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Gleeful | Vintage Clothing & Antique 店舗の強みを活かしたオンラインストア実現に向けて vol.1 三輪社長へのインタビュー

Gleefulは2008年に柏にオープンして以降、多店舗展開を進め、現在は千葉県の柏・松戸、東京都の下北沢(2店舗)・原宿、愛知県の名古屋と6店舗を展開。全国の古着屋に卸売も提供しているアパレル企業である。

Gleefulといえばアンティーク家具・什器が飾られた空間で、メンズ・レディース共にバランスよくヴィンテージからレギュラーアイテムまで揃える総合力が売り。柏店ではカフェも併設され、大学生から子供連れまで楽しむ姿が印象的だ。

そんなGleefulだがOnline Storeでも実店舗の強みを活かす方向性に舵を切ろうと取り組みを強化し始めている。今回はGleeful Online Storeの展望と、三輪社長が見据える古着業界の今後とGleefulの未来について伺った。

(後編:Onlien Store統括 斎藤氏のインタビューは8/8(金)公開)

- Gleefulのコンセプトについて教えてください。

元々はビンテージを中心とした拘ったラインナップと、レギュラーに関しては「良いものを安く」出したいと思い始めました。サイズもカラーも選べない1点物の魅力が古物にはかなりあると思っています。それを伝えたいというのがお店を始めたキッカケです。

- 高円寺の古着屋で働き、その後トラックの運転手なども経験した上で独立されたことを以前のインタビューで拝見しました。

20歳の頃にはお金を貯めて30歳までに独立したいと考えていました。独立資金を稼ぐために古着屋を辞めてタクシーの運転者になりました。あんなおじいちゃんでもできるなら倍働けば稼げるだろうと考えたのですが規制の変更などもあって満足に稼げず、トラックの運転手に転職し5年間働きました。

- その後、独立し現在では6店鋪の古着屋と柏店に併設されたカフェ、そしてオンラインストアを運営するまで拡大されていますが、当時から多店舗展開は視野に入れていましたか?

全くなかったですね。ただ最初からお金を稼ぎたいという気持ちは強かったです。この業界でも稼げるという未来を次世代に見せたいとは考えていました。

- ホームページも独立初期から用意されていたとのことですか、どういった狙いがあったのですか?

古着屋を始めたらそれなりに売れるだろうと思っていたのですが、開店した2008年当時は古着氷河期で何やっても売れないし、まず来店がなかったですね。そこでブログやホームページを始めましたが、観覧数は一日に10人前後でした。同業者に聞いたら「ヤフオクやりなよ」と言われて。ホームページにもヤフオクにも載せ始めましたがそれでも売れなくて。「1000点超えると回遊するから売れ始めるよ」と言われて続けていたら800点を超えたあたりから少しづつ売れ始めたのが原点です。

試行錯誤はしていますが、現在までもオンラインストアは苦手ですね。

- Gleefulさんは店舗作りや丁寧な接客など実店舗に強みがある一方、オンラインには店舗をそのまま持っていく難しさがあると思います。Online Storeの課題はどのあたりに感じていますか?

おっしゃる通り、うちは綺麗に陳列して商品の良さを接客でお伝えしていくことが強みだと思っています。それができないことや、試着をできないことがOnline Storeの難しさです。自分一人でやっている時から着用画像も撮影したりしていたのですが、なかなか伝わりません。

- 古着業界を見渡すとコロナ禍で古着屋が軒並みOnlineで販売するようになりました。また古着自体も流行し、SNSやオンラインに長けた若いオーナーが多く出てきています。それも踏まえて今後GleefulではOnline Storeをどのように進化させていくかの展望を教えてください。

在庫があることは強みだと思います。ただ、どうすればよいかは各セクションのボスに任せています。自分が頭を使ってしまうと当人達はやらされる側になってしまいますし、与えてあげられる対価にも限界が生じてしまいます。責任者がやりたいことを何でも挑戦できて、結果が出たらその分だけ給料が増える経営形態にしているので任せています。

- 権限委譲がかなり進んでいるんですね。

頑張って稼げるようになろうと決めた時に、お金があっても時間がなかったら意味がないと思いました。お金も時間も必要だと気づいたので、仕事はできる限り任せる必要があるなと考えています。自分がやってきたことを一つずつ譲ることで事業を拡大してきました。

- 社員の方々と数ヶ月に渡ってやりとりさせていただいていますが、真面目な方が多く、一般的な古着屋で働く人物像とは異なるように感じています。どういった基準で採用していますか?

好きなことで飯食って楽しんでくれる人がいいなと思っています。ただ面接も最近は各セクションのボスに任せていますね。

- ここからはOnline Storeの展望について伺います。実店舗の強みを活かして店舗とOnline Storeを繋げていく取り組みなどは考えていらっしゃいますか?

Online Storeを統括している斉藤からご説明させていただければと思います。

Online Store統括 斎藤氏:例えば、共同でインスタライブを配信したり、店舗でOnline Storeとの共同イベントを実施するなど店舗との連携を深めていこうと計画をしているのでご期待いただければと思います。

Online Store統括の斎藤氏(左)

- コロナも終息しEC化が一巡している状況だと感じています。Online Storeをセレクトショップ的な全方位な方向性にするか、もしくは個人店のように尖った方向性にいくのか。やり方は複数あるかと思いますがいかがでしょうか?

