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NFT

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今では金融業界に限らず、コンテンツ産業や教育産業など様々な業界がブロックチェーン技術を用いたサービスを始めており、特に注目されているのが NFT(Non-Fungible Tok…
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#Web3

NFTはデジタルデータの「唯一無二」「所有権」を証明できる?(コラム)

NFTについて「デジタルデータの唯一無二性」や「デジタルデータの所有権」を表すと説明がされることがありますが、表現の仕方には注意が必要そうです。 「デジタルデータが唯一無二」であることは証明できない所有権は有体物(空間の一部を占める有形の物)に関して与えられる権利であり、「無体物であるデジタルデータに所有権は適用できない」などと否定する向きもあります。ただし、それは法律の話のため、法律が変われば変わりうる考え方です。NFTでデジタルデータの所有権を表せないことにはもっと原理

スクエニがNFTコンテンツで目指すエンタメのかけ算、「SYMBIOGENESIS」開発現場の思い(コラム)

スクウェア・エニックスは近年、ブロックチェーン・エンタテインメント領域の推進に注力しており、2023年12月には同社初となる NFT コレクティブルアートプロジェクトであるファンタジーアドベンチャー「SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)」を本格展開しています。エンターテイメントにブロックチェーン技術を掛け合わせることでどのような価値創造を目指しているのか、インキュベーションセンター ブロックチェーン・エンタテインメントディビジョン ディレクターの畑圭輔さんと、同部

地域の体験をNFTにして関係人口を増やす、JAL・博報堂らが展開する「KOKYO NFT」(コラム)

NFTを通じて地域と人をつなぎ、“故郷”のような存在を育んでいく。そんな想いを込めた「KOKYO NFT」の実証実験を、日本航空(JAL)と博報堂の2社が中心になって進めています。 KOKYO NFTは各地域の体験をNFTにしたものであり、RWA(リアルワールドアセット)の一種です。2024年3月に実証実験の第2弾として、国内6地域にゆかりのある体験が商品化されています。KOKYO NFTで目指すことをJALの事業開発部戦略・企画グループの高橋翔アシスタントマネジャーと、K

地方創生×Web3で価値創造を 「ファン向けデジタル会員権」の実証から見えたこと(コラム)

ファンベースカンパニーと岩手県紫波(しわ)町は2023年10月、Crypto Garageの技術支援のもと、紫波町ファンとの共創および新たな財源確保を目的とした「ファン向けデジタル会員権」の実証及び体験会を実施しました。地域コミュニティの活性化や地方創生に向けたプロジェクトにWeb3・ブロックチェーン技術をどう活かせるのか、今回の紫波町との取り組みについてファンベースカンパニーの池田寛人(ひろと)CFO兼コミュニティ事業部長とCrypto Garageの加藤岬造(こうぞう)C

NFTプロジェクトを成功に導く五つのヒント(コラム)

NFTの人気が高まるにつれ、多くのWeb3開発者や起業家がNFTの開発やNFTへ関与することに前向きになっています。そんなNFTをプロジェクトとして長期的に成功させるには、どんなことが必要なのでしょうか。成功のために役立ついくつかのヒントを検討してみましょう。 1. コミュニティを重視する今では大企業が主導しているNFTもありますが、元々NFTはユーザーコミュニティが主導して盛り上げてきた歴史があります。米プロバスケットボールリーグとコラボレーションしたNBA Top Sh

海外子女の学習塾が受講NFTを始めた理由、DAOコミュニティで感じた子ども達の変化(NFTコラム)

香港で誕生した海外子女専門の学習塾「epis Education Centre(エピス・エデュケーション・センター)」(運営はTBX Company Limited、以下、エピス)は2023年夏、Web3技術を活用した子ども向け学習プロジェクト「Learning Ecosystem(ラーニングエコシステム)」の実証実験を行いました。内容は、中国・深センの教室にて夏期講習またはSTEAM学習を受講した中学生20人に学びの修了NFT(受講NFT)を付与するとともに、香港(香港・ホ

古本市場に新しい風を! 早川書房が新書からNFT電子書籍を始めたわけ(コラム)

株式会社早川書房は2023年6月、新レーベル(新ブランド)「ハヤカワ新書」を創刊しました。同社の新書は2010年に終了した「ハヤカワ新書juice」以来、13年ぶりとなります。注目を集めたのが、メディアドゥとの協業で世界初という「NFT電子書籍」付きとして展開することでした。老舗出版社がなぜ今、NFT電子書籍を始めたのか。早川書房の事業本部本部長・山口晶さんとハヤカワ新書編集長の一ノ瀬翔太さんに、ハヤカワ新書に寄せる思いを聞きました。 「未知への扉をひらく」がコンセプト――

