キャリアコンサルタント・公認心理師が考える「後悔しない意思決定」
こんにちは、轍三郎です。
今日は、私の妻であり最強(最恐?)パートナーのさちこさん(@kirakuni91)が最近決断した大きな意思決定を、夫であり、キャリアコンサルタント・公認心理師でもある私が分析してみようと思います。
さちこさんは2020年のコロナ禍で働き方が変わりました。
当時飲食店で働いていたさちこさんは、コロナ禍で仕事が激減。
周囲が猛反対する中、休業中だったパチンコ屋さんの店頭で保健所の許可を取りお弁当を売り始め、「今日はただ弁当を売ったのではない、自分の将来を買ったのだ」と孫正義さんのような名言を残しました。
そこから2年間、イベントバー界隈でイベントをしたり、出張料理人やお料理教室などを行って生計を立て始め、2022年には、「なんか楽しそうだから」という理由でエデン本店の副店長になったかと思えば、続いてエデン日暮里の副店長も兼任し始めました。
そして今年2024年、さちこさんは新たな決断をします。
エデン横浜のオーナーに就任
エデン横浜は、きりさん(@33years)が2022年9月にオープンしたお店です。しかしきりさんが“エデン横浜は自分の中で役割を終えた”と感じ2024年3月に「今年の6月1日で閉店をする」と告知をしていました。
きりさんは3〜4月頃、お店を引き継いでくれるオーナーを探していましたが、その時にさちこさんは手を挙げませんでした。その時はまさか自分がエデン横浜のオーナーになるという発想すらなかったようです。
転機は5月6日。
エデン日暮里スタッフとしてのイベント中、たまたま来店していたエデン横浜の常連客数名が、口をそろえて「横浜の閉店は寂しい」と言う話を聞いて一念発起した様子。
エデン横浜を引継ぎたいと決意したさちこさんは私に言いました
・エデン横浜はエデン各店舗の中でも特に、他にも所属(コミュニティ)を複数持つ大人たちの集まる場所である
・いろいろな人が集い、相乗効果をなして互いに良い影響を与えている
・私はこの4年間、様々な経験を積み、何をしたいのか明確になってきた
・それは料理を通じて人と人が繋がり幸せになる場を提供したいということ
・この私のしたい事と、エデン横浜という空間は非常にマッチしている
・だから私はエデン横浜を好いてくれている皆と一緒に、エデン横浜を存続させたい
と、お金の話には一切触れずに、エデン横浜があり続ける意味を力説してきました。
私はリアリストなので「運営費などはどうするの?ランニングコストは月々いくらくらいなの?」と尋ねると
「確認しないとわかんないけど頑張る!きっとなんとかなる!!!」とおおよそ経営者になろうとしている人とは思えない発言をされて、心底驚きました。
思いだけでは店舗は経営できませんし、一見すれば行き当たりばったりな行動に見えますが、果たしてそれだけでしょうか。
ポスト・モダンアプローチ
現代はVUCA(ブーカ)の時代と言われています。
VUCAとは「Volatility(ボラティリティ:変動性)」「Uncertainty(アンサートゥンティ:不確実性)」「Complexity(コムプ レクシティ:複雑性)」「Ambiguity(アムビギュイティ:曖昧性)」の頭文字をあわせたもので
変動性が高く、不確実で複雑、さらに曖昧さを含んだ社会だと表現されており、社会やビジネスにとって、未来の予測が難しくなる状況のことを意味します。
このような時代のキャリア構築では、従来のように社会が作り上げた固定概念や既存の物語を元に、個人の人生を固定することは難しく、より柔軟に、より学習的に変化を受け入れて、乗り越えていく必要があります。
このような背景から、VUCAの時代を生き抜くには
・自分のキャリアは自分でつくりあげること
・自分のキャリアを一つの物語であるかのように捉え自ら考えること
・自分自身の感じ方や主観を他者と共有し共に考えること
といった、社会構成主義的アプローチが有効であるとされており、ポスト・モダンアプローチと呼ばれています。
3つの幸せな人生
別の角度で検討をしてみた時に、マーティン・セリグマンの3種類の幸福な人生という考え方でも読み解くこともできるかもしれません。
マーティン・セリグマンといえば抑うつの研究から「学習性無力感」の理論が有名です。
しかしそこから【心理学は病気に対しての研究ばかりを行ってきた】が、【どうすれば幸福になれるか】についてはあまり研究されていないことに気づいたセリグマンは、ネガティブな側面よりもポジティブな側面に関心を持つようになります。
そして、アメリカ心理学会の会長に選任された際にポジティブ心理学を創設し、新しい心理分野として普及に努めた影響を加味して、セリグマンは「ポジティブ心理学の父」として称されるようになります。
そのセリグマンが提言した3種類の幸福な人生とは、
としています。
①と②は永続的な幸福をもたらすが、③なしには実現されないとも述べています。
社会的関係や交友関係を社交的に振舞うことの重要性をセリグマンは提言しました。
後悔しない意思決定
現代はVUCAの時代といわれ、新型コロナウイルス(COVID-19)といった感染症などの疾病や台風、地震などの災害、AI技術の急激な進化により世の中の変化を予測しにくくなっています。この先もどのように変化していくのか、予測が難しい状況と言えるでしょう。
そんな中で我々は、生きていくために、大小少なからず意思決定をしなくてはいけません。
私は意思決定には本物の意思決定と偽物の意思決定があると考えています。
予測がしづらい世の中で、偽物の意思決定は非常に魅力的です。
自分で責任を負わず「一般的にはこうしている、親が友人が著名人がこうした方が良いと言っている」と予防線を張って、自分の考えではなく他の何かを理由に意思決定をします。
すると、仮に失敗しても自分で考えたわけではないので「周囲も賛同していた、他の人も同じようにしていた」と自分で責任を負わなくてよいからです
一方で本物の意思決定は、決断して決行するまでに非常に辛い過程を踏むことになります。
仮に失敗したら全て自分で責任を負わなくてはなりません。その決断をする際も「止めておいた方がいい、それでは失敗するかもしれない」と釘をさされ、実際失敗した時には「そら見たことか」と揶揄されることも少なくありません。
それでも私は本物の意思決定をすることをお勧めします。
なぜなら偽物の意思決定は積み重ならないからです。
自分で考えずに選択しているので、成功しても失敗しても経験値として蓄積されません。失敗し続けても「世の中が悪い、あの時勧めたあいつが悪い」と自己を振り返ることが難しいからです。責任を負わなければ成長もありません。
本物の意思決定は、後悔しないわけではありませんが、そもそも失敗も検討したうえで選択をしているので、どんな結果であれ経験値が貯まっていきます。
つけ加えるならば、ポスト・モダンアプローチや3種類の幸福な人生などに共通する
自分のキャリアを自分で描き、物語として意味づけてみる
それを周囲の人と共有して社会(複合体)として目指してみる
そんな意思決定をしてみると後悔は少なく、
より幸せに感じるのではないでしょうか。
今回のさちこさんの選択は、コロナ禍からの4年間を振り返り、意味付けし、自分の理想と未来(キャリア)を周囲を巻き込みながら目指していく
そんな本物の意思決定ではないかと思います。
まだ今後どうなるかわかりません、もしかしたら1年も経たずに閉店してしまう可能性もゼロではありません。
それでもさちこさんは、きっと後悔はしないのではないでしょうか。
もしご興味があれば、ぜひエデン横浜までさちこさんに逢いにきてください
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?