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学級崩壊を立て直すエキスパート!清水弘美さんの特別活動から学ぶ自分作り、仲間作り【ワクセル講演会レポート】

ソーシャルビジネスコミュニティ ワクセル(主催:嶋村吉洋)は、著書『子供の心を伸ばす特別活動のすべて』で有名な清水弘美(しみずひろみ)さんを講師に招いて、6月13日(月)にオンラインで講演会を開催しました。
テーマは「特別活動から学ぶ!“自分作り、仲間作り”」です。

特別活動とは、子どもが集団や社会の一員として、よりよい生活や人間関係を構築するための人間形成を目的とした活動です。

【こんな方におすすめです】

  • 教育や学校について興味関心がある方

  • 小学校の「特別活動」について理解を深めたい方

  • ヴィーガンやヴィーガン給食に興味がある方

  • その他、ご自身の事業や夢を実現したい方

【講義内容】

  • 「雑用の神様」が教えてくれた教育者の道

  • 学級崩壊のない学校づくりを目指した理由と具体的な取り組み

  • 特別活動で大事にしていること

  • 教育をするなかで大切にしていること

  • ヴィーガン給食を取り入れた経緯とは

  • 今後のビジョン

MCはワクセル総合プロデューサー住谷が務めます。

「雑用の神様」が教えてくれた教育者の道

「4年生のとき、初任だった担任の先生の影響を強く受けたと思います」

そう語る清水さんは、当時の担任の先生がおどおどとして自信がない様子でしたが、子ども目線では「自分が頑張らなきゃ」と思えるような人だったと自身の経緯を話します。

そのときには学校の先生という職業に憧れを持っていたといいます。もともとは校長になりたいとは思っていなかったそうですが、気が付いたら肩書がついていたとのこと。そうなった要因はチャンスを人よりも多く掴み取ってきたからだといいます。

「チャンスの神様は突然やってくる。特徴は前髪しかなくて頭がツルツルです」というのが清水さんが好きな言葉。これはチャンスが来たときに、躊躇して通り過ぎたら後ろ姿は髪がなくて掴めなかった、という意味で、チャンスは機会を逃すと掴めなくなることを比喩で表現した言葉です。

どういうところにチャンスが来るかというと「雑用の神様」にあると考えているとのこと。誰かがやらないと困る仕事を買って出ることをやってきた結果、毎日の行動の積み重ねが信頼に繋がり、校長という大きな仕事も任されるようになったのです。

学級崩壊のない学校づくりを目指した理由と具体的な取り組み

「子どもたちが授業中に歩き回る」「授業を聞かない」「机の上を歩く」など学級崩壊が起きると、授業が成立しない状況に保護者からクレームが入り、教員が精神的なダメージを受けてしまうことも。学校にとって大きな課題である学級崩壊ですが、すぐに立て直す“魔法”があるといいます。

そもそも、なぜ学級崩壊が起きているのか。授業を真面目に受けないといった問題を起こしている子どもたちは、意地悪をしたくてしているわけではなく、子どもたちからのSOSサインなのです。授業が難しくて分からない、座っていることが苦しい、といった不満をどこかに吐き出したいために授業を聞かないといった行動に出ると清水さんは考えています。

問題を解決するためには、まずは子どもとの信頼関係を築くことから始めます。上から目線ではなく対等でいること、良いことを”話す”のではなく、ひたすら”聞く”ことに徹することなどが鍵だといいます。そして子どもたちとの関係性づくりを特別活動を通じて”仕掛けて”いき、学級崩壊の立て直しを行います。

特別活動で大事にしていること

60年以上前からすべての学校で行われている活動で、子どもたちが主体的に行動することの総称のことをいいます。具体的には、学級活動、係活動、部活動、生徒会、自治活動など、先生が授業で勉強を教える以外の行動すべてです。特別活動を通じて人間関係づくりや社会形成を学びます。

特別活動で大事にしていることは、「子どもたちが自ら作り上げたという実感を得られるように仕掛けをつくること」です。

たとえば、こんな仕掛けを用意しているといいます。学校のさまざまな行事で1学年から6学年の縦割りで班を分け、学年ごとに役割を持たせるようにする。世代の入れ替わりを除き、班は6年間変えません。上級生への憧れが芽生えたり、下級生へ思いやりを持つきっかけを作り責任感が芽生えたりします。6年生が卒業する頃には、1年生が号泣して給食に手がつけられないほど結束が深まる結果となりました。

教育をするなかで大切にしていること

清水さんが特に教育で大切にしていることは「自分作り」。そのために必要なことは自分の良さに気が付いて人格を作っていくこと。しかし、自分の良さを見つけられずにいる子どもたちが多くいることも教育の現場で体感してきたといいます。

どうやって、自分の良さを見つけるかというと「体験する」しか方法はありません。他人からいくら褒められたとしても、本人が良いと思わなければ褒めたことはすり抜けてしまうので、言葉だけでは足りないのです。

一緒に何か活動をして、「役に立った体験」こそが良さを自覚することにつながるのです。人間関係を作っていく中で自分の良さに気付いていきます。

自分で自分の考えを決めて自分の言葉で話す「意思決定」を行い、意見を束ねて皆で作り上げる「合意形成」を行い、成功したときに役に立ったことを強く実感できるようになるのです。

