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創作の衝動を絶やさない、オンリーワンなものづくりへの挑戦

3ヶ月間、EMARFアンバサダー*として活動してくださった隆範さん。今年のはじめに大学の授業がオンラインになり、場所が問われなくなったことをきっかけに、三重県は伊勢市に引越しました。

そして、そこに借りた一室に、アンバサダーの活動を通して計3つの家具を制作。3ヶ月間、トライアンドエラーを繰り返しながら自分のこだわりを詰め込んだ制作をしてきた隆範さんから、日常の生活空間におけるものづくりへのヒントを探ります。

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*EMARFアンバサダープログラムとは、「ものづくりの文化を広げる」とともに、「学生ひとりを独立した企業家に育てる」ことを目的に、VUILDがローンチした日本初のクラウドプレカットサービス「EMARF」を使い倒す3ヶ月間の学生プログラムです。

▼アンバサダーとしての心意気を語ってくれた隆範さんの前回インタビューはこちら

こだわりを詰め込んだものづくりを通して実現した、個性ある生活空間

ー 3ヶ月間の活動を通してゆらゆら揺れるテーブル、ベッドのフレームに寄生する寄生家具デスク、棚を制作されましたが、実際に使ってみてどうでしたか?

生活の機能だけではなく、それぞれが独特な表情をもっているので、暮らしにメリハリがついています。個性をもった家具を使うと、いつもと変わらない生活にもパッションを得ることができます

ー 自分で作ったものが家や生活に馴染んでくる過程で、一作り手としての気付きや心情の変化があれば、教えてください。

今回僕が作ったものは、ゆらゆら揺れたりフワフワしていたり巨大だったりと、一見すると使い勝手の悪そうな部分があります。でも僕はそこに不自由さは感じていなくて、むしろそれを楽しんでいます。

例えば寄生家具デスクは、天板が少し斜めに傾いていて上下にフワフワ揺れるのですが、僕はパソコンしか使わないので不便ではないですし、むしろキーボードを操作するのに最適な角度で、机に身体をあずけて姿勢が悪くなりがちなところが矯正されています。

既製品で売られているものは「だれでも使い勝手の良い」製品が多いものですが、オリジナルで作ることで個人に最適なデザインとなるのはとても楽しいです。

ー 以前のインタビューで「学生アンバサダーとして、何もない部屋に家具をつくって行きたい」と答えていただきました。活動期間3ヶ月で棚、テーブル、デスクを制作されましたが、なぜこの3点だったのでしょうか?

アンバサダーとして何を作ろうかと考えたときに、「この土地(伊勢)で手に入れた材料の調合」と、EMARFの使い方ではなく「体系としてのプロトタイプにできる提案」を実現させようと考えて、前者は大麻を構造主材としたテーブル、後者は寄生家具のデスクとなりました。そして最後に、EMARFを最大限に活かして好きに作りたい!と思った結果、棚ができました。

ー 何もない部屋に作ったということで、かなり自由なものづくりになったのではないでしょうか。言い換えると、空間的制限が少ない状況でのものづくりにおいて、利点(うまくいったこと、良かったことなど)を教えてください。

自由にデザインできる機会ってなかなか無いので、楽しくやっていました(笑)。僕はいつも現実から飛躍したような設計をしているのですが、EMARFというシステムが理想のデザインへとかなり近付けてくれました。制約が少ない分、限りなく思想を追及しやすかったですね。

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ー 反対に、欠点(うまくいかなかったことなど)を教えてください。

うまくいかなかったことはあまり無いですが、インテリアとしてのテーマを明確に定めなかったので、それぞれが独立した印象の家具となりました。もし次にこのような機会があったら、インテリアのテーマを定めるかもしれません。

でも、今回はEMARFの手触りを確かめることができたので、方向性は良かったです。

ー SNS内外含め、どのような反響がありましたか?

先日行った木材系のイベントで、EMARFアンバサダーとして活動していた様子を見て下さっていた方がいて、それがきっかけとなり、初対面でしたが話が盛り上がりました。知らない間に人の目に触れていたんだなと驚きました。

創作の衝動を最大限に引き出すために

ー EMARFを知ってくださっている方の中には、使ってみたいけど何を作ればいいかわからないという方もいるようです。隆範さんは、自宅の家具をゼロからEMARFで作っていったわけですが、日常生活におけるものづくりを実践する際のマインドやアイディアの根元、そして前述のような方々にアドバイスがあればぜひ教えてください。

僕のオススメは、完成形が想像できない問題に挑戦することです。これなら作れるかもしれないなというものを作るくらいなら、どこかで買って来た方が良かったりします。

例えるなら、ググって出てくる答えじゃなくて自分にしか出せない答えを求める方が楽しいですよね。自分の性格だからこそ生まれる既存物との不合理を見つけ出して、その調和を計ろうと思ったら、きっと面白いものができますよ。

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ー 作りたいものがない時や、作りたいと思った時に進行を阻害する障壁への解決策があれば教えてください。

正直なところ、作りたいものがない瞬間が僕の人生の中に無かったので答えになるか分かりませんが、創作の衝動を真に阻害するものは時間しか無いので、そういう時は優秀な人を味方に付けることが効果的だと思います。人に頼るのは大事ですね。

ー 今回アンバサダーとして作った作品をSNS等で発信していただきましたが、今後、作ったものに対してどのような広がりがあったら良いと考えますか?

僕はリクエストに対して驚きのある回答を制作していきたいので、これから何か作ってほしいという人とマッチングできるようなフィールドがあると嬉しいです。

EMARFを使った作品一覧からクリエイターにコンタクトできて、それを誘導してくれるような仕組みがあるといいですね。

ー EMARFはユーザーのニーズに答えながら、日々アップデートを続けています。今後EMARFにどのような展開を期待しますか。

EMARFを使っていると何度かエラーは出てきていて、特に切り抜かない切削の操作が苦手な印象でしたが、今後、きっとエラーは減っていって使い勝手が良くなっていくのだと思います。

最近は無垢材に関心があって、色んな材木屋に足を運んでいるのですが、例えば製材所からShopBotを通って受け取れるようなフローができたら素敵です。3Dスキャニング済の無垢材データのカタログから材を選んで加工できたら最高だなと思います。

ー 次に作りたいと思っているものや今後の活動予定があれば教えてください。

やはり無垢材に関心があって、製材段階でハネられる樹皮付き広葉樹の加工が面白いので、最近は木材の図鑑を買って樹種毎の特性と木目を研究してます。合板では味わえないスリルが刺激的ですし、オリジナルのものを作るならとことんオンリーワンな手法を取りたいと思ってます。

▼合わせて読みたい:アンバサダーとしての心意気を語ってくれた隆範さんの前回インタビュー

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