【詩】雲とせせらぎ

夕方
歩いて近くのスーパーに
父親の晩ごはんを買いに
川べりでも少し蒸し暑い

私は年金で生活しているから
貧しいけれど
今はないのだ
営業不振の言い訳も叱責も
同僚のハラスメントも
今はここにはない

ここには秋の雲と川のせせらぎがある

誰に勝ったとか
負けたとか
そんなことは今はない

ここには秋の雲や川のせせらぎがある

人から見れば
何もせずに気楽に見えるだろう
父親を病院に送り
食事を作り
庭木を切り
朝ゴミを出す
一日はそれで過ぎていく

こんな事を言うと
驚くだろうか

それでも
私は戦っているのだ

秋の雲を眺めながら
川のせせらぎを聴きながら
人生という時間と
私はしずかに戦っているのだ