4:ワールドパート:タクティカル祓魔師TRPG用カノン "永慈"
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1:キャラクター作成ルール
2:コアルール
3:成長ルール
4:ワールドパート
このTRPGのルールは、フィリップ・N・モーゼズ氏がメインルールデザイナーを務め、ニンジャスレイヤー公式/ダイハードテイルズによって提供された「ソウルワイヤードTRPGフレームワーク」を採用しています。
「ソウルワイヤードTRPGフレームワーク」の著作権は、メインルールデザイナーであるフィリップ・N・モーゼズ氏と、ダイハードテイルズ・ゲームズが有しています。
4-1:カノン・"永慈"
本項目では、"永慈"という名称に幾つかの意味を持たせている。
一つは「タクティカル祓魔師TRPG用の設定群を包括した、カノンの名称」という意味である。
もう一つは「タクティカル祓魔師TRPG用の舞台設定において用いられる、架空の元号」という意味である。
タクティカル祓魔師TRPG内での2040年代における日本は、"永慈"という架空の元号を採用したIFの世界線として設定される。
永慈と西暦の詳細な対応は敢えて設定していないため、必要に応じてシナリオ内で自由に設定すること。
4-2:タクティカル祓魔師年表
本項目では、タクティカル祓魔師TRPGの世界観のベースを説明するために「環境庁 神祇部」の設立経緯について簡単に解説する。
前提として、コア設定では「2001年に"環境省"が発足しなかった」IFの世界を取り扱っている。
これに倣い、タクティカル祓魔師TRPG用カノン"永慈"では「環境庁 神祇部」に下記のような経緯を与えている
4-3:超常が日常となった2040年代
本カノンにおける日本は西暦2040年代を舞台としている。
本カノンでの2040年代は、「境界異常」や「境界災害」と呼ばれる超常現象が世界中で発生している時代として設定されている。
これらの事件は、大都市近郊であれば週に2,3件、地方都市であれば週に1,2件、過疎地域であれば滅多に起きない……といった頻度で発生している。
これらの現象は1990年代以前はオカルトや都市伝説扱いであったものの、90年代当時の日本にあった研究機関「神祇庁 神学局」がその機序の一部を明らかにしたことで人類は「幽世」という未知の領域を知覚するに至る。
時代の進んだ2040年代においては、世界各国がそれぞれ「境界異常」に抗する機関を設置し国内の問題に対処している。その多くは、日本がそうであるようにその国でメジャーな宗教団体をベースにしている背景がある。
日本においては「環境庁 神祇部」が境界異常対策機関に該当し、警察・消防に次ぐ第三の公安組織として機能している。
日本においては神祇室が主導する情報統制により、「境界」にまつわる情報の一般への流出を制限している。
これは境界異常に伴い発生する「穢れ」が持つ、多くの人間の心理状態に影響を受ける性質を考慮しての対策とされている。
情報統制の結果、都市部に住む多くの人間は(頻繁に起こることもあり)「境界異常」を特段に珍しいものだとは思っていないようだ。
その一方で、実態に基づかない噂話や境界対策を謳った詐欺などが横行している実態もあり、警察や司法機関と連携しての対策に神祇部がリソースを割かざるを得なくなっている点が問題となっている。
4-4:「境界異常」とは
「境界」についての設定は、"タクティカル祓魔師"というシェアードワールド創作を繋ぐ大きな特徴の一つである。
本カノンにおいては、本設定を下記のように解釈している。
コア設定をある程度踏襲しているが、細部が異なる点があるため創作時の混同に注意されたし。
4-4-1:人知と未知の境界、現世と幽世
PC達が普段生活している現実世界は「現世」と呼ばれる。
この領域は物理法則によって定められており、これは霊学的観点において「物質的要素によって空間が構成されている」と表現される。
