着々と売上を伸ばしたプロ野球チームの”巻き込む”マーケティングとは
■はじめに
今年はまだまだ寒い日が続きますね。
こんにちは!
マーケティング・営業プロセス委員会のバーチャンです。
3月のこの時期のイベントといえば、もうすぐプロ野球が開幕しますね。
さて、日本の伝統的スポーツともいえるプロ野球ですが、プロ野球市場のファン人口は、実はここ最近10年で2/3程度に減少してきているんです。プロ野球ファンのバーチャンとしては非常にさみしい限りです。。
そんな中、あるプロ野球チームは、2014年からコロナ禍の2020年を除き、毎年観客動員数を前年比で伸ばし続け、なんと2011年に赤字経営だった状態から一気に立て直し、2023年12月決算時点で黒字にしています。
その球団というのは、神奈川県横浜市を本拠地とする横浜DeNAベイスターズです。
「野球を"つまみ"に楽しめるスタジアムにする」という目標を掲げ、横浜DeNAベイスターズは「ボールパーク化」つまり野球だけでなく飲食、買い物、娯楽を楽しめるエンターテイメント空間にすることを推進し、野球に必ずしも興味がないようなライト層の獲得を推進してきました。
ですがその陰に隠れがちなのが、コアなファンに向けた施策です。
コアなファン、つまり「既存顧客」へのアプローチという切り方で見ると、その施策にはたくさんのマーケティングのヒントが詰まっていました。今回はそこにフォーカスを当てていきましょう。
今回はこんな人におすすめの記事です。
とりあえず野球が好きな方
マーケティング戦略のセグメントをどこにするか悩んでいる方
応援しているスポーツチームを盛り上げたい方
■そもそもコアなファンに向けた施策がなぜ大事なのか
改めて、コアファンに向けた施策を打つ意義を考えてみましょう。
大きく2つの意義があります。
既存顧客維持コストは新規顧客獲得コストよりお金がかからない
既存顧客が新規顧客を呼ぶ!
まず一つ目ですが、既存顧客維持コストは新規顧客獲得コストよりお金がかからない傾向があります。
有名なマーケティングの法則として、1:5の法則があります。これは「新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる」というものです。
その要因としては、ざっくり行ってしまえば心理的コストがかなり低い状態になるからです。
例えば、あなたが歯磨き粉を買うとき、一度買ってよかった商品Aと、まだ試していない商品Bが並んでいる場合、おそらく商品Aを買う可能性が高いと思います。
というのも、商品Aを選べば、比較検討して判断する労力を省くことができるからです。そもそも本当に良い商品か、買った後に実は品質に問題があったら嫌だな、、というような不安を抱く必要がありません。そういった心にコストをかけるような部分を省略できるため、購入までのプロセスを省略できる、つまりコストをかけずに顧客を維持することができるのです。
もう一つは、既存顧客による新規顧客の呼び込みです。
お店が出している広告よりも、友人や家族、評判サイトのおすすめのほうが信頼できるのは一般的な話かと思います。
このように、当事者ではなく、第三者が発信した意見のほうが信ぴょう性が高くなる心理的効果を「ウィンザー効果」といいます。
また、一人だけでなく、多くの人が「商品Aは使い心地がいいからおすすめだよ」と言ってくれたほうが信頼度が上がります。このように多くの人がとった選択を見て、その選択をする人が増えることを「バンドワゴン効果」と呼びます。
というように、既存顧客の存在は、売上を維持するだけでなく、アクイジション戦略としても大きな効果をもたらすのです。
■ファンとともに作るイベント/施策
ここまでの話として、既存顧客への施策は非常に大切であることがお伝えできたかとおもいます。では、横浜DeNAベイスターズがコアなファン向けに実際に行ったイベントを見てみましょう。
●試合の日は野球をまるごと楽しむ!横浜DeNAベイスターズ ツアー
横浜DeNAベイスターズはファンにむけて、試合のある日に朝から球場を開放する「横浜DeNAベイスターズ ツアー」を実施しています。
このツアーでは、例えばベンチやブルペン(投手が試合前に投球練習をする場所)、グラウンドなど選手が利用しているエリアを直接見学できます。また、選手のグラウンド練習も間近で見ることができるため、普段は行っていない練習風景を楽しめるかもしれません。
スタジアムの雰囲気を間近で感じられる本イベントは、プロ野球ファンにとってはよりチームを好きになるイベントといえるのではないでしょうか。
●、、というようなアイデアをファンと一緒に考える!Next Ballpark Meeting
「なるほど、、、でもそれだけなの、、?」と思ったあなた。どちらかというと私が紹介したいのはアイデアの出どころなのです。
先ほどのツアーは、実はベイスターズのファンの方が考えた施策なんです。
ベイスターズは「Next Ballpark Meeting」というイベントを実施し、一般応募の参加者と一緒に、スタジアムをより楽しむためのワークショップを行われています。その中で大人子ども問わず、自由なアイデアを出し合い、ファンが楽しくなるようなイベントを考えていたのです。
他にも例えばコロナ禍に行われたNext Ballpark Meetingでは、選手が使用した折れたバットを再生利用し、新たなグッズを考える会議を行っていました。そこではファンの方から、新しい鳴り物(たたくと音が出る応援グッズ)にする案が出ました。
球場にいっても声が出せない中、選手を応援するツールに選手が使っていたものを取り込むというこのアイデアは、球団スタッフの方だけでは発想できなかったと感じられていたそうです。
■おわりに
いかがでしたでしょうか。
横浜DeNAベイスターズがとった施策からいえることは、マーケティングは、自分たちで考えるだけではなく、「既存顧客(ファン)に直接聞いちゃう」というある意味王道のようで邪道のような方法がある、ということです。
普段からこよなく愛してくれているファンだからこそ、たくさんのアイデアや願いを持っているものです。むしろ、ファンを巻き込むことで、ファン自身のチームに対する当事者意識が大きくなり、一緒にチームを大きくしていきたいという気持ちや、カスタマーエンゲージメントが強くなるとも言えます。
また、ファンに聞くことはアイデア出し以外にもできそうです。例えば出したサービスについて感じていることを聞く会を開催すれば、プロダクトフィードバックループを回せます。
このような巻き込み型のマーケティングは、きっとアイデア次第でどんな企業でも生かせるのでぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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それではまた別の記事でお会いしましょう!
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