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ルートの旅に当選した人の話

当選おめでとうございます。ルートの旅50分です!

ルート?あ、平方根ってやつだろ。それが何さ?

√10とか、何?

何の役に立つの?

何でこんなもんがあるん?

えっ?

それを私が先生になって教えろと?

それは、それはそれはそれはムリムリムリムリ。

子どもたちの前で、そんな、えー?!

ガラガラ。

はい、先生、どうぞ中へ。

えっえーっ?!

「先生!おはようございます!」

「今日は平方根を教えてくれるって聞いて、わたしたちとっても嬉しいんだ」

「なんか分からんもん、平方根」

「先生は得意やろな?」

えっ、えー、まあ、な。まあまあ、な。

「すげ〜、さすが先生だ!」

「なんか今日で平方根分かるようになるって感じしてきた!」

「先生!じゃあ、早速、平方根、教えて下さい!」

うっと、まあ、そうだ、落ち着け、君たち。

さっきから平方根、平方根って言ってるが、その前に平方根の言葉の意味は知ってるか?

そう、そこの君、どうだ?

「平方根の言葉の意味ッスか?わかんねぇッス」

じゃあ、君は?

「先生、はい、分かりません!」

なんたること、じゃあ、そこの、そう君は?

「私、分かりません、先生はお分かりでいらっしゃるのでしょう?」

オホン、わかっとるがな。それをやすやすと教えてしまっては今日の授業の意味がないさね。

「じゃあ、今日は何をなさるの?」

「先生、今日は、あと時間が残り30分です」

よーし、じゃあ、君たちに残り30分で、平方根の言葉の意味を残らず教えて進ぜよう。

「うっわー。かっけー」

まずな、平方根という字を良くみるのだ、いいか?

これは3つの漢字からなっているな?

「はい!」

では、どこで区切るか分かるか、え、君?

「えー、たぶん、平方、根、だと思います」

そのとーり!よし、よくやったぞ!
でも、実はな、平方根は区切りがあるようでないのだ。分かったな?!

「はい!」

で、さっきの君、そう、君だ、平方、根、だと言ったな?
その訳を教えてくれ。

「ええっと、平方は、面積の30m^2、30平方メートルみたいに使いますし、根は、なんか、方程式の解みたいなものですから」

うん!それでそれで?!

「ですから、平方は単位のm^2に現れているように、何かの二乗ってことではないでしょうか?」

素晴らしい!みんな、拍手だ!パチパチ!
そうだ!そうだったのか、あ、いや、いい説明だったぞ、君!
では先に進もう!

言葉の意味を掘り下げると分かるものがある、何事も、だ。へへ、いいな!

「はい!」

じゃあ、平方は二乗で、根は解、だったな。
それが組み合わさると?はい、さっきの君!答えてごらん!さあ!

「えっと、二乗の解?ということだと思います」

なんだそれ?あ、いや、ま!そうなるな!
ということは?はい、君!

「先生!分かりました!二乗の解とは、そのーっ、一乗にするってことです!たぶん!」

なるほどなあ。いいこと言ったぞ、君たち!
さあ、残りわずかだ!具体的に言ってみてくれ!さあて、君、どうかね?

「さっきの30m^2を一乗にするのを、平方根だと言うんでしたら、何か記号がないと言いづらいです。30は何かの二乗じゃありませんから」

そっかー。あの忌まわしき√って記号はその為にあるのだなー。
オホン!ここに√という、忌まわしき、じゃない、素晴らしき記号が用意されているぞ!

それで答えはいいな!

「はい!」

じゃあ、せーの、で行こう、30の平方根は?せーの!

「ルート30!√30です!」

よくやったぞ、君たち!
な、なんか、めっちゃ簡単だ。こんなんでいいのか?

では他に質問は?!

「16は4の二乗ですから、√16=4ですね!先生!」

お、おうそうだとも。

「先生!45は3×3×5ですから、ルート45は、3×√5、これを3√5と言うってことなんですね!」

そうだったのかーっ!なんだか分かったよ、俺。

おー、そーだそーだ、そのとーり!

「先生、先生!じゃあ、√5かける√5は、何になるんですか?」

君たち、何をやってきたんだ!√5は5の平方根だろ?だから、二乗すれば5になる数が√5じゃろが!だから、√5×√5=5じゃろがいな!

「うわ〜っ、すご〜い、先生!」

「先生ってすごいですね!まぶしい!」

ま、まあな、ま、こんなもんさね。

「キーンコーンカーンコーン」

ふーっ、じゃあな、君たち!

「先生、どこ行くんですか?!」

「先生、また会えますよね?!」

「うわ〜、えーん、先生が帰っちゃうー!」

まあまあ、また来るから、そう泣くな、な?
じゃあ、あばよ!

ガラガラ。

先生、ありがとうございました。

ささ、どうぞ、リムジンが待っています。

いやー、今日は当選したって聞いてきたから、なんだと思ったら、授業に当選かー!しかも、先生役で。参ったぞー。はは、でも面白かったな。またやってもいいよ。えっ、次は虹関数?何それ?
虹のようなのは虹関数ですよって?夢があっていいね。平方根って名前が良くないね。なんだか、もの寂しいね。英語にしたら?この際?スクエアルート。いいんじゃない?そう、ここ、着いたよ、運転手さん。いい夢をありがとう。

よかったなあ。子どもたち、ホント素直で。これを機にもっと勉強しますか。そして、また、教えてやろう。また当選したいな。

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