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技術と用途がここまで進化!?3Dスキャンの「いま」と「これから」を考える

こんにちは、newtraceの柴原です。

バーチャルやメタバース、あるいはNFTと同じ文脈で語られるべきテーマに『3Dスキャン』があるのをご存知でしょうか。

「なぜいま3Dスキャン?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

確かに3Dスキャン自体には目新しさはないのですが、ここ数年で技術の進化と成熟度が格段にアップ。加えて他の領域のテクノロジーを融合することで実に面白い発展性と可能性を秘めているのです。

今回から複数回にわけて、3Dスキャンのいまとこれから、またビジネスにおける活用法などについてお話したいと思います。

3Dスキャンの現状

いま世の中で流通している3Dスキャンは大きく分けて2種類あります。

ひとつは『フォトグラメトリ』といって画像を何百枚も撮影し、それをもとに3Dデータを起こす方法。もうひとつは『レーザー』で、その名の通り対象物にレーザーを当てて距離感を図りながらスキャンする方法です。

それぞれにメリット、デメリットがあります。

まずフォトグラメトリですがなんといってもデータの軽さが最大のメリット。そして写真ベースなのでほぼ実写に近いものができる。ただ凹凸なども写真から判定するので元の3Dデータのままだとざっくりした見た目になります。

弊社が所有するフォトグラメトリ形式のスキャンスタジオ。被写体を中心に88台の1眼レフカメラが360度取り囲みます。

一方レーザーは情報を細かく拾えます。凹凸もすべてレーザーで拾って3Dデータに落としていくんです。たとえば博物館に展示してあるような骨董品などに向いています。その代わりデータが重いので演算するのに時間がかかります。

モニターを確認しながら、ハンディスキャナーでレーザーを当てデータを取る。※社内テスト中の1枚です。

共通していえるのは、ここ数年でPCの性能が格段に向上したことから処理速度が速くなったこと。さらに以前はどちらの手法も高価だったのがずいぶん手頃な価格になりました。加えて最近ではWebブラウザだけでなくスマホでも対応できるまで進化しています。

先日、とうとうiPhone13proでレーザースキャンができるようになりました。もう自分で手軽に3Dスキャンデータを作れる時代になっているのです。

ほんの少し前までは機材もデータ処理するソフトも専用のものを用意する必要がありました。それがいまでは普通にスキャンできて普通に見られるわけです。汎用化のスピードには本当に驚かされます。

弊社運営の3Dスキャンスタジオについてはこちらから!

3Dスキャンのこれから ~ターゲットや活用法を考える際のポイント~

一人にひとつの3Dデータ?

ここまで身近になるとさまざまな活用法が気になってきます。当たりどころ次第では一気にブレイクする可能性も。バーチャルの世界やメタバースで本領発揮するのか、それとも写真の代用としての扱いに落ち着くのか。

どこに当たるかは各企業が試行錯誤している段階ですが、結構いろんな場面で活用できると私は睨んでいます。

スマホでスキャンできるようになれば、いずれ一人にひとつの3Dデータを持つ時代がくるかもしれません。データさえあればブラウザやスマホ上での動きも付けられますから、発展性も高い。3Dプリンタで自分や友人のフィギュアを作ることもできます。
Beyond 5G(高速・大容量・低遅延・多数同時接続の第5世代通信環境の次の世代)に向けて総務省がデジタルツインの支援に積極的なことからもわかるように、等身大のサイズで作成してAIがコントロールする、なんていうSFみたいな話も未来の夢物語ではないでしょう。

いずれにしても肝心なのはデータを所有しておくこと。この点についてはデバイス次第なのでiPhoneの3Dスキャン機能はエポックメイキングだと思っています。この先、一気に浸透すれば若者にとっての免許やマイナンバーカードより早く確実に「一人にひとつの3Dアバター」が実現するかも知れません。

3Dデータが伝える「情報」

もうひとつ重要なポイントが3Dデータはシーンを伝えるものではない、ということ。実際の仕様を伝えるものなんです。写真はどこまでいってもイメージですけど、3Dデータは物体としての情報をより正確に、よりリアルに伝えられます。

このあたりを押さえておくことが、ターゲットや活用法を考える際には必要なんだろうなと見立てています。

アパレルECでの3Dスキャン活用の可能性

返品率の改善に貢献

実はいま私がイメージしている一番のターゲットは、アパレルECの分野。ここは3Dスキャンデータと相性もよく、なおかつ業界が抱える課題解決にもつながるんじゃないかと確信しています。

これまでのアパレルECに足りなかったもの。それは商品の質感がわからないということです。どうしても画像では情報量に限界がありますから。でも3Dスキャンデータなら全てわかります。着た感じのシワ感やパンツの折りの質感、マテリアルの固さや柔らかさ…

360度回転させてシルエットやサイズ感を、データを拡大することで質感を確認することが可能 ※gifを軽くするため画質を多少落としています。

これらを伝えられるようになると、何が変わるか。

返品率が激減すると思います。

商品が立体となることで注文前段階での情報量が格段に増え、商品が届いてから「(購入前の)イメージと違った」が減る。結果的に顧客満足度が増し、カスタマーサポート宛のクレームが減る。アパレルECが抱える大きな課題がひとつ解決するのです。

3Dスキャンデータを閲覧できるようにするためのサイト改修もさほど難しくありません。外部サイトに飛ばすリンクを貼れば解決します。一部アパレルではオーダメイドのシュミレーターなどがあると思いますが、あれと同じ仕組みです。

実際に弊社はアパレルブランドのバーチャルショップにおけるABテストの実証実験を行いました。写真と3Dで購入や返品率などに差がどれぐらい発生するか。ここの数字が大きければ大きいほど、業界全体への浸透度が変わってくると思います。

面白いデータが取れたら差し支えない範囲でこちらのnoteでご報告しますので、どうぞお楽しみに!

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