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「業務」と「看護」

動物病院で仕事を始めて12年。
動物病院には、毎日たくさんの飼い主さんがペットを連れて来院されます。
皆さんの考える
「動物看護師の仕事」とは、なんでしょうか?

以前、動物看護師の職に就く方々へセミナーを開いた時に問いかけたところ、半数以上の方が「保定」と回答。
保定とは、診療や処置の際、動物が動かないよう保持すること。
保定は動物の種類や骨格、性格、動き、診療の流れや内容、色々な点を考慮し、動物への負荷を最小限にしながら安全に診療や処置を遂行させるためのスキルです。 

その保定。業務ではなく、看護と捉えると、意識が変わる気がしませんか?
ただ動きを静止させるために保持するのではなく、保定の間にみているのは、動物たちの顔色や震えなどの様子から、飼い主さんとの関係性や、診察室内の会話。
時折動物たちに話しかけたり、飼い主さんと会話をしたり、コミュニケーションをとりながら、大切な患者さん(動物と飼い主さん)の気持ちを汲み取り、愛情をもって関わることも、動物看護師として大切な看護の一貫です。

保定を例として挙げましたが、他にも待合室や診察室など、動物病院の多くの場面で「看護」は活かされています。
患者さんの側面
(動物の種類、病気や飼い主さんの印象など)
は事前情報として持ちながら、
患者さんの内面
(動物それぞれの性格、表情や行動から感じること、お家でのエピソード、飼い主さんの大切にしたいこと、ペットへの想いなど)目では見えない部分に目を向けること。
そこには、治療中や入院中の関わり方、家庭での過ごし方に繋がるヒントがたくさんあります。

患者さんへ安心を与え、信頼を育み、声なき声を拾うことも、大切な看護のスキルであると実感しています。
目の前のことを業務と捉えるのか、看護と捉えるのか。

皆さんにとって、看護とはなんですか?




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