「現世」と対象となるのが「幽世」と名付けられた領域である。この領域では尋常の物理法則は意味を成さず、時空間含めて非常に不安定なものとされている。
霊学的観点において、幽世は「霊的要素によって空間が構成されている」と表現される。
これらの空間領域は重なり合った二枚の紙のような形で存在し、どの場所であっても隣接している。なお、この二つの空間の境目を「境界」と呼ぶ。
通常、二つの空間は独立性を確保しており交わることはない。
「境界異常」とは、「現世」と「幽世」の二つの境目が曖昧となり交じり合う現象として定義される。
境界異常が発生すると、「界異の出現」「現世への"穢れ"の漏出」等の現象が発生。
界異の多くは人や人が生活する設備に損害を与え、穢れは人体(厳密に言えば生物の霊体)に有害である。
いずれにせよ、境界異常に対しては早急な対処が必要とされる。
4-4-2:霊的要素、「加護」と「穢れ」
「霊的要素」とは、この世界に存在する非物質的な構成要素を指す。
「霊的要素」には、「加護」と「穢れ」の二種類が存在する。
現世に存在する全ての生物は「加護」をその身に宿している。
仮に何らかの影響で全ての「加護」を喪失した場合、その生命体は死に至ることが知られている。このことから「加護」は生物が有する力であり、「生命に紐づいた力」と表現することができる。
「加護」は「穢れ」が齎す身体的・霊体的な悪影響を中和する、正のエネルギーとして振る舞うことで知られており、神祇部では加護を用いて穢れを取り除くことを指して「浄化」と呼ぶ。
一方、「加護」の対極に位置する「穢れ」は幽世に由来する霊的要素であり、本来は現世に存在しないものとされている。
幽世は物質ではなく「穢れ」で形作られているとされており、現世の生命体が長時間滞在することができない。
これは「穢れ」が「加護」と相反する性質を有するためであり、「加護」と「穢れ」は互いの存在を打ち消しあう作用を備えている。
換言すれば、「穢れ」は死を齎す力であり、「死に紐づいた力」と表現することができる。
なお、霊学的には「加護」と「穢れ」の二つを隔てるものは「相の違い」であるとする説が主流であり、生命体にとっての振る舞いを参照して「加護」を「正」、「穢れ」を「負」と定めている。
エネルギーとしての研究が為される遥か昔から「加護」を用いる人々は存在し、過去の日本においては高僧や神職、拝み屋といった人々が「加護」を活用されていたことが記録されている。
「加護」の力を用い、超常現象を発生させる術を「祓魔術」と呼ぶ。
強力な術を伝える旧い家系は祓魔の名門とされ、祓魔師が一般化した現代においても一線を画する存在とされている。
また、もし「穢れ」を「加護」に変換することができれば、「幽世」を甚大なエネルギーソースとして捉えることができる。
幾つかの大企業が境界対策機関への出資を惜しまないのには、次世代へのエネルギー戦略に絡む思惑があるようだ。
4-4-3:"向こう側"からの脅威、「界異」
「界異」という用語は「境"界異"常」の略称として用いられることがあるが、作中では専ら「境界異常に伴い出現する危険な怪物」という意味合いで用いられる。
ある程度フォーマルな言い回しである「境界異常」に比べ、「界異」という用語は民間でも頻繁に使われている背景があり、一般人は「界異」そのものを「境界異常」だと思っていることも多い。
「界異」の正体については現代でも完全に解明されているとは言い難いが、「幽世由来の霊的構成要素である"穢れ"が、単体または現世の物質物体に作用して発生する現象」だというのが霊学的な定説とされている。
界異はその脅威度に応じて一号~五号の「存在規模」が定められている。
これは神祇室が判断して界異の種類ごとに策定しており、作戦規模や被害予測の参考とされる。現場の職員の多くは、「界異の強さをランク付けしたもの」として大雑把に捉えている。
