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創作物(詩)

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【詩】気候

  気候

よしんば人々を粉々にしていたからといって
俺が善良であることに変わりはない
わ行をうつむきながら復唱している釣り人から
せしめとった金で買ったゴム底の郵便船を
画鋲で穴だらけにしてから水に浮かべて客を呼んだからといって
少しも傷つかないことの最たるものこそが
この俺の善良さ
砂を弾いていく蜘蛛の踏みにじってきたむき出しのアスファルトを
思いながら踏みにじっていく俺の靴底の蜘蛛たちが

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【詩】浅はかな休憩

浅はかな
休憩

手のひらを重ね合わせた残像を
打ちひしがれている誰かの前に
さらけ出している商人が
売り物のガス灯を
路上に放置していくごとに
少しばかり
治安が良くなっていくのを
黙認している犯罪者集団の
面白おかしい暗躍に
胸を躍らせている商人が
売り物のガス灯を
ここぞとばかりに持参していく
明るすぎる街角で
交番以外
すべての建築物から盗む
ひだまりを
振り返りざま
スプレーか何かのよう

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