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聴かせて!「えびすハッピー子ども食堂」のわがこと


2か月があっという間ですね。いつの間にか年の瀬となりました。
「聴かせて!みんなのわがこと」6回目は、高松市木太町の「えびすハッピー子ども食堂」さんにお邪魔しました。子ども食堂等を通して、多様なコミュニティを作るパワフルなみなさんに、その原点と活動についてお話を伺いました。

「聴かせて!みんなのわがこと」とは?
香川県内でとても素敵な活動をされている個人や団体にスポットライトを当て、「共感の輪が広がっていってほしい」という想いから、その活躍や想いなどの わがこと(我が事)をインタビュー形式でお届けします。

Vol.6
えびすハッピー子ども食堂


左から会計の松下さん、代表の入井さん、メニュー担当の斉木さん、事務局の藤井さん

「つぶやき」を大事に

-この食堂に入ると明るい気持ちになりますね、なによりみなさんが楽しそうです。どのような方々で運営しているか教えてください。

藤井さん:事務局は、私が担当、代表が入井さん、会計を松下さん、メニューまかない担当が斉木さんです。

松下さん:買い出しはみんなで行ったりね。そのほかにもたくさんの人が関わりながら、第2土曜日、第4日曜日子ども食堂を開いています。

-そのほかにも関わっている人がいるのですね。

藤井さん:
民生委員さんが8人ぐらいと保育士、大学生などが関わっています。あと、管理栄養士さんもね。

斉木さん:そうそう!管理栄養士さんが入ってくれることで、メニュー作りがすごく助かっています。

入井さん:そのほかにも応援団が20~30人ぐらいいて、食堂に来られなくても食材を提供してくれたり、特技で応援してくれたり、地域ボランティアの人もいますね。

ハロウィンの様子
地域の人が多世代で楽しんでいます

-そんなにたくさんの人が!きっかけがあったのでしょうか?

藤井さん:とにかく「つぶやく」こと。つぶやくと、地域の人が手伝ってくれるんですよね。面白いほど人が磁石のようにひっついてくる。

-始めは、藤井さんが声を上げられたということですか。

藤井さん:そうです。2018年頃に学童保育の指導員をしている友人がいて、弁当を持ってこれない子どもがいることを知ったんですよね。介護施設のヌーベルさんが中学生にご飯を提供していると聞いて見学に行ったんですが、子どもの貧困とかテレビで見たことはあったけど、実態を知って身近にあることだと感じました。そこで子ども食堂をやろうと思って、まずは空き屋探しから始めたんです。

-空き屋を探してやろうと?

藤井さん:地域をベースに考えていこうと思って、とにかく空き家をあたりました。1軒目は喫茶店の空き店舗、2軒目は八百屋の知り合いにあたってみたけど、どちらもむずかしくて…2020年の秋に、ここの前を通っていたらオーナーさんにたまたま会えてOK貰えたんです。

-ここは元々は魚屋さんだったんですよね。

藤井さん:そうです。魚屋さんだからショーケースがあったり、内装も汚れていたし、工事が必要でした。とにかく「つぶやき」ました。地域の自治会活動で知り合った若いパパたちに声を掛けたら、そのうちの一人がなんと大工さんで、内装工事してくれることになって。

松下さん:そうそう、そのほかにも知り合いがショーケースなどの金属も無償で処分してくれたり、人がつながっていきましたね。

元魚屋さんの店舗をリフォーム

-それまでに今のメンバーは集まっていたのですか?

藤井さん:いいえ。物件が見つかったから、代表になる人いないかなぁ、と木太町を見渡してみたんです。「福祉に理解のある人を」と思っていたら、入井さんしかいない!と思って声を掛けました。2020年の秋に物件を見つけてその年の12月に話をしましたね。

-入井さんは福祉関係のお仕事なんですね。

入井さん:はい。NPO法人東雲会で就労継続支援B型と児童発達支援・放課後等デイサービスをしています。2020年の12月に声をかけられて、それは大切なことやなと思ったんですけど、準備会に出られないうちにいつの間にか代表になっていましたね(笑)

-藤井さんの声かけから、一気に準備に向かっていったわけですね。

藤井さん:やるとなったら、お金も人もやってきたんです。
湯浅誠さんの講演を聞く機会があってね。「男性は計画はするけれどもなかなかやらない、女性はやりたいとなったらやる。やろうと思ったら人は集まってくるんですよ」ってそうお話していました。

-資金はどうされたんですか?

藤井さん:コロナの一律給付金が出たでしょう。
あの10万円の寄附があって最初のスタートが切れました。

インタビューの様子
オープン当初のことを当時の広報誌を見ながら話してくれました

オープンから現在までの歩み

-実際はオープンまでどれぐらいで?

