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祈りの言葉とパンプローナ|カミーノ・デ・サンティアゴ巡礼日記#3

ララソーニャ〜パンプローナ 16.5km

昨日と同じ5時に起床。隣のベッドの人はもういない。
昨夜は巡礼名物大いびきの洗礼を受け、スピーカーから流れてるのか?と思うほどの凄まじいいびきの中でも、ぐっすり眠れる体質でほんとうによかった!

アルベルゲの猫たちと庭で朝ごはんを食べて、6時に出発。
しばらく道標のホタテ貝も矢印も見つからず、町の出口付近でようやく発見しました。

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あたりはまだ暗く、うっすらと牧場や馬の輪郭が見えます。ペリグリーノ達(巡礼者)もまばらで、ひとり自分のペースで3日目を歩きはじめました。

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カメラ目線の馬たち

馬の写真をたくさん撮っていると、徐々に明るくなってきました。今日も天気の良さそうな気配。昨日はちょっとあやしかった肩も足の豆も、今朝はまだ大丈夫そうです。だいぶペースも掴めてきたような。

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毎日朝焼けが美しくて涙出そう・・・

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波ひとつない池と水辺に立つ木
巡礼路の何気ない景色ひとつひとつが美しくて涙出そう

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バルで朝ごはん(2回目)アイアンでできたペリグリーノのオブジェ

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巡礼では車道脇も歩きます 排気ガスの辛いところもあるけれど
朝の光の中ではフレッシュな空気

しばらく歩いていると、分岐地点に2つの矢印が。上に向かう道は教会と書かれています。せっかくならと教会の方向に進みます。
矢印の指し示す丘を登ると、そこには古い教会が建っていました。

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中に入ると、ほのかに暗い空間に歴史を感じさせる木彫りのキリストとマリア、弟子達の像が祀られていました。
この教会を管理しているおばあさんに国籍を尋ねられたので、JAPANと答えると、2枚の紙を持ってきてくれました。それは日本語で書かれた教会の案内と祈りの言葉で、おばあさんはわたしの目をみつめながら、にっこり笑って渡してくれました。

祈りの言葉についてはこちら↓

長椅子に座り読んでいたら、知らぬ間にぽつぽつと涙が溢れました。
そこには、わたしがカミーノ(巡礼)で感じていたことが、言葉になって書かれていたのです。
木彫りのキリストとマリア像を前に、わたしはカミーノで何をすればいいのかを理解しました。ストンと心に言葉が落ちていったのです。

わたしはもっと簡単で空っぽのリュックを手に入れられると思いました。わたしは巡礼者になったのではなく、このカミーノという道の中でこれから巡礼者(ペリグリーノ)になっていくんだということを理解しました。

なんだか心の底から感動し、クリスチャンではないから作法はわからないけれど、目を閉じて祈りを捧げました。

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礼拝堂の脇にある細い螺旋階段を上がると、古い鐘がふたつ。おばあさんが鳴らしてもいいよと言ってくれたので、お言葉に甘えて2回つかせてもらいました。
カーンと心地よい鐘の音が心に染み渡ります。

おばあさんに「Happy?」と聞かれたので、「I’m Happy!」と。すごく優しいおばあさん。この教会に出会えてほんとうによかったです。

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カミーノの象徴「イエローアロー」のふせんで彩られるキリスト像

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自由に書くことができます このふせん欲しい


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教会を後にし、晴天の中を再び歩きはじめました。昨日までの山道から、徐々に整備されたハイキングコースの道にかわり、道沿いの建物も増えてきました。今日はこの辺りで一番大きな街パンプローナに向かいます。

本日の行程は16.5km。昨日までの2日間は1日に27kmもの距離を歩いてきたので、10kmも少ないし楽勝でしょ!と正直舐めてました。

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パンプローナのひとつ手前にある町でクレデンシャル(巡礼日記#0参照)にスタンプを押してもらい、のこりの距離を聞くとあと1時間ほどでパンプローナだと教えてくれました。

そこからの長いことよ・・・

道がハイキングコースからアスファルトに、そして石畳に変わる頃には、肩はパンパン。バックパックがめり込んで重くて仕方がない。
脚はもう痛いのが当たり前。足の右親指の豆がいつの間にか巨大化して、歩くたびに痛くてたまらない。左の中指あたりも豆ができそうな嫌な感触がする。
加えて、スペインの真夏の日差しが容赦なく降り注ぎ、身体のあちこちから悲鳴が聞こえます。

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あの教会の「巡礼者になっていく」ってこういうことに耐えていくことなのかな・・・と意識朦朧の中考えます。
つらい・・・。けど、まだ歩ける・・・。がんばろう・・・。

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石橋を渡ると、城壁が見えてきました。この城壁の中がパンプローナのようです。到着しました!
パンプローナの入り口は中世のお城を感じさせる荘厳な雰囲気が漂い、はじめてのスペインの大きな街に感動で疲れも吹っ飛びます。
ただ、雰囲気のある美しい石畳が、足の豆たちには強烈なダメージを与えてきます。ちょっとした溝が憎たらしい・・・。

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パンプローナは今までとは雰囲気のちがう大きな街で、土地勘が働かずウロウロと彷徨いながら、公営のアルベルゲを探します。

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アルベルゲの看板 日本語表記も

10時半すぎにアルベルゲに到着。受付時間が12時からだったので、そのまま宿の前で日記を書きながら時間を潰します。

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みんな宿が開くのを待っています

3番目に受付をし、3番のベッドをゲット。
今日は当たりかな〜ハズレかな〜とドキドキしながら、番号のベッドに行くと・・・
2段ベッドの上の段。ハズレ!偶数番号が下段のよう。せっかく早く到着できたのに残念です。ベッドは下段に限ります。

アルベルゲに着くと、まずはシャワーと洗濯。せっかくの大きな街パンプローナだしと痛む足はいったん忘れ観光に行くことにしました。

ランチはバーガーキングへ。大きな街でしか食べられないので、思いっきり食べました。日本で食べたいと思わないものが、外国だとやたら美味しいっていう海外旅行あるあるです。
ランチ後は観光案内所で手に入れた地図を片手にブラブラと、謎の5角形の公園や、昼間から多くの人で賑わうバルなど散歩を楽しみました。

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足の豆の限界を感じ宿に戻りシエスタ(昼寝)。キッチン付きのアルベルゲだったので、夕飯は自炊しようと夕食の買い出しへ行きました。
近所の巡礼者で賑わうスーパーマーケットで、サッポロ一番塩ラーメンと辛ラーメンを発見!た、食べたい!でも今夜はもうパスタの材料を買っちゃったし、余分に買っても荷物になるし・・・と散々悩んだ挙句、ふたつとも購入。悔いはありません。
デザートに買った桃が甘くて美味しかったです。スペインの桃は日本より小ぶりで平べったい形がかわいい。

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夏のスペイン 夜でも明るい

吹き抜けの天井の高いアルベルゲでは、巡礼者の話し声と、外で叫ぶ子供の声が鳴り止まず、はじめての寝苦しい夜となりました。



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