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中学2年生でも理解できるアレルギー・免疫学の仕組み


外部から体内に細菌、ウィルス、寄生虫などの犯人(抗原)が侵入してくると、体内をパトロール中の警察官(マクロファージ)が犯人を逮捕してバラバラにします。さらにサイレン(サイトカイン)を鳴らして警告すると次々に仲間の警察官(好中球やNK細胞)が集まり一緒に協力して犯人をバラバラにします。

しかし、犯人が強敵で倒せなかった場合は、警察官は白バイをぶっ飛ばして交番(リンパ節)に戻り、司令官の刑事(T細胞)に顔や服装など犯人の情報を伝えます。情報を受け取った刑事(T細胞)はただちに戦闘モードに入り、特殊部隊(キラーT細胞)とスナイパイー(B細胞)に攻撃命令を出します。

血液中では,感染初期にはスナイパーが狙撃銃で銃弾IgMを発射しますが5日ほどで弾切れになるのでそれ以降はライフルで銃弾IgGを発射し、新しい感染細胞へ移動する標的(ウイルス)を狙撃します。気道や腸管などの粘膜表面では緊急配備されたパトリオットミサイル(分泌型IgA )がウイルスの侵入を水際で食い止めます。

市街戦で破壊力の強い兵器でウイルス感染細胞を破壊すると市民や市街地の建物への犠牲も大きくなります。さらに犯人が全身に広がると警察官(マクロファージ)から緊急サイレン(炎症性サイトカイン)がバンバン出されてうるさくて(アナフィラキシーや致死的な敗血症やサイトカインストーム)死に至ることがあります。
そこで特殊部隊(キラーT細胞)とスナイパー(B細胞)の2人が暴走しないようにブレーキをかける役割が制御性T細胞(Tレグ)です。制御性T細胞(Tレグ)はサイレン(TGF-β や IL-10)を鳴らして警察官(マクロファージ)や特殊部隊(キラーT細胞)とスナイパー(B細胞)をなだめます。 

さて、本題のアレルギーのメカニズムです。
誤解を恐れずアレルギーの病態をズバッと一言で答えると、「本来であれば無害のダニのフンやスギ花粉などに対して司令官の刑事(T細胞)が指名手配犯だと誤解して暴走する状態」です。

アレルゲン(ダニや花粉)が体内に侵入すると、パトロール中の警察官(マクロファージ)がアレルゲンをバラバラにし、司令官である刑事(T細胞)に指名手配犯を逮捕したことを伝えます。その情報を鵜呑みにした刑事(T細胞)は緊急事態宣言を発令し、犯人を狙撃する銃弾IgEを作るようスナイパー(B細胞)に指令を出します。スナイパー(B細胞)が作った大量の銃弾IgEが発射され皮膚や鼻、呼吸器の表面近くに配備された誘導爆弾(肥満細胞)に当たると爆発して化学物質(ヒスタミン、セロトニン)が放出されます。そうすると戦場となった市街地(気道、皮膚、鼻粘膜など)は赤く腫れあがり炎症を起こします。また、水道管が破裂(血漿の漏出)して、司令官である刑事(T細胞)が警報(IL-31)を出すと市街地は大混乱(痒い)に陥ります。

ヒトのアトピー性皮膚炎と同じで犬も猫も痒くてバリバリ引っ掻くことがとにかく悪化の原因となります。どうして掻くと悪化するか?というと、バリバリ引っ掻くと皮膚の表面の細胞(角化細胞)が「あれ?やばくない?」と危機を察知し緊急警報(IL-33,IL-25,TSLP)を鳴らします。そうすると司令官である刑事(T細胞)が暴走して緊急避難警報(IL-31)が出ると痒み神経(C繊維)が刺激されて痒がることになります。動物病院でよく使われるアポキル(成分名:オクラシチニブ)やサイトポイント(成分:ロキメトマブ)は司令官である刑事(T細胞)の出す緊急避難警報(IL-31)の音を消して痒みを止める薬(分子標的薬/ モノクローナル抗体製剤)です。

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