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「副業解禁」が解放するもの(2)〜もしもあなたの副業が会社にバレたら〜

「副業はやってはいけない」という雰囲気があったのは制度やルールの問題と日本の雇用の仕組みがそう仕向けてきた、というのが先日のお話です。今日は、もしバレ、つまりもしもあなたの副業が会社にバレたら、を少し解像度高めに整理していきたいと思います。

今日も最初にざっとスライドに目を通してらえると嬉しいです。あんまりに読み込まずに、壁にかかったポスターでも眺める感じで。

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もしもあなたの副業がバレたら

もしあなたが会社に無断で副業をして、それが会社にバレたら、あなたはどうなるんでしょうか?

入社以来、まともに読んだこともない就業規則に基づいて、とかなんとか言って、処分される?ほどほどにしとけよ、と諭される?どんな感じなんでしょう。

結論から言うと"中身による"です。

身も蓋もない感じですいません、大変恐縮です…。そんなの当たり前じゃん、とお思いでしょうが、大事なのは「副業=全て禁止」ではないということです。「なんでもかんでも禁止」は禁止なんです。それは、そうですよね。少なくとも、会社を離れた時間で何をしていても、そこには個人の自由というものがあります。大げさにいうと、憲法で保障された職業選択の自由があります(ただ、こうした個人の自由に関わるエリアにまで会社の規則が忍び込んでいても、違和感を持つ人が少ないというのも「全てを背負うから、すべて委ねて」モデルが社会に浸透している象徴かもしれません)

でも、じゃあ、一方でなんでもかんでもOKかと言うと、それもまた違います。やっぱり、そこにはちゃんとルールがあります。

まっ、副業は原則禁止ってことでヨロシク

雇用や労働を所管する厚生労働省が提供しているモデル就業規則には、以下のように記載がありました(ここが過去形なのを覚えておいてください)

許可なく他の会社等の業務に従事しないこと

シンプルですね。許可がなければお仕置きよ、です。

モデル就業規則は多くの企業の就業規則の雛形になっていますから、これをそのまま援用している例も多いと思います。また、通常、より精緻な内容を社員就業規則で決めています。

じゃあ、この許可。なんでもかんでも許可しなかったら結局、全て禁止になってしまいます。企業実務的には、ハイハイ、基本ダメだから、っと言って副業したいなんていう面倒なやつを適当にあしらう方が楽なのも事実です。でも、実はそれも違うんです。こんな副業はダメよ、というのも、その理由とともに、ちゃんと明確にされています。

副業はほんとは「条件付き」禁止

以下のどれかに当てはまる副業は禁止されています。

 ・本業に支障が出ている
    ・本業の守秘義務に違反する
    ・企業秩序に悪影響がある
    ・競争企業での就職

副業に熱心過ぎて、会社で十分に力を発揮できない、のだとすると、お給料払ってる会社からすると「なんだかなー」となるのが当然です。ライバルに塩を送ることを「副業ですから(キリッ)」と言われても、それはなんだかおかしくないか?と言われるのも当然です。

つまり、副業そのものというより、その結果会社にとって不利益が見込まれる場合、それを禁止する、あるいはその事実を持って処分を下すことができる、と言う建てつけで考えた方がより正確なルールの理解に近づきます。

実際、この条件は、それなりに強固なもので、たとえ、会社が就業規則で副業を禁止し、従業員がそれを受け入れていた場合であっても、こうした条件に当てはまらない副業を理由にした解雇や処罰は後に無効とされた判例がいくつもあります。

だから、もしあなたの副業が会社にバレたとしても、上の条件のどれにも当てはまらないならば、特に慌てる必要はありません。むしろ、仕事をもっと頑張って、成果を上げて、一目置かれて、本業に支障がないと周囲に認めさせていくだけのことです。

当てはまっちゃう場合は?

それは、素直にごめんなさい、した方がいいと思います、はい。

深夜の工事現場で

以前、「あの社員は、副業をしている」というタレコミを受けたことがあります。

調べてみると、確かに帰宅してしばらくすると出かけていって、黄色いヘルメットを被って深夜の工事現場で働いていました。お昼の仕事でもきちんと給料をもらっているのに、そこまでして稼がなくてはいけないとは何かよんどころのない事情があるのだろうな、と帰り道に思った記憶があります。

そのことを上司に相談したところ、ちらっとその社員の人事考課のデータを確認して「黙認でいいんじゃないか。きちんと働いてるみたいだから」との回答でした。本人の評価を見たところ高い評価をもらっていたので、「本業に支障なし」とその場で判断されたのだと思います。

会社にこうした合理的な判断をしてくれる人がいるのはかなりのレアケースだと思います。いきなり解雇だと処分だということは稀でしょうが、それとなく、「やめておくように」と上司を通じて諭されるケースが多いと思いますし、それでもやめずにいると、会社の方から「ああ、副業の人ね」と認識されて、本人にとってわかり辛くても何かの形で意地悪をされるような気がします。

ちなみに、このタレ込んできた人というのはタレ込まれた社員の奥さんで、そこには愛憎渦巻くある種のドラマがあるのですが、それはまた別の話。

他にも、時々、「水商売で働いている社員がいる」という話もあるのですが、こちらは会社がどうこういう前に、むしろ会社の方をやめていってしまうケースが多いようです。こっちの方は、見に行ったことはありませんので、悪しからず。

さて、そんな副業ですが、それが今や解禁どころか、さらに踏み込んで推奨する企業まで出てきています。それを後押しするように、厚生労働省も副業禁止の拠り所の一つとされてきたモデル就業規則の改定に着手して、副業についての諸条件の整備を始めています。では、なぜ、今、かつては「バレずにやる」ものだった副業が、「表に出てやる」ものへと変わりつつあるのでしょうか?

ということで、今日の分はここでおしまいとなります。

(2)のまとめ

・許可のない副業は禁止とされ、多くの人は、それを副業は全て禁止、
    破ると当然お仕置きと捉えてきた。
・しかし、実は副業は「条件付禁止」で、その条件も明確にされてきた。そ
 の条件に当てはまる副業は、会社に不利益も与えてしまうから当然禁止。
・だから、禁止の条件に当てはまる副業はそもそもやらない方が良いし、
 当てはまらないためには、本業で一目置かれることが大事。

このまま続きを読まれる方は下のリンク先からどうぞ。

(3)副業って三方よし?
(4)失われたフィット、内側から崩れたモデル
(5)下ろした荷物


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*本記事中のスライドにはicooon-monoさまのアイコン、フキダシデザインさまの吹き出しを使用させていただいております。ありがとうございます。

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