フィルムから伝わるピープロ特撮の息吹【連載第一回】
こんにちは、バリュープラス アーカイヴ プロジェクトです。
先日動画でも発信させていただきました、原口智生さんインタビューの模様をこちらの活動報告でも公開いたします。
原口さんは特殊メイクアーティスト・造型師として映像作品に携わり、特撮でも平成ガメラシリーズや仮面ライダーシリーズなど多くの作品に参加されてきました。さらには『さくや妖怪伝』『ウルトラマンメビウス』などでは監督・特技監督としても活躍されました。
またATAC(アニメ特撮アーカイブ機構)の発起人の一人であり、近年は過去の特撮作品のミニチュアやプロップを修復・復元する活動をされています。
原口さんはかつてピープロ特撮の撮影現場にも参加し、『快傑ライオン丸』のリメイク作品として2006年に放送された『ライオン丸G』でも、特撮ディレクター・造形を担当されています。今回はその原口さんに、発掘されたピープロ特撮4作品のフィルムを実際に見ていただき、ピープロに関する思い出や作品への熱い想い、写真資料を残していくことの意義についてたっぷり語っていただきました。
──本日は発掘されたピープロ特撮作品のフィルムを原口さんに見ていただきました。最初に、実際にフィルムをご覧になった印象をお聞かせください。
原口 もう「素晴らしい」の一言ですね。
『快傑ライオン丸』『風雲ライオン丸』『鉄人タイガーセブン』の放送当時は第2次特撮ブームの時期で、『電人ザボーガー』はもうその終焉の頃の作品です。今回発見されたフィルムは、当時の子ども向け雑誌「冒険王」のグラビアで掲載するために撮られた写真だと思うんですけれども、そういう物がこういう形で残っているのはとっても貴重なことです。先ほど拝見させていただいて、流石にちょっと興奮しています(笑)。
──原口さんの目から見て、具体的にどのような写真がすごいと思われましたか?
原口 雑誌の誌面で使われたスチールのフィルムも当然あるとは思うんですけれども、そういった写真には、ピントが合っていて構図もしっかり決まっているようなものを選ぶことが、比較的多いわけです。でもこの中には、ピントが合っておらずぶれているカットも含めて、まさに本番真っ最中のアクションシーンの写真などもいくつも見受けられました。
原口 これらはスチール用に準備して撮ったものではなくて、おそらく本番の撮影中にスチールカメラマンが撮影したカットと思しきもので、非常に貴重ですね。当時の撮影の状況や現場の息吹、雰囲気といったものが伝わってくる。しかも(モノクロではなくて)カラーの写真ですからね。素晴らしいです、本当に。
──フィルムというものは、たとえ保管していても褪色してしまったり傷がついてしまったりということがよくあると思います。
原口 カビが生えちゃったりね。
──そういった全体的なフィルムの状態は、一見してどのように感じられましたか?
原口 この時代のものにしては、状態は比較的良い方だと思います。ただやはり、今回のクラウドファンディングを通じて今のうちにクリーニングした上でスキャンニング、つまりデータ化するべきですね。今回、見させていただいた範囲に限って言えば、発色等も含めてかなり良い状態に復元できると思います。
【第二回に続く】
クラウドファンディング
「『ライオン丸』『タイガーセブン』『ザボーガー』昭和特撮フィルムを後世に残したい!」
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原口智生 プロフィール
1960年5月26日生まれ 福岡県出身
幼少期から東宝撮影所や円谷プロ等に出入りし、1975年に最年少で特撮映画研究団体「怪獣俱楽部」(主宰 竹内博)の一員となる。自主映画、人形作家の川本喜八郎の美術助手などを経て、『爆裂都市 BURST CITY』(1982年)で映画界デビュー。特殊メイクアップ、特殊造形として『帝都物語』(1988年)『異人たちとの夏』『ソナチネ』(1993年)『HANA-BI』(1998年)「平成ガメラシリーズ」(1995~1999年)『陰陽師』(2001年)『パコと魔法の絵本』(2008年)など数々の映画を担当。
映画監督としてビデオシネマ『ミカドロイド』(1991年)でデビュー。以後『さくや妖怪伝』(2000年)『跋扈妖怪伝 牙吉』(2004年)『デスカッパ』(2010年)を監督。特技監督、監督として『ウルトラマンメビウス』(2006~2007年)『ウルトラマンギンガ』(2013年)を手掛ける。
2012年、東京都現代美術館で開催された『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』では、展示コーディネート、修復師として活躍。現在、「認定NPO法人 アニメ特撮アーカイブ機構」(ATAC)発起人も務める。
「BAR KAIJU-CLUB HATAGAYA」店主。
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