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ゆううつなる気持ち

憂鬱なる気持ち
いつも僕のそばにいてくれるただ一人の友よ
憂鬱なる気持ち
そこかしこに漂う霧のような君よ
憂鬱なる気持ち
寄せては返す波のように僕をさらってくれる
ゆううつなる気持ち
いつの間にやらたち消えて
知らぬ間にまたやってくる
憂鬱なる気持ち
君は赤信号の奥底に眠ってゐる
ゆううつなる気持ち
何ごとにもめげずに僕を抱いてそこにある
憂鬱なる気持ち
いつしかここを飛び立ち
遠い海の向こうで自由に泳ぎ回るだらう
ゆううつなる気持ち
君が僕を放さないのは僕が君の声だから
憂鬱なる気持ち
無意味に堪えられずとも
音の鳴る方へ連れ立っていく
ゆううつなる気持ち
覚めやらぬ夢の中で君に出会うのを待つ
憂鬱なる気持ち
細い繊維の編目に隈なく宿る虫のよう
ゆううつなる気持ち
たらふく食えばいなくなる
憂鬱なる気持ち
僕が死に絶えても君はここに残るだらう

イトマキエイ千広

但し書

この詩は2019年2月3日に原稿用紙に書いたものを加筆修正したものです。「憂鬱」の漢字とひらがなの使い分けは当時のものをそのままとしました。

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