この指標は界異の脅威度を表したものであるが、同じ号級であってもその戦闘能力にはある程度の幅があることに注意されたい。
参考:神祇室の定める存在規模の大雑把な目安
4-5:境界異常対策機関、神祇部
本項目では、「タクティカル祓魔師TRPG」における神祇部の組織構成と、ゲーム的な立ち位置について記述する。
4-5-1:境界対策の最前線、環境庁 神祇部
本カノンにおける「環境庁 神祇部」は、内閣府直属の外局組織として設定されている。したがって、PC達の殆どは環境庁 神祇部に所属する国家公務員という扱いになる。
ただし、後述するように本カノンの神祇部は人材不足を補うために「人材登用プログラム」という制度を発表・運用している。このため、所属職員達は前線に近い人材ほど個人色が強い傾向にある。
界異だけではなく、個性的すぎる祓魔師達の様々な行動が統括部門である神祇室の職員の頭を悩ませているようだ。
「人材登用プログラム」とは、増加し続ける境界異常現象に対する人員不足を解消するために神祇部が発足させた制度であり、平たく言えば「対境界異常業務に就く職員限定で、試験・研修の一部を免除する」制度である。
この制度により、本来であれば公務員にはならなかったであろう人材達が神祇部に集結することになり、導入前と比べて同部門は大幅な戦力増強に成功している。
その一方、この制度によって神祇部内の人員の質や思想、傾向に大きなバラつきが生まれていることも事実であり、祓魔師であることを強く特別視する旧い家系(と、それに強く結びついた宗教団体)からは批判の的となっている。
4-5-2:神祇部の頭脳、中央神祇室と「神祇官」
中央神祇室は、環境庁神祇部の内部部局として設置された組織である。
その設立意義は「境界異常に際する諸々の業務の立案、及び境界異常発生時における他部門の統括」とされる。
所属人員は最も少ないものの、その業務の性質上神祇部の中核を担う組織であり、実質的な神祇部の意思決定部として機能している。
中央神祇室に所属しているのは、例外なく「神祇官」である。
神祇官とは2001年に施行された制度によって定められた国家資格「儀式技術及び祭具取扱に関する管理統括者」資格の所持者を指す。
同資格は「境界」に関する知識や「加護/穢れ」といった霊力因子の取り扱いといった、超常的事象に対して人類が持ち得る知見の最先端を持つことを証明されており、その理論に従って祓魔業務を立案・遂行する。
「神祇官」になるには国家の定める試験に合格した後、国家の認定する同資格者の監督のもと数年の実務経験を積む必要がある。
「神祇官」にはキャリアや実績に応じた大雑把な階級が与えられており、下から順に「甲」「乙」「丙」「丁」「戊」の5つに分けられている。
案件の重要度に比例して、階級の高い神祇官が担当に付くことが多い。
「神祇官」という言葉自体は神祇部の職員を指す訳ではなく、同資格の保持者を指す言葉である。したがって、環境庁に所属していない「神祇官」も一定数存在する。
その多くは日本に点在する寺社仏閣の管理者であったり、祓魔に関連する民間企業に雇用されているケースがあるようだ。
環境庁 神祇部に所属する「神祇官」は先述の通り、祓魔祓滅の業務を立案・遂行する任を負っているため、多くの祓魔師達にとっては指揮官や管理職のような立ち位置にあたる。
中々前線に姿を現さない神祇官を「実戦経験の無い、名ばかりの指揮官」と見做す者も存在するものの、彼らの多くは資格の修得過程にあたり何らかの術理や技術に特化している傾向にあり、戦闘がこなせないわけではない。
4-5-3:祓魔戦闘のスペシャリスト、境界対策課
境界対策課は、「境界異常に際して出現する、自立行動型の穢れの塊」である「界異」との殲滅――即ち"祓滅"を主たる業務とする組織である。
誤解を恐れずに言えば中央神祇室からの指令に基づき「現場に出向いて怪物を討伐する」ことが彼らの主業務であり、深い専門知識よりは対象を速やかに祓滅するための戦闘技術を求められる傾向にある。
