見出し画像

行き場が無いから何処にだって行けるわ

「2年後、何処に行きたい?」
友だちに聞かれた。
咄嗟に出てこなかった。
あと2年でこの田舎暮らしも終わる。
でも私、行きたいと思う場所がない。

実家の近くなんて嫌。
申し訳ないが、実家は本当に息が詰まる。
弟の就職が決まらず、面接に落ちる度に泣きながら電話をかけてくる母。
弟が受ける会社に「○○大学卒業したのに、あんなところ受けて…。」と電話口で愚痴を吐き続ける。
声だけでうんざりするのに、もう一度同じ屋根の下に住んだら絶対に発狂する。
弟は可愛いし好き。でも、繊細なガラス細工のようで気を遣う。ずっと一緒にいるのはしんどい。
父は50過ぎて、ポルシェに乗り、クロムハーツのごついネックレスを買った。毎日深夜まで会社の人と飲み歩く日々。
イキった成金かよ。
嫁に見捨てられた男のお金の使い方は意味が分からない。

付き合っている人もいない。
いてもどうせ長続きはしない。
だって、本当の私を見せられない。
傷つけられるのも傷つけてしまうのも怖い。
結婚も子どもも私には無理だ。
お母さん、『孫に囲まれたい』という望みを叶えてあげられなくてごめんなさい。

二十数年生きてきて、帰る場所も行きたい場所も無いんだな。
寂しい人生。
でも逆に言えば、何処にでも行けるということ。
ここに残ってもいいし、遥か遠い場所に行ってもいいということ。
孤独と引き換えに得た自由。
折角なら使い倒そうじゃないか。
人生という長い旅。
寄る辺のない流れ人。
伴走者もいない独り者。
次は、更に田舎の島にでも行こうか?それとも、都会で賑やかな生活?

行った先に、小さくとも自分が傷つかない居場所ができればいい。
訥々と文章を書いて、美味しいものが食べられたらもう十分。
あとは、「先生」と必要としてくれる子どもたちがいればそれで。
旅って結局そういうもの。何処に行くよりも、自分の本当に求めるものがそこにあるかということが大切。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?