「SBINFT Mits」開発に寄せた想い - マーケティングも含めた総合NFT運営支援を(コラム)

マーケットプレイス運営からコンサルティングまで、NFTに関する様々なサービスを展開するSBINFT株式会社は2023年9月、総合NFT運営支援サービス「SBINFT Mits(ミッツ)」オープンベータ版の提供を開始しました。「NFTを通じてWeb3のインフラを整えたい」と話す事業戦略室長の中村恭一郎さんと営業推進部長の葛西駿さんに、SBINFT Mitsの狙いとNFTに寄せる思いをうかがいました。 NFTプロジェクトは「社会にどう浸透させるか」が大事――SBINFTはこれま

NFTはコレクター市場にどんなビジネスモデルをもたらすか(コラム)

現在、NFTの最も大きな活用方法は、デジタルデータのコレクターアイテム化であるといっても過言ではありません。初期はNFTアートがこの市場を開拓し、2021年にはネット上でBeeple(ビープル)として知られるアーティストMikeWinkelmannの「Everydays―The First 5000 Days」が約75億円で落札されるなど、大きな盛り上がりを見せました。そこで、NFTニーズを支えるコレクター市場についての概況を紹介します。 コレクション市場とは昔から人はモノ

情報時代が、NFTが、アートを変えた 事業に立ちはだかる三つの壁(コラム)

「情報時代がアートを変えていくだろう」 施井泰平(しい・たいへい)さんはアートの価値を見つめ、まだブロックチェーンもNFTも定義されていなかった2006年に、作品が二次流通した際に還元金が作家に支払われる仕組みの特許を日米両国で取得。2014年にはスタートバーン株式会社を起業し、アート作品の信頼性担保と価値継承を支えるインフラを提供しています。NFTがアート業界をどう変えていくのか、起業家とクリエイターの立場から施井さんに想いを聞きました。 NFT作品が75億円の価値を持

NFT_#7:NFTで資金調達をする - 投資家にとってのメリットとリスク

NFTは、投資家を募るための手段としても注目を集めています。この単元では、NFTを用いた資金調達の方法とその課題を解説します。 NFTと資金調達の新たな可能性■NFTによる資金調達 ブロックチェーン技術を用いた資金調達の方法はいくつかあります。例えば、新たに開発するサービスで使える暗号資産(仮想通貨)を先に売り出し、そのサービスの開発費用に充てる「ICO」という方法がありますが、ICOは世界中で未履行・資金持ち逃げの問題が起きています。また、デジタルトークン化した証券を売

NFT_#6:NFTの具体的な活用例 - NFT技術を適用する意義とは

NFTは標準化された技術であり、誰でもすぐに利用可能であるため、発行や交換だけでなく、これまでに様々な応用が試みられてきました。そのいくつかを紹介しながら、活用方法としての妥当性を考えていきましょう。 NFTの多様な応用■証明書への応用 大学の成績証明書をNFTの形式で発行することが試みられています。しかし、NFTが当初その応用として想定していた土地の権利書などとは異なり、成績証明書は他人に譲渡できない種類の証明書です。 そのような証明書を作成する際にERC-721規格

NFT_#5:NFTマーケットプレイスに採用されているLazy Mintingとは

NFTマーケットプレイスのOpenSea(オープンシー)などで採用されているLazy Minting(レイジーミンティング)には、メリットとデメリットがあります。利用にあたって具体的にどんなことに注意が必要なのかを解説します。 Lazy MintingとはLazy Mintingは、トークンの所有者から指示があるまで、そのトークンを実際にブロックチェーンに書き込むことを遅らせる方式です。この方式は、NFTを発行(ミント)する際のガス代(ガス使用料)を、NFTを作りたいユーザ

NFT_#4:NFTマーケットプレイスの現状と課題を検証する

NFTが広く流通するようになるにつれ、NFTを売買、交換できるオンラインプラットフォームであるNFTマーケットプレイスもシェアが広がっています。世界最大規模の取引量を誇るOpenSea(オープンシー)を踏まえて、NFTマーケットプレイスの構造と課題を解説します。 NFTの起源:チケットからコレクティブルへまず、NFTの起源を考えてみましょう。NFTを発行したり移転したりするために最も一般的に使用されているスマートコントラクトの規格であるERC-721は、もともとトークンを何