前線部隊たる「境界対策課」は主に数名~数十名の「班」に分かれて日々の任務に従事しているが、神祇部は慢性的に人員が不足しているため、班や組織を跨いだ応援は常態化している。
所属する人員は環境庁指定の養成機関で教育を受けた者と「人材登用プログラム」によって外部からスカウトされた者が半々程度で在籍している。
また、先述の「班」は「班長」と呼ばれる前線指揮官クラスの祓魔師が率いている。「班長」には班の運用や装備、任命権が付与されているため、それぞれの班は戦術や理念が大きく異なる組織となっている。
「班」に属さない祓魔師達もおり、彼らは任務ごとに穴を埋めたり、彼ら同士で臨時のチームを組むことで活動を行っている。
多くのPCは、おそらくこの組織に所属するのではないかと考えられる。
4-5-4:異常を封じる保守管理部門、結界管理課
結界管理課は、境界異常の影響を限定したり、界異の活動範囲を狭めるための「結界」の造成を主たる業務とする組織である。
特に、大規模な境界異常が発生した時の初期対応を担うのがこの組織であり、境界異常の影響が伝播することを防ぐために周辺地域を広域結界で覆ったり、境界対策課の戦闘員が界異と戦うための結界を敷設する役割を担う。
その性質上、「正しい手順で結界を張り、起動するための専門知識」「結界の起動を妨害しようとする界異を退けられる戦闘能力」「逃げ遅れた民間人を保護・誘導する思考能力」など複合的な実力を求められる傾向にあり、保守部門のイメージとは裏腹に所属する職員の練度・士気は高い。
祓滅戦闘に長ける人員が境界対策課の任務の応援に回ることもあり、逆に境界対策課の人員が結界造成の障害排除のために駆り出されることもある。
少なくとも、組織単位での仲は悪くないとされている。
4-5-5:未知に抗う研究部門、祭具開発課
祭具開発課は、境界対策課や結界管理課の扱う祭具を新規開発したり、境界異常現象や界異そのものの分析・研究を担う技術部門である。
また、祓魔師達が日々使う祭具や消耗品の製造管理などもこの部門が担当しており、目に付きにくい所から神祇部の活動を支える縁の下の力持ちのような部門となっている。
所属する人員の多くは戦闘よりも理論を得意とする学者肌の者が多く、その性質上祓魔に絡む民間企業からの出向や転職者も多い。
祭具や界異の性質に精通し、最新鋭の祭具や試作品を操る彼らは、しばしば戦闘においても思わぬ一手を繰り出すことがある。
彼らの一部は、試作祭具のテストや界異のデータ回収のため、境界対策課の任務に同行し、協力して作戦にあたることがある。
境界対策課としても、祭具の使用感についてのフィードバックや新規祭具の開発要望などで日常的に交流があり、組織仲は良好とされている。
4-6:神祇部を取り巻く環境
本カノンにおいて、環境庁 神祇部は日本国内における境界対策活動を一手に担う政府機関に位置付けられている。
その一方、「界異」を退け「境界異常」を鎮めることは、彼らにしかできないわけではない。
そして、加護や穢れといった境界技術を悪用する犯罪者が存在することも事実である。
本項目では、本カノンにおける「神祇部とは別の祓魔機関」「境界技術を悪用する犯罪者」について、概要を述べていく。
4-6-1:旧時代の祓魔師達、神宮本社
本カノンにおける環境庁 神祇部は、2001年に行われた組織再編によってその外形を成している。
しかし、組織再編以前(或いは、「境界」の概念が提唱される以前の)時代においては、「この世ならぬモノを祓い、場を清める」仕事は宗教者達の領分であった。
「神宮本社」は、本カノンにおける日本各地の神社を包括する宗教法人として設定されている。
即ち、内閣府直轄の政府機関である「環境庁 神祇部」とは趣を全く異にする機関であり、彼らは行政の定めた許容範囲の中で、彼らの理念に沿って業務を行っている。
その源流は1987年の「神祇庁 神祇部 祓滅課」時代にまで遡ることができ、この時代に「妖怪退治」を行い「界異」への対処プロセスを学んだ者達が各々の宗派に考え方を持ち帰り、根付かせたものとされる。
