深澤くんの赤いランドセルと子育てで尊重したいこと
子育てをするようになってから、自分の子ども時代をよく思い出す。わが子を見ながら、ふと浮かんでくる記憶。
「そういえば、私が子どもの頃にこんなことがあったな……」
子ども時代と違って、今は当時周りにいた「大人や親」たちの存在も込みで、記憶を反芻(はんすう)することが増えた。今日は、30年前の同級生をふと思い出し、私は母親として「それ」ができているのかを考えた話。
「ぼく、赤が好きなんだ」
深澤くんは変わった子だった。いつも坊主で(いがぐり頭)、半ズボンのポケットはパンパン(たぶん、石とか道で拾ったものが入っている)。みんなで話していても、いつの間にか地面の土を触り出し、違う世界に行っていた。
30年前(時の経過に地味にビビる)、彼のランドセルは赤だった。習字道具、絵の具バックも赤。当時は、学校制定品を買うときに「赤か黒」しか選べなかった記憶がある(息子の小学校は、絵の具セットは水色、習字は黒と一択になっていた、時代の変化)。
必然的に、女子は「赤」、男子は「黒」を選んでいた(というか、親から「どっちがいい?」なんて聞かれもしなかった。それが当たり前の世界)
深澤くんは、「赤いランドセルの子」と保護者たちからは呼ばれていたし、同級生からも「お前、なんでランドセルが赤なん? 女になりたいん?」と、ぶしつけな質問をされていた。
深澤くんの回答はいつもシンプルだった。
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