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暗号資産_#3:「ERC-20」の関係 - 活用事例を紹介

前単元の「「暗号資産(仮想通貨)」の基礎知識」で暗号資産の基礎を学習しましたが、抽象的な表現が多く、理解するのが難しいと感じた人もいるでしょう。この単元では、暗号資産を複数の視点から分類し、日常のニュースやWeb記事で目にする様々な暗号資産の目的や違いを理解できる状態を目指します。


暗号資産はトークンか、コインか

暗号資産は、日本の法律では「電子的方法により記録され、電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値」と定義されていますが、一般に流通している暗号資産は「~~トークン」もしくは「~~コイン」と呼ばれることが多いです。この呼び名の違いに着目して、一つ目の分類の説明に移ります。

■貨幣か、チケットか

暗号資産は、BTC(Bitcoin、ビットコイン)や ライトコイン のように「汎用的な支払い」を目的として生み出されたものと、 スマートコントラクト の実行手数料として使われるETH(イーサ)や広告に使われる BAT のように「特定のサービスへの支払い」を目的として生み出されたものの二つに大別できます。

前者は、新しい貨幣を目指したBitcoinから派生して生み出されたものが多いため、「~コイン」という呼び名になることが多いのが特徴です。後者は、ゲームセンターにおけるメダルのように特定の用途に向けた代用貨幣のことを「トークン」と呼ぶことから、「~トークン」という呼び名がつけられることが多いです。

■ネイティブトークンか否か

また暗号資産には、ネイティブトークンと呼ばれるトークンが存在します。ネイティブトークンとは、あるブロックチェーンを維持・運用することへの参加の報酬として生成される、そのブロックチェーン固有のトークンです。BitcoinブロックチェーンではBTC、 Ethereum (イーサリアム)ブロックチェーンではETHが、ネイティブトークンとなります。

ネイティブトークンは、そのブロックチェーン上でトランザクションを実行するための手数料としても使用されます。

対して、ネイティブトークンではないトークンも数多く存在しています。これらのトークンは、ブロックチェーン上で応用プログラムを動かす仕組み、すなわち広い意味での「スマートコントラクト」を用いて発行・移転されます。


トークンの作り方

ブロックチェーンビジネスを考える際に、そのサービス内で流通する暗号資産をどのように作成するかが重要な論点になります。

もしネイティブトークンを作りたいという場合には、基本的には独自のブロックチェーンを構築しなければいけません。ブロックチェーンを新しく立ち上げ、利用者を増やすコストは大きいゆえに、多くの開発者は既存のブロックチェーン上に新しいトークンを発行しますが、その際には参照すべき規格があります。

Ethereumであれば「ERC」、Binance(バイナンス)であれば「BEP」というように、ブロックチェーンごとに規格の名称は異なりますが、各ブロックチェーンでは発行したトークンに互換性を持たせる仕組みが用意されています。

例えば、Ethereumのトークンを作成できる規格の一つがERC-20です。

ERC-20とは?

Ethereumでは、その仕様の改善を提案するEIP(Ethereum Improvement Proposal:イーサリアム改善提案)」と呼ばれる文書に提案順に番号が振られています。その中でも アプリケーション に関わる標準・規準は「ERC(Ethereum Request for Comments:イーサリアムの(この仕様に)コメント求む)」と呼ばれています。ERC-20は20番目の提案で、Ethereumの応用に関わっていることが分かります。

ERC-20はEthereumのスマートコントラクトの一つの型であり、Ethereumのスマートコントラクトによって FT を発行する場合の標準仕様を定めています。(関連単元:スマートコントラクトでできること - トークンとの関係

ERC-20が標準仕様として提供している主な機能は、以下の通りです。

●トークンの総供給量を決める
●利用者のトークン残高を取得する
●利用者間で、所持しているトークンを送金する

ERC-20と暗号資産

ERC-20に則れば一からブロックチェーンを作るよりも簡単にトークンを発行できるため、様々なサービスに応用されています。

ERC-20準拠トークンを利用したサービスの種類

ERC-20準拠トークン(以下、ERC-20トークン)を用いたサービスの種類には以下のようなものがあります。また、ここでは紹介していませんが、ブロックチェーンゲームでもERC-20トークンは使われています。

■DEX(分散型取引所)

DEX(分散型取引所)は、スマートコントラクトを活用して運用される、管理されずに自動で動いている取引所です。DEXに対して、Coincheck(コインチェック)やbitFlyer(ビットフライヤー)をはじめとした、スマートコントラクトでは実現されていない国内外の取引所はCEX(中央集権型取引所)と呼ばれます。

Uniswap(ユニスワップ)は主なDEXの一つです。DEXの詳細は別の単元で解説します。(関連単元:暗号資産交取引所とは何か - 日本と海外の違い

■ステーブルコイン

ステーブルコインは、価格の安定性を実現するように設計された暗号資産です。法定通貨であっても市場で取引される以上は必ず価格が変動しますが、法定通貨の価格と連動するのであれば納得感があるため、ステーブルコインは法定通貨との交換比率を固定した「法定通貨担保型」が一般的です。(関連単元:「ステーブルコイン」の基礎知識 - 日本と海外の違い

■レンディング

レンディングは、第三者に暗号資産を貸し出して収益を得るサービスです。レンディングプラットフォームで利用できるトークンの中には、ECR-20と互換性を持つものがあります。ECR-20と互換性を持つことで簡単にトークンを発行でき、レンディングによって経済的な利益を容易に得ることが可能です。


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