内閣府もそういった背景を考慮し、また彼らからの反発を避けるため、特例措置として彼らの祓魔業務を認めている。
また、行政が「界異」への対応を取る遥か昔から界異と戦ってきた人々の家系は、今日「祓魔術」と呼ばれる特殊な能力を古来より備えている。
そういった旧い時代の「祓魔師」達は、古来から宗教と強く結び付く傾向にあり、神祇部よりも神宮本社に多くの人員が在籍している。
彼らは科学と霊力工学の産物たる祭具や狩衣を忌避し、古来より家系に伝わる儀式技術や血統に備わる祓魔術を主な武器として界異と戦っている。
旧時代的な様式を持つ祓魔の名門の多くは、"祓魔師"という存在を世俗化させる環境庁のやり方を快く思っていないようだ。
数百年に及ぶ祓魔の歴史と血統による選別、過酷な鍛錬によって磨き上げられた彼らは、最先端の装備を運用する神祇部の祓魔師達と比べても引けを取らない実力を持つ。
仮に現場で鉢合わせることがあれば、直接戦うことこそ無くともある程度の軋轢は避けられないものと考えられる。
総合すると、「神宮本社」は以下の特徴を持つ。
4-6-2:境界技術の悪用者、呪詛犯罪者たち
本カノンにおける「呪詛犯罪者」とは、広義では「本カノンにおける法律で定められた"呪詛犯罪"または"呪詛関連犯罪"のうち、どちらかの要件を満たす者」全般を指す。
詳細は4-9-8:呪詛 4-9-9:呪詛犯罪/呪詛関連犯罪を参照のこと。
しかし、基本的に神祇部が対策にあたる「呪詛犯罪者」とは、「儀式に関連する技術・能力を持ちながら行政の管轄になく、それを悪用して犯罪行為を行うもの」という側面で括られることが多く、該当者がどちらの法に違反しているかは現場レベルではあまり気にされない傾向にある。
例えば前者の場合、境界異常が発生した区域内で避難要請に従わずに火事場泥棒を行うなどの行為でも該当する。
その一方、後者は祓魔術や祭具など、神祇部や神宮本社など所定の機関のみが扱うことを許可されている技術体系・物品などを不正に入手・使用する存在を指す。
また、神祇官が専門教育によって身に付ける境界関連知識や儀式技術等の悪用もここに含めることがある。
その性質上、「呪詛犯罪者」の殆どは人間(一部、高度な知性を持つ界異が人間として活動していることがある)であり、事件の解決には対界異戦とは異なるアプローチが求められる。
中には神祇部を除名となった元職員が技術や不正調達した祭具を悪用しているパターンや、神宮本社から破門された祓魔術使いが犯罪者に身をやつしているパターンがある。
彼らの多くは利益目的の窃盗や強盗、祭具の横流しなどを目的とするが、中には大規模破壊によるテロを目論む勢力もあり、界異に並ぶ新しい脅威として神祇部、神宮本社両方に注意を向けられている。
神祇部の職員は、境界関連の事案に限り調査・逮捕等の権限が認められている。こうした任務にあたっては、対呪詛犯罪者の専門研修を受講した神祇官(俗に神祇捜査官と呼ばれる)同行の元、祓魔師達が事件の調査や対応にあたるケースが存在する。
4-7:パーソナリティ
本項目では、タクティカル祓魔師TRPGにおけるNPCや作者から掲載許可を頂いたwiki登録キャラクターを例に、組織の特色と搦めて紹介を行う。
4-7-1:中央神祇室
環境庁 長官
洞井 洞冥
『こちらは中央神祇室の洞井です。本作戦の指揮を担当します』
『任務の達成要件は大きく分けて2つ』
『対象界異を祓滅せしめること。そして、貴方たちが生還することです』
環屋 喜弥梨子
『どーも、中央神祇室の環屋っす! 本作戦、私がオペを担当するっすよ』
『作戦本部より伝達っす! 三号級界異、来ます!』
『皆さん色んな戦い方をしますね……勉強させていただくっす!』
武邨 剛人
『神祇室の武邨です。今回の任務の指揮補佐を担当します』
『制圧対象は攻性の祓魔術を使います。極力、回避に努めてください』
