かなかった。

ゴール直後、西山選手は選考基準のタイムに届かなかったことを知っていたのか、タオルを肩にかけることもなく両手で顔を覆った。その悔しさは、画面越しからも伝わってきた。嗚咽で乱れた呼吸も整わないままTVインタビュー。

4年間、いや、人生を掛けて挑戦した道程が途絶えた直後の人に対してマイクを傾けることは酷にも思うが、これも栄光目指して表舞台で戦うトップアスリートの宿命。

「、、オリンピックに、、行きたかったです。」
彼はこれだけ絞りだすと再び顔を手で覆った。

今思い出しても胸が苦しくなるようなシーンだが、その一方で『本当に、幸せなアスリートだなぁ』とも思った。その涙は美しささえ感じた。

理由は2つある。

1つ目は、彼が本気でオリンピックを目指し、人生を掛けて挑戦することができた数少ない選手だと思ったから。箱根駅伝を目指して努力をし、そこでの活躍が認められて実業団に進んだ選手は、箱根駅伝と同じくらい心を燃やせる目標に出会えず、道半ばで競技を退く人も少なくない。周囲は簡単に『日本代表!オリンピック!』などというが、毎年200人は出走が許される箱根駅伝とは異なり、オリンピックは4年に一度、マラソン以外の長距離種目を加えても、日の丸を背負うことができるのはたった9人程度。オリンピックの代表になれる選手はもちろん一握りなのだが、それを本気で目指せる位置まで辿り着ける選手も同様に一握りなのだ。そんなところまで彼は来ることができた。彼の努力の賜物であることに変わりはないが、これはアスリートとして幸せなことだと思う。

2つ目は、アスリートの価値は『その存在を通じて人々の心を打ち、影響を与えること』であると考えているからだ。それを、勝利という栄光を通じて価値を発揮するケースもあれば、今回のように“美しき敗者”としてのケースもある。彼の悔し涙はきっと多くの人の心に残っただろう。もしかすると、2022年に別府大分毎日マラソンで優勝し、世界選手権の代表を勝ち取ったガッツポーズよりもインパクトがあったかもしれない。そのような意味で、今日、彼はアスリートとしての価値を大いに発揮することができた試合を見せた。目指していた結果には届かなかったが、そのプロセスを通じてきっと多くの人の心を動かした。これもアスリートとして幸せなことなのではないか。

そんなことを僕は思った。

知り合いでもなんでもないただのイチ駅伝ファンですが、すけちゃん(西山選手の愛称)本当にお疲れ様でした。まずはゆっくり休んで、次の人生の目標に向けて歩んでいく姿を応援したいと思います。

そして最後までお読みいただいた方、ありがとうございました!

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