入井さん:準備に半年はかかると思ってたんですけど、4ヶ月でスムーズに準備できました。じゃあ、予定を前倒しして4月にオープンしよう!って。

-ものすごいスピードですね。

藤井さん:2階もあるんですけど、まずは1階だけやってみようと、ね。

松下さん:そうそう。なるようになる!ということでオープンしました。

-当初、まだ地域に知られていない中のオープンだったと思うんですが、子どもたちにはどうやって来て貰ったんですか?

藤井さん:最初は、地域の居酒屋がオープンするというので飲みに行ったんです。オーナーさんご夫婦と仲良くなって、そこの子どもたち4人を最初のお客さんにスカウトしました(笑)

みんなでいただきます

-藤井さんの行動力ですね。そこから広がってきたということですか。
現在は、どのような子どもたちに、どれぐらい提供されていますか?

藤井さん:大人も入れると60食ぐらいで、今はなかなかできないけど基本は会食を大事にしています。

斉木さん:そうですね。落ち着いたら会食に戻したいですけど、現在はお弁当の提供という形をとっています。

入井さん:木太校区の子どもが対象ですが、まだ校区に一つずつ子ども食堂がない状態。そのため栗林町や林町、屋島西町、元山町、福岡町などから来る方もいますね。

栄養満点で見るからにおいしそうなお弁当
まかない担当と管理栄養士さんがメニューを担当しています

-お弁当の提供以外にも活動されていると伺いました。

藤井さん:夏休みは学習支援もしました。調理の宿題もあったりするので、朝から夕方まで、ご飯を食べてこない子には朝ご飯も提供しました。

松下さん:親の前では我慢している子どもたちも、学習支援の場では自分を出せるんです。子どもたちは学校でも大変だし、家庭でも大変な思いをしている。そんな子どもたちが安心して自分を出せる場所なのかもしれませんね。

入井さん:やってみてよかったよね。

2階の1室で夏休みの学習支援

藤井さん:そのほかにも、先日は栗のイガをみんなで剥く体験をしました。大人世代もやったことがないという人が多くて、危ないから今まで触ったこともないと。でも、イガで指を怪我をしてもバンドエイドの使い方や、消毒の仕方が学べるじゃないですか。それも貴重な体験ですよね。

栗のイガを剥く体験に大人も子どもも興味津々

-目の前の畑も、みなさんでされているのですか?

藤井さん:地域の人が手伝ってくれて、そろそろ肥料やらないといけないなぁと思って置いていたら、知らないうちに誰かが肥料をやってくれたり。

入井さん:そうそう!畑を耕してくれたりね。
地域のみなさんの協力でできています。

みんなでじゃがいもの収穫

昔の駄菓子屋さんのようなコミュニティ

-ハッピーえびす子ども食堂をオープンして、感じたことはありますか?

入井さん:事務局スタッフをよく見てみると、県外や小豆島など地域外から来ている人が多いです。外から見ると、木太町は福祉に疎いなという印象でした。

藤井さん:最初はそうでした。発信と見える化で、理解者が増えていったように思います。みんな関わりたい気持ちがあっても、どこに行けばいいのか分からない。その受け皿にはなっているのかもしれません。

えびすハッピー子ども食堂だよりとFacebookで情報発信

-何かしたいと思っている人が、つながれる場でもあるということですね。
これからどうなっていきたいか、聞かせてください。

藤井さん:悩みや問題を吐き出せる場、利用者さん同士で話し合う場を提供していきたいです。生活が苦しいのは自己責任じゃないよって伝えたい、自信を持てるような関係づくりができる場所をつくりたい。

色々あるけど、楽しんでやることが大事!「やれる人」が「やれること」をやる。一人の立派な人間がするよりも、地域のみんなでやらなければならないと思います。
今はお弁当にしていますけど、コロナが落ち着いたら会食にもどしたいですね。

また、スタッフはみな忙しい人たちで常勤がいないので、時々しかオープンできていないのも課題ですね。いつも誰かがいて相手してくれる、昔の駄菓子屋さんみたいなそんなコミュニティがいいなと思います。


編集後記

とにかくパワフルで個性的なみなさんの、果てしなきマシンガントークに圧倒されて、気がついたらあっという間に2時間経っていました(笑)
勢いで突っ走っているだけに見えて、それでいて目指すところがメンバー間でしっかり共有されているのは、普段からこうしてしっかり話し合っておられるからなんだと感じます。

インタビューで印象に残ったのは、「人と関わるのが楽しい。関わるなかで人が変わっていくのが楽しい」という言葉。
食堂に来る子どもたちはもちろん、市の担当職員さんも最初は仕事と割り切った感じで来ていたのが、いつのまにか巻き込まれて一緒に楽しんでいる人もいるんだとか。

周りを巻き込んで幸せのエネルギーをどんどん大きくしているえびすハッピー子ども食堂のみなさん。これからますます楽しみです!

わがことスタッフと一緒に

えびすハッピー子ども食堂
Web:https://www.facebook.com/profile.php?id=100066746233568



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