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NFTはデジタルデータの「唯一無二」「所有権」を証明できる?(コラム)

NFTについて「デジタルデータの唯一無二性」や「デジタルデータの所有権」を表すと説明がされることがありますが、表現の仕方には注意が必要そうです。


「デジタルデータが唯一無二」であることは証明できない

所有権は有体物(空間の一部を占める有形の物)に関して与えられる権利であり、「無体物であるデジタルデータに所有権は適用できない」などと否定する向きもあります。ただし、それは法律の話のため、法律が変われば変わりうる考え方です。NFTでデジタルデータの所有権を表せないことにはもっと原理的な理由があり、その理由は「デジタルデータが唯一無二であることを証明できない」ことにつながっています。

デジタルデータの例としてJPEG画像を考えてみましょう。それがどこかのウェブサーバーに置かれているとして、ウェブブラウザーを通してみなさんのパソコンで閲覧したとします。すると、そのデジタルデータはサーバー上にありますが、みなさんが動かしているウェブブラウザーにも複製が作られており、だからこそみなさんのパソコンの画面で表示されていることになります。

このように、デジタルデータは複製が可能であり、デジタルデータにアクセスするということは、複製を作ることに他なりません。唯一無二だとしたら、そのデータにアクセスすることすらできなくなります。

そのため、どこかのウェブサーバーに置いたJPEG画像の権利者がNFTを作るだけでなく、そのJPEG画像の権利を持たない人がNFTを作ることも、技術上可能となります。そうして作られたNFTが本物か偽物なのかは、権利者であることが社会的に何らかの形で認められている人が、「このNFTが本物だ」と言うことでしか、判断できないと言えます。

NFTは処分可否で所有を判断できる

NFT自体の所有については、その人がそのNFTを自由に処分(売ったりバーン(捨てる)したり)できるかどうかで判定できます。ただし、NFTに紐づいたデジタルデータに対しては、複製がどこにあるかも分からず、NFTを処分しても複製されたデジタルデータには影響が及びません。

NFTを所有できるというのは、ブロックチェーンにおけるトークンの所有の機構とセットになったデータだからです。NFT自体のデータはブロックチェーン上にあるため、当たり前のように無数のノードに複製されていますが、NFTは所有の機構とセットになっているため、所有者の指示に従ってどこでも全く同じ動きをします。所有者が処分すれば、その通りにどこでも反映されます。

ユースケースとNFTの概念を考える

■NFTを電子書籍に

NFTのユースケースを踏まえて、NFTがどのような役割を担っているかを考えてみましょう。

まず、NFTは規格をたどるとチケットの役割を持たせる意図で設計されていることもあり、チケットとして使うことが考えられます。チケットは、例えば音楽バンドのコンサートだとすると、興行主が本物のチケットだと認めてこそ効力を発揮します。NFTで作られたチケットも同様に、必ず誰かへの信用に基づくことになります。

NFTを電子書籍へのアクセス権を表すチケットとして使用する、というケースで考えてみましょう。NFTを用いることで、NFTを所有しているユーザーだけがその書籍の内容を読めるように設計することができます。ただし、NFTを作ったら魔法のように自動的に書籍へのアクセス制御ができるわけではなく、電子書籍のシステム側でアクセス権の管理を作り込む必要があります。

■NFTを学習アチーブメントのバッジに

今度は、NFTを教育機関が学習を達成した証しのバッジとして使用することを考えてみましょう。あくまでその教育機関への信用に基づいて、受講者が学習を達成した事実を教育機関が証明するものとしてNFTを発行するなら、問題ないでしょう。しかし、NFTには譲渡する機能が入っています。学習の達成は、あくまでその本人のものであり、譲渡する機能が使われることは望ましくありません。

対策として、SBT(ソウルバウンドトークン)のように譲渡する機能を無効にするような特殊なNFTを作ることが考えられます。ですが、NFT自体が二次流通の機能を加えた仕様になっているのに対し、SBTなどは加えた仕様に対して打ち消す仕様を施すことになるため、設計が複雑になります。

Ethereum(イーサリアム)で言えば、NFTに関する規格であるERC-721系のトークンシステムを採用するのではなく、まだないのであれば、アチーブメントや参加証明を表すバッジ用の新たな標準仕様を決めてトークンを設定することを検討するのも良いのかもしれません。

The author generated this text in part with GPT-4, OpenAI’s large-scale language-generation model. Upon generating draft language, the author reviewed, edited, and revised the language to their own liking and takes ultimate responsibility for the content of this publication.



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