『対象の抵抗を確認。執行を許可。思い切り暴れてもらって構いませんよ』
御代川 詩帆
4-7-2:境界対策課
第六班長
夜桜 篝
4-7-3:結界管理課
香曾我部 朔夜
大詰 終
4-7-4:祭具開発課
巫
日吉 フタキ
4-8:祭具
本項目では、タクティカル祓魔師TRPGに頻出する類の祭具について簡単な解説を加えていく。
ただし、実際のゲーム中における設定はプレイヤー諸氏の解釈・意図が優先されることに留意されたい。
4-8-1:狩衣
4-8-2:形代紙
4-8-3:黒不浄
4-8-4:カラビナシリーズ
4-8-5:注連鋼縄
4-8-6:祓串
4-9:用語
本項目では、本カノンにおける各種用語の大雑把な設定・用法について記載解説する。
ゲーム中の言い回しやシナリオ作成に役立てられたし。
4-9-1:神祇部
4-5-1:神祇部 にて解説されている、環境庁管轄下にある組織を指す。
基本的に「神祇部」と称した場合、その下部にある「中央神祇室」「境界対策課」「結界管理課」「祭具開発課」を包括して指すことが多い。
現場ではそれぞれのセクションを指して「神祇室」「対策課」「管理課」「開発課」と縮めて呼ぶことも常態化しており、厳密な呼称が求められる局面はさほど多くはない。
毎年4月1日付や10月1日付で多くの係や班が統合と発展的解消を繰り返しており、組織図は頻繁に変わる。
4-9-2:境界異常
4-4:境界異常 にて解説されている、「現世と幽世の境界に異常を来す現象」のこと。具体的には現世への"穢れ"の漏出による霊的健康被害と"界異"の出現による物理的損害を引き起こす事象を指す。
境界異常はその発生の仕方により、幾つかの種別に分類されている。
第一に、特定の座標を中心として時間と共に染みや解れが広がるように現世領域を侵蝕する「侵蝕型境界異常」である。
この種の境界異常は人目に付かない場所や調査が遅れることで大規模な境界災害に発展することがあり、早期対処が肝要とされている。
次に、現世と幽世が瞬間的に交わり、即座に境界が修復される「門型境界異常」である。
この種の境界異常は、それそのものに対処することはまずなく、瞬間的な境界異常に伴って現世に出現した界異への対処が優先される。
最後に、一定の地域・空間が瞬間的に幽世と交じり合った状態に置き換わる「置換型境界異常」である。
「侵蝕型境界異常」と異なり、殆ど前兆なく一定面積の境界異常区域が形成されるため、最も人的被害が出やすい傾向にある。
この種の境界異常が発生した場合、大抵は神祇部総動員で対処に当たることとなる。
中央神祇室は、年間に発生する境界異常の割合について「最も多いのが侵蝕型境界異常、次点で門型境界異常、置換型境界異常は規模によるものの少ない」と発表している。
4-9-3:式神
式神とは、祓魔師が術で形成したり特殊な祭具によって起動・使役されるものとして定義される。謂わば霊的要素によって動作するドローンである。
広義には「加護で形成された、半自律行動物」とされる。
一方、その源流は旧い祓魔師の家系に伝わる術に由来しており、それに連なる術によって形成されたものだけを「式神」とする狭い定義も存在する。
ちなみに、祭具開発課は加護技術と機械工学を組み合わせ、境界異常環境下でも駆動できるドローンを開発している。
今日的には、こういったモノも「式神」と呼び表すことが多い。
祓魔術「式神使役」によって作り出されるものは狭義の式神であり、「使役祭具」や「術延起点」は広義のものが含まれている。
4-9-4:界異
境界異常に際して出現する、幽世の存在。
その特徴は千差万別であるが、「穢れそのもので身体が構成されているか、穢れを媒介に現世に存在している」ことが殆どである。
界異は身に纏う"穢れ"により、浄化効果を中和したり、物理的ダメージを軽減する。この作用を疑似的な装甲に見立て、「穢装」と呼ぶ。
穢装の強固な個体に物理的な攻撃を通すためには相応の力が必要となる。
