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【連載インタビューvol.3】創作意欲は、実現しなかったアイデアから湧いてくる。建築を起点に広がっていく建築学生のものづくり論

設計を身に付けたいひとから現役設計者、そして木工家や職人まで、様々な職能を持つ方々が集まるEMARF CONNECT。

本記事は、EMARF CONNECTメンバーの素顔に迫る連載企画です。
第三弾は、清亮太さんをご紹介します。

● 清亮太さんプロフィール
千葉県柏市出身。現在は日本大学生産工学研究科建築工学専攻の修士1年。岩田研究室に在籍。
大学院ではVR空間・ゲーム空間に関する研究を行っている。
学部生時代からデジタルデザインに関心があり、EMARFのワークショップへの参加をきっかけに木を用いたものづくりにも興味を持つ。
自主制作に関する知見が共有できる場を求め、EMARF CONNECTに参加。

● 今日はよろしくお願いします。普段はなにをされていますか?

日本大学生産工学研究科建築工学科の大学院1年生です。

● どんなことを研究されているんでしょうか?

少し前に「メタバース」という言葉が流行ったと思うのですが、
仮想空間上でデザインする際に、今後はどのように考えてデザインしていくべきか、という本質的な部分を研究したいと思い取り組んでいます。

● 今のお話しですと、木工のEMARFとあまり関連してこなさそうですが・・・。EMARF CONNECTに入ってくださった経緯を教えてください。

僕は新しいものが好きで、2021年春頃にEMARFのワークショップに参加し、そこでワッフルチェアを作りました。

もともとデジタルデザインには興味があったので、その延長線上として、現実に根付いたものと、バーチャルなものが交差するEMARFにも興味があったんです。

研究ではバーチャル空間について考えていますが、一方で趣味でGrasshopperを触る機会もあるので、その訓練にもなるのではと思い入会しました。

● ありがとうございます。ワークショップに参加する以前にも、ものづくりや 自分で手を動かす機会はあったんでしょうか?

そうですね。建築学科にいるので、模型などを作る機会はありました。
また、昔から大工道具を使った木工の経験もあります。

● そうなんですね!大工道具はどこで?

祖父が大工をやっているので、家に大工道具がたくさんあったんです。

● いいですね。じゃあ割と、家の家具は自分たちでつくる、みたいなご家庭だったんですか?

そこまではやっていませんが(笑)、ちょっとしたものだったら自分で作るという経験は、他の人よりはあると思います。

● なるほど。大学で建築を専攻したきっかけはありますか?

さきほどお話しした通り、ものづくりが好きだったということと、建築は多様な領域に接続している学問だと思ったことが建築に進学した理由になっています。

今研究しているバーチャルなこと、そして、デジタルデザインと実際に手を動かすことを行き来するEMARFのようなものづくりだったりと、色々な所に接続できることが建築の魅力だと思っています。

当時はこんなに具体的には考えていませんでしたが、建築を学んだら広い分野に手を出せそうだなとなんとなく思ったんです。

● 確かに、建築出身だけど全く異なる分野でご活躍されている方って結構いらっしゃいますよね。
入会後、CONNECTのどのような点に面白さを感じていただけていますか?

大学にいると、社会人の方や他分野の方に間接的にでも繋がれる機会ってなかなかないですよね。

大学はどうしても閉鎖的な環境になってしまうので、そのような機会があるCONNECTの場は貴重だと感じています。

● 清さんはBaBaBaでのデザインフェスにも参加してくださりましたよね。どうでしたか?

すごかったですね。クオリティが高い作品ばかりで驚きました。 

2022年9月に開催した展覧会「EMARF DESIGN FES #01」@BaBaBa(高田馬場)

● そうですよね!そもそも、清さんが出展しようと思ったきっかけはありますか?

作りたいものは元々あったのですが、目標みたいなものを掲げて取り組まないとなかなか作り始められないというか・・・。

あまりよくないかもしれないですが(笑)、自分を奮い立たせるための良いきっかけになれば、と思い参加しました。


● ゴールや締め切りがないとなかなか腰が上がらないですよね(笑)。
作ったものを人に見られるという体験はどうでしたか?

これまで卒業展示などには出展したことはあったのですが、
BaBaBaのような開かれたギャラリーで展示するのは初めての経験だったので、そこで自分が作ったものを見られるというのは、こそばゆい感じがしました。

また今回のように、学校の外で自主的に行える環境があるのは嬉しかったですね。
大学だと作品を直に発信する機会が限りなく少ないので、貴重な経験だったと感じています。タイミングが合えばまた参加してみたいです。

● ありがとうございます。今後CONNECTでやってみたいことがあれば聞かせていただきたいです!

CONNECTが始まる前に僕が参加したような、短期型のワークショップがあればいいなと思います。
期限がきちっと決まってると、気が引き締まるというか(笑)。

2021年12月に開催した「12mmの合板1枚からつくる2daysオリジナルスツール制作WS」の様子

● やっぱりみんなで追い込める機会があるといいということですね(笑) 。
先ほどデザインフェスのお話しで、もともと作りたいものが漠然とあったとおっしゃっていましたが、その漠然とした「つくりたい」という気持ちの動機はなんですか?

建築設計はアイデアを扱うので、アイデア出しや議論の中で面白いものが出てきたりするのですが、課題テーマに沿っていないために実際には使わなかった、みたいなボツアイデアが溜まっていきます。

なので、「使わなかったけどいつか使いたい」というアイデアを公開するという意味で自主的に制作することで、創作意欲が湧いてきている気がします。

● なるほど 、たしかにそうですよね。
アイデアとして出るってことは、そもそも自分がやりたいと思っていたり、面白いと思ってるから出てくるということですもんね。

そうですね。
あと単純なはなし、建築設計課題だと、制約や条件があって、ある程度リアリティを持って考え たりしなければいけなかったりするんです。

もちろん今は学生レベルですが、おそらく社会人になると仕事としての別のベクトルが生まれてきそうだなと思っています。

そういうしがらみみたいなものから解放された場所で、シンプルに自分が作りたいものを 作れる環境があるというのも、創作意欲につながっている理由のひとつだと思います。

● すごくいいですね。
ノートに書きためていくだけで終わらずに、ちゃんとそれらをアウトプットできる場があると、なんらかのカタチで次にも繋がりますね。

そうですね。
デザインフェスの打ち上げの時に、仕事としてデザインするのも面白いけど、それとは別に、「やっぱり自分が作りたいものを自分のためにつくりたいから」という理由でCONNECTに参加していると仰っていた方がいました。自分は学生の身ですが、それに近い感覚で参加しています。

● 確かにものづくりの原体験って、自分のためとか誰かのため、という純粋な気持ちがきっかけになっていることが多い気がするのですが、仕事としてはじめると、条件や制約に縛られてしまい、まっすぐ向き合うということが少なくなってくるかもしれないですね。

EMARF CONNECTが、皆さんが「つくりたい」に向き合える場になっていることがとても嬉しいです。今日はありがとうございました!


▼メンバーインタビュー第一弾・第二弾もぜひご一読ください!
「意匠設計から鉄工所へ。手を動かすことから始まるものづくりとその原動力」

「興味があるところに飛び込む!関係値を深めながら高める将来へのものづくり欲」


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