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リテンションマーケティングの重要性

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
「中の人」は先日フォローアップを受けたんですよ。お陰様で合格したので、引き続き上級ウェブ解析士を名乗ることができそうです。
さて、そのフォローアップテストの出題文の中でよく目にしたワードが「リテンションマーケティング」というものです。近年はその重要性に注目が集まっていますよね。
そこで、今週はリテンションマーケティングとは何か、なんで大事なのか。その辺りについて書いてみようかなと思います。


リテンションマーケティングとは

「リテンション(Retention)」は維持や保持といった意味合いの言葉です。ビジネスシーンでは「顧客の離脱を防止する・顧客数を維持する」といった文脈で用いられます。
要するに、顧客との継続的な関係を築くためのマーケティング手法のことをリテンションマーケティングと呼ぶのだそうです。
近年ではCRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)やそれに関わるツールが注目を集めていますが、これらもリテンションマーケティングの手法のひとつと言えそうです。

リテンションマーケティングの重要性

リテンションマーケティングの意味は分かったと思います。では、なぜ重要なのかという点について考えてみましょう。企業が利益を上げるにはまずは売り上げを立てなければ始まりません。売上を構成する要素を分解して行って、一番わかりやすいのは下記の数式だと思います。

売上=顧客数×購入単価

この顧客数ないし購入単価(≒販売価格)という変数をどうにか上げることができれば売上も上がっていきます。
購入単価に関しては以前の記事でも触れましたが、製造や販売にかかるコスト、損益分岐や顧客が持つ価格イメージ、競合など複数の外的要因によって下限も上限もある程度規定されてしまいます。(参照:『価格についての話。』)
そこで、マーケティングに関わる人の大半が「顧客数」の増加を狙ってあれこれと策を巡らせるわけです。

さて、顧客数はさらに分解して考えることができます。

売上=(新規顧客数+既存顧客数)×購入単価

そうです。新規顧客数と既存顧客数です。リテンションマーケティングでは後者を対象としていきます。なぜ既存顧客に着目するのかを細かくみていきますよ。

成熟した市場

「中の人」は経験したことのない時代ですが、高度経済成長期やバブル経済期は、市場拡大期だったそうです。それに応じて需要も旺盛で新規獲得が至上命題となっていました。多少の離反があっても、それを上回る新規獲得で利益が出ていたそうです。
しかし、今日では多くの業界で市場の成熟期を迎え新規顧客獲得のハードルが高くなってきています。そうした現状で、「既存顧客の離脱をいかに最小限に留めるか」というのが大きく注目されるようになっています。

1対5の法則

マーケティングに携わっていると、一度は耳にしたことがあると思います。
新規顧客を獲得するためのコストは、既存顧客維持にかかるコストの5倍と言われています。要するに、新規顧客獲得に躍起になるよりも、既存顧客の販売を優先した方が利益率が高くなるのです。これもリテンションマーケティングが重要視される理由のひとつでしょう。
さらに転じて、顧客の離脱率を改善すると、利益は改善数値の5倍になるそうです。例えば離脱率を5%改善することができれば、企業の収益は25%向上することになります。
また、一度購入してもらった顧客に対しては、新規獲得時ような情報提供を省くことができます。購入時の体験などより密な情報を顧客が持っているからです。思い出してもらうきっかけと、購入する理由さえ提供することができればいいわけですから、コストが下がるのは明白です。

これを「ダブルジョパディの法則」を理由に真っ向から批判するのがバイロン・シャープ氏なのですが、それは下記の記事を参照してください。
『コトラーVSシャープ』
『売り上げの変数についての話。』

チャーンレート

近年よく目にするようになったサブスクリプションなどのストック型ビジネスは、コストの回収に時間を要する仕組みになっています。そのため、獲得コストや運営コストを回収し利益が出始める以前に解約されてしまえば赤字になりますよね。なので、こうしたビジネスではチャーンレート(解約率)というのが最重要指標になります。ロジックは以下の通りです。

チャーンレートが改善される
→コスト回収・利益改善ができる
→サービスの充実に投資できる
→既存顧客の満足度が向上し、新規顧客も増えていく
→顧客が増加・定着していく
→チャーンレートが改善される

チャーンレートの改善を起点に、好循環が生まれるようになります。逆に、チャーンレートが悪化すると収益が落ち、サービスへの投資が滞ることで満足度が低下し、新規顧客にとっても魅力的に見えなくなります。そうすると顧客離反が続いていくという悪循環に飲み込まれていくことになります。
なので、離反を防ぐためにリテンションマーケティングって大事だよねという結論に辿り着くのです。

LTV(Life Time Value)

これまで述べたとおりの理由から、今日ではLTVの重要さも説かれています。LTVは顧客生涯価値と言われ、1人の顧客が生涯でどれだけ購入してくれるかという指標になります。この考え方を持ってすると、冒頭で提示した売上=顧客数×購入単価という方程式に新たな変数が入ってきます。

売上=顧客数×購入単価×購入回数
=顧客数×LTV

冒頭でも触れたように、製品価格自体はカテゴリによってある程度レンジが決まってしまいますが、LTVに置き換えると、リテンションマーケティングを活用することで変数に変化を与えることができます。
こうした意味合いからもリテンションマーケティングの重要性が理解できるかと思います。

まとめ

以上、リテンションマーケティングについて書いてみました。
現在のビジネス環境では、顧客数を増やすだけでなく、継続的な関係を築き、顧客の心を掴むことが重要です。
リテンションマーケティングは、顧客離脱を防止し、顧客満足度やLTVを向上させる手法です。
特にビジネスモデルがストック型の場合、チャーンレート改善が利益改善へつながります。
是非、リテンションマーケティングを活用して、お客様との長期的な関係を築いていきましょう。
他の記事やnoteの更新もお楽しみに!

あとがき

今週も最後までお付き合いいただきありがとうございました!
いやー、習慣って怖いですね。100週で一区切りと思っていたんですが、書かないとソワソワするんですよ。笑 結局今週も書いてしまいました。
フォローアップテストというちょうどいい刺激もあって、ネタも思い付きましたし。会員の皆さんは、忘れないうちに受験しておくことをお勧めしますよ〜。
それではまたお会いしましょう。


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