とにかく「意思決定」することがスタートです。なかなか意見を言えない…という子どももいるため、Feel、 Imagine、 Do、 Shareのサイクルを回す仕掛けを取り入れています。

  • Feel……○○したいなど、要望や課題を挙げる

  • Imagine……課題を解決するためのイメージを行う

  • Do……実行する

  • Share……仲間に共有する

PDCAと似ていますが、大きく違うところは、PLANからではなく、FEELから始まるところです。子供達の願いから始まることが大切なのです。また、実行したあとに”反省”するのではなく、”シェア”をして仲間を増やすことにも価値があります。

学級会での活用事例では、「クラス内の仲が悪いという意見が上がっている」という議題が上がり、「クラス内の仲が良くなる」ことを目的に活動を始めたことがあります。

意見を募っていく段階でサッカー大会をやるという案が出たのですが、当然ながら運動が苦手で楽しめない人が出てくると反対意見がありました。

「サッカーが楽しめない人はどうしたら良いか?」とさらに掘り下げ、大会までの期間にサッカーが得意な人から苦手な人に教えれば皆が楽しめそうとアイデアが可決されました。そうして、実際にサッカー大会を実行し全員が楽しくサッカーをして良い思い出を作る願いは達成されました。

仲良くなるための手段として、サッカー大会をすることは一見では最適解とは思われないように見えます。しかし、大事なことは何をするかではありません。どのように達成するかがキーだったのです。共通目的を持って活動することは、自分作り、仲間作りでは欠かせません。

ヴィーガン給食を取り入れた経緯

アレルギーのある子どもたちが、一緒に同じ給食が食べられるように解決策として考えたのがヴィーガン給食でした。アレルギーがある場合には、混在することをとにかく避けるために、メニューを分けて出されています。アレルギー用メニューの子どもは混在すると危ないため、おかわりができません。

清水さんは、皆で同じ体験をすることは大事だと考え、月に1度だけ皆が同じものを食べられる献立「エブリワン給食」という施策を思いつきました。結果的にアレルギーを取り除いていったらヴィーガンに近づいていったため、この施策はヴィーガン給食と呼ばれるようになったのです。

給食のメニューをヴィーガンにすることに賛否両論はありましたが、反響を呼んで海外からの視察も数多く訪れたのです。ヴィーガンは誤解を招きやすく保護者からの反発もありましたが、自分の信じたことをやり通して良かったといいます。

おかわりをするときには恒例の”おかわりジャンケン”を子どもたちがしています。ある日、いつもアレルギーでおかわりできない子どもがジャンケンに負けました。周りの子が気を遣って譲ってくれていたのですが、アレルギーだった子どもは辞退しました。

「おかわりは欲しかったけど、それよりもおかわりジャンケンがしたかったんだ!」と笑みをこぼす子どもを見て、皆で同じときに同じものを食べることは、共感を生み出して人間関係を寄せるうえでは大事であり、ヴィーガン給食を取り入れたことは間違いではなかったと感じたそうです。

また、ヴィーガン給食はSDGsのことや宗教上で食べられない人がいるなど、違う価値観を持った人がいることを学ぶ機会にもなっていて、給食も特別活動のひとつと捉えています。

今後のビジョン

清水さんは、人格の完成と社会の形成を目指しています。

「私が幸せになること、私たちが幸せになることを達成できる人を増やしたいです。そのためには、苦手を克服するよりも個性を伸ばす教育を子どもが選べるようにする。性別、国籍、宗教、文化、障がい者など混ぜ、人との違いを受け入れて、お互いの長所をいかし合うことを願っています。私は特別活動の取り組みを通じて世界平和を実現したいと思っています。自分の良さを見つけることは最高の武器になります。いろいろな体験をして、雑用の神様を引き寄せて、ベストを尽くすことで人生は豊かになっていくと信じています」

■清水弘美さん プロフィール

公立小学校校長10年。特別活動を専門とし、人間関係形成・自己実現・社会参画の3つの力を育てることで、「役に立つ喜びを知る子」の育成を進めてきた。特別活動の研究会として、全国小学校学校行事研究会会長をはじめ、全国的な組織運営をすると共に、文部科学省からの依頼を受け、書籍や映像資料などを作成し、日本の特別活動を先導してきた。
国内外からの視察を受け入れ、世界への日本型教育の発信に努めた。
4月から幼稚園園長として人間としての基盤を育てると共に、大学で教員養成の仕事を行っている。環境省のアンバサダーとして、SDGsの達成に取り組んでいる。

著書『特別活動でみんなと創る楽しい学校』他

ワクセルコラボレーターページ (清水弘美さん)

■SOCiAL BUSiNESS COMMUNiTY『ワクセル』
ワクセルは、コラボレートを通じて、人に夢を与え続けていくソーシャルビジネスコミュニティです。健全に学び、チャレンジし、成長し、達成し続ける人が次々と集まるコミュニティを作り続けます。
さまざまな分野で活躍する著名人や経営者、クリエイターの方々とコラボレートすることにより、下記の取り組みやコンテンツ制作を行っていきます。

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