軽量級の黒不浄や小口径の祓串射出装置を扱う祓魔師にとっては、強固な穢装を持つ界異は天敵となりうる存在である。
「穢れそのもので身体が構成されている」ものの多くは活動するだけで周辺に穢れを撒き散らし、周囲を幽世に近い環境にしてしまう。
境界異常に際してある程度の規模の群れで出現することが多く、個体としては然程強くはない。
特に、この種の界異で蟲に似た姿をしたものを総称して「黒蟲」と呼ぶ。
飛翔による機動力と群れによる攻撃力が厄介な「鬱黒揚羽」、細長い身体と鋭い歩脚による攻撃を繰り出す「黒百足」、強固な穢装で攻撃を弾き、巨体で突進を繰り出す「偽砦鎧蟲」など、この種の界異は単純な能力を持たない代わりに数で押してくる傾向にある。
また、後者の「穢れを媒介として現世に存在しているもの」は多様な在り方を持つ。
死体に染みついた穢れが疑似的な魂の役割を果たすことで死体を稼働させる「歩骸」、歩骸から変態して代謝を活性化させ、強力な白兵戦能力を持つに至った「鬼種」、既存の物品や兵器に穢れが宿り駆動する「憑喪荒神」など、脅威度の低いものから高いものまで多種多様である。
「その存在に加護/穢れといった霊的要素を必要とする」という点で、「界異」と「式神」は似通っているが、「界異」が独立した存在であるのに対し、「式神」はあくまで術者の持つ加護に依存している点で異なる。
4-9-5:縁起
縁起とは、「界異でありながらヒトに従う個体」を指す呼称区分である。
その存在の中核が穢れや加護といった霊的要素で構築されていることは式神に似るが、独立した自我や思考を持ち、使役者と独立した存在となっていることが最大の差異となる。
その多くは儀式技術や祭具の効果によって「ヒトに危害を加えない」「術者の指示に一定の範囲で従う」等の契約を交わし、使役者に"憑く"。
契約による無害化(行動の制限)と使役者への紐づけプロセスを指して「調伏」と呼ぶ。
調伏された縁起は使役者の加護を日常的に摂取し、その存在を維持している。このことから、縁起を構成する霊的要素はその殆どが加護(生命に害のない状態の霊的要素)であり、一般人にも触れられることが多い。
護符や制御装置といった特殊な祭具を介し、自身と契約している縁起を戦闘に用いる祓魔師も存在する。式神と異なり、縁起の多くは個として安定したパフォーマンスを発揮し、高い戦闘能力を持つことが多い。
ただし、契約に縛られているとはいえ彼らは界異である。
神祇部および警察組織は、公的機関や認定済民間祓滅事業者を除く一般人が縁起を保有することを認めておらず、またそれらの機関に属する祓魔師であっても届け出無しに縁起を保有することは呪詛犯罪の要件を満たす。
4-9-6:儀式
本カノンにおいて、「加護」や「穢れ」といった霊的要素を利用して何らかの超自然現象を起こすことを「儀式」と総称する。
神祇部の職員や神宮本社の神職達にとって「儀式」は極めて身近な存在であり、特段に意識することは少ない。
例えば、対界異アクティブステルス装備である"名伏"は「対象者の名」を入力しておく必要がある。装置内部には加護を使って「名」にな隠蔽・偽装処置を施す機構が備わっており、「加護を以て名を伏せる」儀式を実行することで使用者に一時的な気配遮断効果を齎す。
また、「MITAKA オールドバレル」に代表される霊的遠隔祭具、"コンパウンド梓弓"は古来より伝わる『鳴弦の儀』の原理を応用している。
コンパウンド梓弓は「弓体」「弦」「音響照準器」から構成されており、弓体を操作して弦を鳴らすことで霊的攻撃を可能とすることで知られる。
同祭具は、「矢を番えない弓の弦を鳴らし、音を鳴らすことにより邪気を祓う」とされる『鳴弦の儀』の要素を抽出し、激しい戦闘中でも使用できるよう簡略化された弓と弦で発生させた「音」に指向性を与え、ごく短い手順で儀式を成立させるように設計されているのである。
それ以外では、結界の造成や形代の代理作用も「儀式」の範疇となる。
いずれにせよ、「儀式」とはそれを成立させるための構成要素を必要とし、それらを特定の手順で実行することで成り立っている。
