【No. 1037】計算ミスと侮るなかれ
「実質」というのは面白い言葉ですね。
学習塾で接している生徒からテストの結果を聞くと、「実質●●点」っていう言い方をする子が少なくありません。
実質と使うときは、基本的に凡ミスで点数が下がった場合です。誤字脱字、計算ミス、スペルミスなど、本当は知っていたことをテストの時にはミスってしまった。理解していたけれども、それがたまたまバツとされた。だから「実質●●点」なんですね。
「実質」の対義語は「形式」らしいです。彼らの主張は、例えば「形式上は」60点だけど「実質」は70点なんだということになりますが、
この実質の使い方って、一種の妄想ですよね。俺の本当の力は実質の点数だと言いたいんだとおもいます。
僕が教えてもらったことの中で大切にしているのが、「目標とは妄想だ」ということです。目標と言ってしまうと堅苦しくなるけれど、妄想と言えば一気に親しみやすさが出ます。
だから、「実質●●点」というのも、妄想であり目標であるとも言えます。
生徒たちが「実質」と表した点数を目標点数として勉強に励んでくれればいいなと思いますが、実際のところは凡ミスだと軽視しちゃうのが問題なんですけどね。
ただ、大人になってみると分かるのですが、その凡ミスこそが課題であり、それをどう減らしていくのかがポイントです。
だから、生徒たちが「実質」という点数に近づけていくためには、この凡ミスをどう減らしていくかという戦略を考える必要があるのです。凡ミスと侮っているうちは、改善はされません。
先日、社内の伝達ミスで、失注してしまいました。僕が勤めている学習塾に、新しく問い合わせてくださった方がいたのですが、授業自体には満足いただけたものの、その方に接した担当者ごとに言っていることが食い違っていた箇所がありました。詳しくは書きませんが、それが複数出てきてしまったがために、不信感に繋がって入塾は見合わせることになりました。
1つ1つの伝達ミスは、いわゆる凡ミスかもしれません。実際、社内の反省会では「偶然」いろんなミスが重なってしまったという結論になったのです。
「実質、入塾していたものだ」とは言っていないのですがw 僕を含め、そんな雰囲気になったのです。でも、当然ですが、よく考えてみると違うなと。
本当は、それぞれの凡ミスを分けて検証・改善しないといけないんですよね。
テストの例に戻るならば、凡ミスが積みに積み重なって、赤点までいってしまった感じでしょうか。そこまでいってしまうと「いろいろ重なってしまって運が悪かった」などのように、考えを停止させてしまうのですが、それじゃダメで、しっかりと凡ミスを潰しておかないと。
生徒たちの「実質●●点」という使いかた、僕は好きです。
「本当の俺の力はこんなもんじゃない」と言っているわけですよね。今の姿は形式的なもので、一時的なものであると。本当なら、もっと実力があるはずなのに、今は形式上の姿に甘んじている、という解釈です。
自己啓発界隈では、目標達成のプロセスとして、立てた目標が現実になったと錯覚するくらい強く信じられたとき、ほぼ目標は達成されたと言います。妄想が現実である信じきれたとき、ほぼ叶ったものだと言えるわけです。
生徒たちの使う「実質」も、「本当の俺の点数はこっちだ」という意味ですが、言い訳じゃなく、本気で信じられたら、自然と凡ミスの改善に繋がっていくはずなのです。当然、成績もあがります。
社会人になると、テストのようにマルバツがつく機会は減りますので、凡ミスにも気づきづらくなりますが、
凡ミス撲滅を目指して、今日も目を光らせていきたいと思います。