一番近道なのはブランド物のようなわかりやすい物を揃えることかなとは思っています。ウチは店舗だけでなくOnlineにもそういったアイテムを集めているので是非見ていただきたいですよね。

仲の良いの大手古着屋オーナーに聞いても「Gleefulもオンラインで売れるでしょ」と言われます。やっていることはそんなに変わらないのに差があるカラクリが正直わからない状況です。Online Storeチームにはできるところの真似をするところから始めて、いつか独自の方向性が見出してほしいと期待しています。

- 是非我々も引き続き支援させてください!ここからは長年古着業界に携わっている三輪社長に現在の古着ブームについて聞かせてください。過去の流行と比較も踏まえて今後も続くのか否かについてはどうお考えですか?

以前のブームとは明らかに違いますよね。ただ世界的にブームになり過ぎていて、為替や物価の高騰もあり日本の古着屋は仕入れが厳しくなっています。弊社の仕入れは、現地に常駐を置き、アメリカのディーラーと同じような動きをしているので、業界の中では安く買えている方だと思うのですが、それでもコロナ前の倍以上になっています。正直、売れているから回っている状態です。一方、2008年から2010年は1ドル80円と為替は良かったですが、氷河期で古着自体が売れなかった。今と逆の状況でしたね。

現在のブームもいつかは終息するかなと見ています。サステナブルの流れもあり2030年まではリユース業界が成長するという指針もありますが、ちょっと高騰し過ぎていて怖いという感覚です。「良いものを安く」ではなくなってしまったので、違うことを考えないといけないと思ってますね。

- ブームが終息していくことも想定した時にどのようなスタンスで経営されていますか?

「今売れればいい」というスタンスではないです。ブームが終息する時に生き残れる10-20%に入るための経営をしています。トレンドに飛びついて高額なものを買って売るでは一気に厳しくなると思います。

重要なのは、やはり「人」だと考えていて、通ってくれる若い子達の就活の相談に乗ったり、恋愛の相談に乗ったりする良き兄貴分になって欲しいとスタッフには話しています。それを愚直に続けていけば生き残っていけると考えています。

アンティークの照明に照らされる古着達。カフェと分ける窓のフレームもニューヨークの廃工場のものを用いている。

- 我々も古着屋を営むメンバーとタイに買付に行ってきましたが、決して安くないですし、日本人のバイヤーがかなり多かったです。為替が厳しいアメリカはさらに厳しいですよね。

所詮は「転売」なので。それをどうやるかが大事ですよね。メルカリだけで商売をしているお店もありますが、彼らと僕らは違います。なんとか頑張っていきたいですね。

- 先ほど仰っていたお客さんの恋愛相談にのっている話であったり、個人古着屋のような接客がこの規模でやれていることが素晴らしいと思いますが、逆に言うとこれ以上の規模では難しくなってくるのかな?と感じました。今後も事業は拡大していくことを考えていますか?

まだまだ大きくしようと考えています。ただ、ここ最近の弊社の流れのような大きな規模での出店はあまり考えていません。人口が減っていくことを想定した時に年齢層が上がることに合わせた商材にしていくのか、現状のまま大学生や若い世代をターゲットにしていくのかを考えましたが、我々はやはり後者に注力していこうと。

そのため地方都市に小規模の店舗を作っていきたいと考えています。

- 各地域の政令指定都市レベルにということですか。

柏もそうですがある程度の規模の都市には古着屋が数軒あるので、そこに混ざらせてもらって本領発揮できればそれなりにはなると考えています。

60-80%は現在の店舗運営から移管できるので、そこから数年かけて街に合わせていけば成立すると考えています。各地域の店長の存在が大きくなり、さらにその地域の若い子が個人で店を持ちたいとなったら出資するなど、一緒に大きくなっていく構想を考えています。

レディースアイテムも充実。カップルや家族連れも楽しめる空間。

- なるほど。確かにその形態であればGleefulの強みを活かせそうですね。

柏店のようにカフェを併設したお店を大阪や福岡といった大都市でやろうという話もしています。東京への出店はこれ以上はいいかなと思っています。

- それは何か理由があるんでしょうか?

柏へのオープン前は札幌でやりたいなと考えていたり、地方都市で認知してもらいたいという気持ちが元々ありました。今後も東京は看板としてありつつ、スタッフの子達の出身の地域に「自分でお店をやってみない?」と提案していく形もよいかなと思ってますね。

- スタッフの皆さんにとっても選択肢が拡がってよいですね。その方達が各地域で名を挙げて、お金を稼いで。それに地域の若い子が憧れるサイクルができていくという形ですよね。

地元愛がある子も多いのでWin-Winでやれるかなと思いますね。ただ、Online Store側はなかなか難しいですよね。

- これまでの文脈で考えるとOnline Storeを担当する斎藤さん達のキャラクターもかなり良いですし、リアルに出てイベントなどで人柄に触れてもらった上でOnline Storeを来てもらう形がGleefulさんらしいかなと思います。

過去のスタッフもOnline Storeは諦めて辞めていってしまうこともあったので、彼にはちゃんと結果が出して対価を払えるようにたくさん考えてもらえたらと思いますね。

- 最後に店舗にいらっしゃっているお客様に向けて、Gleeful Onlineについて伝えたいことはありますか?

Gleeful Onlineは、単純に各店舗にあるGleefulの商品がいつでも見て購入できることが強みだと思います。

是非一度ご覧になっていただければと思います。

三輪社長(右)とOnline Store統括の斎藤氏(左)

(後編:Onlien Store統括 斎藤氏のインタビューに続く)


Gleeful Online
Instagram:https://www.instagram.com/gleeful_online_mens/
Webサイト:https://www.gleefulstore.com/

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