同じ「儀式」であっても、それを執り行う者の知識・技量によって発揮される効果には大きな違いが出ることが多い。
深い理解を持つ者は、要点を纏めて儀式を簡略化することで単位時間当たりの実行回数を増やしたり、リソースの配分を最適化することができるためである。
これらのような、「儀式から力を引き出すための技法」を「儀術」と呼ぶことがある。
4-9-7:式法/祓魔術
人間の中には、少数ながら「儀式を成立させうる構成要素を、先天的に内在させている個体」が存在する。
これは「生まれ持って儀式がビルトインされている」とも表現でき、そうした人物は特定の所作や手掌、発声や強く意識することなどをトリガとして儀式を実行する。
このようにして、ある存在が内蔵している儀式を「式法」と呼ぶ。
「式法」とは「儀式」の発動から逆算して解析する形で仮説されており、その人物が内在している儀式要素の多くは本人にもうまく言語化できない、半ばブラックボックス化されたものであることが殆どである。
また、儀式の発動に自覚的でなかったり、切っ掛けの訪れるのが遅かった等の理由で、後から自身に式法が備わっていることに気づく者も一定数存在する。
霊学研究者達にとっても大きな未知の分野であり、珍しい式法を有する人物はしばしば研究への協力を依頼される。
神祇部や神宮本社が擁する"祓魔師"には、この「式法」を有する人物が数多く在籍している。
祭具や装備の助けを借りることなく、自身の身一つで超常の力を操る彼らは祓魔の現場においても頼りにされ、またそこに誇りを見出す者も多い。
余談ではあるが、「式法」という言葉自体は平安時代の陰陽師が用いた言葉に由来しており、神祇官が公的な場で使うような言い回しである。
俗化の進んだ現代においては、特に神祇部内では俗称である「祓魔術」という呼ばれ方をする傾向にある。
一方、古式伝統を重んじる神宮本社の術師達は頑なにこれを「式法」と呼び、術の行使に関しても「式を打つ」という古風な物言いを尊ぶ事が多い。
「式法」自体も儀式の一種であることに変わりはないため、こちらの出力を高めるためのテクニックも「儀術」と呼ばれることが多い。
最も、先天的に備わっている「式法」の出力を高める方法は本人にしかわからず、極めて抽象的・感覚的な領分の技術となるため、汎用化されていないことがほとんどである。
4-9-8:呪詛
行政や神宮本社に管理管轄されていない人物が儀式を行い、他者の人品を害すること全般を指して「呪詛」と呼ぶ。
特に人命を奪うことを目的とした呪詛は重罪行為であり、基本的に殺人事件と同等に扱われる。
また、直接的に儀式を人品への危害に用いていなくとも、補助的にこれを活用した場合、やはり「呪詛」行為と判断されることが多い。
呪詛行為は司法面においても厳重に禁止されており、特に脅威度が大きい場合、結界管理課主導の"封印"が執行を許可される場合がある。
4-9-9:呪詛犯罪/呪詛関連犯罪
呪詛を用いて直接他者を害する犯罪を「呪詛犯罪」と呼ぶ。
また、直接的な加害行為が無くとも儀式儀術に関連する違法行為全般を「呪詛関連犯罪」と呼称する。
後者はかなり広範囲な定義となっており、例えば神祇部のみが運用を許可されている刃状近接祭具"黒不浄"の窃盗・販売(横流し)なども該当する。
上記のいずれかを行った人物を、神祇部や神宮本社は「呪詛犯罪者」と呼び、取り締まりの対象としている。
一部の資格を持つ神祇官は呪詛犯罪/呪詛関連犯罪に関する捜査権を持ち、神祇部の職員や神宮本社の職員はそれら神祇官の管轄下において逮捕や強行捜査の権限を有する。
中には常習的に呪詛犯罪/呪詛関連犯罪を行っている「職業的呪詛犯罪者」もおり、窃盗犯からテロリストまでその種類は広範囲に渡る。
神祇部は、大雑把に呪詛犯罪者を下記のようにカテゴライズしている。
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