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別れたついでにカナダに行こう。

#1

7月上旬、夏が顔を見せ始めた頃、大事な人と別れを告げた。親友であり、弟子であり、最低で最愛のパートナーだった。自分がよく知る彼女は、我儘で、ダメダメで、よく泣いていた。でもいつしか、自分よりもずっと逞しくなっていた。そしてこれから、沢山の人を幸せにしていくと思う。

だから、残った時間も言いたかった言葉も言わずに遂げた。
細やかな門出祝いだけのために。

会話の切り出しはいつも「何か面白い話をしてよ」だったかな。今思えば、随分な無茶振りである。自分の200超の話リストを聴き切ったのは、後にも先にも、多分あなたくらいだ。

あれから幾らか時間が経った。
人生不思議なもので「もう無いかな?」と思っていても、存外日常は落ち着かない。幸か不幸か、月々に次々とエピソードは生まれ出す。

満身創痍のクラファン
樹海とヒッチハイク
負け試合のリバイバル
告白にバレッタ
酔っ払いには靴下
上士幌の5日間
幸せの怪物、不幸の怪物
命、卒研、才能
そして、憂者。

到底、文字には書ききれないや。

「いっそ海外に行ってみたら?」
それが始まり、デザインだって、教育だって、実は後付け。動機なんて「英語もロクに話せないなら絶対面白い」たったそれだけ。

面白い話を集めよう。




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