見出し画像

異業種ものづくり3人が「もの文」を熱く語る座談会(前半)|決起集会レポ

初開催で来場者数5,803名と記録的な盛り上がりを見せた和歌山ものづくり文化祭2022。手探りのなか出展した昨年参加事業者は、どのように「もの文」に挑み、何を得たのか?
7月13日(木)に行われた「もの文2023決起集会」では、東福太郎氏(家具のあづま|桐箪笥)、岩橋昭宏氏(岩橋シートワーク|板金加工)、三木裕介氏(三木理研工業|化学樹脂)の3者を交えたトークセッションを行いました。

(モデレーター:和歌山ものづくり文化祭事務局長 吉田圭吾)

ー まずは最初のテーマですが、もの文に出る前はどんな感じでしたか?
ワークショップの準備なんかも含めて、ドキドキワクワクなのか、不安なのか、何をやっていたのかといったあたりを教えてもらえますか?

東福太郎氏(以下、東):そわそわしながら日々の仕事に忙殺されていましたね。何かイベントがあるということに対して、僕は事前の準備だけじゃなくて、その場に応じてどれだけ人を楽しませられるかを大事にしています。だから、なにをやったら楽しんでもらえるかな?を考えながら、日々の仕事をこなしていましたね。

ー お客様のことをすごく考えた、ということですね。岩橋さんはどうでしょう?

岩橋昭宏氏(以下、岩橋):ウチはBtoBだから表に出ない仕事をしています。展示会にもなかなか出せない。そんななか「もの文」の案内をメールで見て、これやったらできるかなと飛び込みました。
そこからすぐに「ペン立て」を考えたんですが、知り合いの事業者さんに試作を見てもらったら「岩橋さん、ペン立てはちょっと愛想がないぞ」と言われてしまって。笑
ウチの技術はコレか?と敲いて敲いて、コンテンツ相談会でもアドバイスをもらって。ギリギリまで引っ張った結果、前日夜中の二時くらいまで作業をしていました。

ー なかなかハードですね。自社を伝えるには?という視点で、すごく考えられたわけですね。
三木さんはどうですか?

三木裕介氏(以下、三木):私は声をかけてもらって出展を決めたんですが、はじめは他のイベントでやったことのあるワークショップをもっていったらええやんと軽く考えていました。ところが、コンテンツ相談会で「何したいねん?どういう価値を伝えたいねん?」というのを突き返されたんですね。
そこから、私一人で考えたというよりは今回協力してくれている社内メンバーで話を進めて、湧いてきたものを伝えていく、という方向性を取りました。自分としてはコテンパンになってどうしようというところから、社員の皆が助けてくれたという感じでしたね。

ー 三木さんの場合は、はじめから会社でチームを作って、社員さんと高いディスカッションをやっていったという感じですね。
ー やり方は3者3様といったところが分かりましたが、皆さん満を持して当日を迎えたと思います。11月5日6日を振り返って、あるいはその後、よかったことや変わったことってありますか?

東:和歌山でこんなに人集まって、これだけのイベントができるということが凄い素晴らしいことやなぁって、当日の朝、長蛇の列を眺めながら思いました。
僕がもの文に出て一番良かったと思うことは、異業種の仲間が出来たこと。今着ているTシャツもエイガールズで、和歌山にこれだけのものがあるんだ!って知ることができました。

東:また、去年の12月に「新たな桐箪笥の形」というのを発表したときに、金具にすごく悩んでたんですね。その時に、岩橋さんとコラボして、作り上げることができた。彼との出会いがなかったら、もしかすると新しい商品が生まれていなかったかもしれない。今日も、金剛ダイス工業の廣尾さんと話していて、困っていたことが解決するかもしれないとヒントをもらえたり。もの文に出てきたからこそ、自分のやりたいことにまたつながった。これが、もの文に出て最高だったことです。

ー ライバルでありながら、仲間というのがいいですよね。岩橋さんはどうですか?

岩橋:一つにまとめれないというのが正直ですね。確かに当日はバタバタしたのですが、その後の反響もありました。翌日以降にも、ワークショップを体験してくれた子の親御さんが「お世話になりました」と会社まで言いに来てくれたり、社員の友人から「残ってるんだったらやらせてくれへん?」という声があったり。
もの文を通じて伝え方を考える中で、自社の立ち位置やできることも明確になりましたね。社内でも、20代から50代まで共通の話題ができて、巻き込めて、インナーブランディングにもつながっています。ただ、めっちゃしんどかったんでもうちょっと余裕持ってスケジュールしてね、と言われていますが。

ー 前日の2時まではやめてくれということですね。笑

岩橋:それから、さっき東さんが言ったことに重なりますが、ここにいる人は自社のことが好きで前を向いている人ばかりなので、負けないようについていくだけで自分自身が一段上がることができるというか。この場の皆で刺激し合って、いろんなことが勉強できるというのは、やりがいのあるイベントだと思います。

ー 切磋琢磨できる場っていいですよね。三木さんは?

三木:たいがいのこと言われてしまったんですけど・・・まだあるかな笑
当日二日間、まずはめちゃくちゃ忙しかったです。分刻みで、ねちゃねちゃになりながらスライム作っていました。
僕らは子どもたちが相手のように見えるんですけど、実はその向こうの親御さんをターゲットにしていて。「地場産業としての化学」はまだまだ知名度が低いという中で、今後のリクルートを考えたときに親が知らないと「知らん会社やからやめとき」と言われてしまう。そこで、当日は「三木理研工業ってどういう会社なのか」というのと、「実は化学工業って地場産業なんだよ」というチラシを袋に入れて一緒に渡しました。当日だけで100人の子供と、一緒に来た親に向けて地道な広報ができたし、のちのちリクルートに生きてくる種まきが出来たと思います。

三木:社内の中では世代の違う人たちと同じものを作っていくということができました。今年もそのチームがもの文に向けて走り出しているので、安心ですし今から半年間が楽しみな時間ですね。

・ ・ ・

いかがでしたでしょうか?初開催のもの文2022では、参加企業各社が手探りをしながらそれぞれの体験と学びを得ました。後半では、もの文2023で新たに挑戦したいことにフォーカスしてお伝えしていきます。

有限会社家具のあづま
所在地 和歌山県紀の川市名手市場1169-1
会社HP http://azuma-kiri.jp/

(有)岩橋シートワーク
所在地 和歌山県和歌山市内原677
会社HP https://iwahashiseatwork.com/

三木理研工業(株)
所在地 和歌山県和歌山市栄谷15の4
会社HP https://www.mikiriken.co.jp/

聞き手
吉田圭吾 和歌山ものづくり文化祭 事務局長
和歌山県企業振興課。2013年和歌山県入庁。入庁後は、一貫して商工行政に従事し、経済産業省での勤務も経験するなど、商工行政のスペシャリスト。実行委員長に巻き込まれ、いつの間にか事務局長に。お酒を飲んでない時が一番しゃべれるタイプ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?