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ラグビー日本代表HCと羽生結弦らに学ぶ"承認"の本質

本日は、 「ラグビー日本代表HCと羽生結弦らに学ぶ"承認"の本質」についてです。
さて今日は、ラグビー日本代表HCのジェイミージョセフHCの言葉と、先週の日テレ24時間TVで放映された羽生結弦選手の言葉。両方ともとても感動する/胸にぐっとくる言葉なのですが、なぜこの言葉は人の心に届くのか?何がポイントなのか、ご紹介していきます。聞いていただきたいポイントは「主語」です。その言葉の「主語」は誰なのか、ここに着目すると色々な発見があります。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。

今回は、仕事だけではなく家庭や友人関係、Web上でのCOMでも使える部分がありますので、何か解決したいことがあったり少し悩んでいることなどあれば、ぜひ試してみてもらえたら嬉しいです。

ジェイミージョセフHCと羽生結弦選手から学ぶ"承認"の共通点

昨年大躍進したラグビー日本代表はグループリーグ2戦目で当時世界ランク2位のアイルランドと戦うことになります。そして、日本代表を率いていたジェイミージョセフHCは、アイルランド戦との試合前にこんな言葉をロッカールームで投げかけています。

誰も勝つと思ってないし、誰も接戦になるとも思ってないし、誰も僕らがどんなに犠牲をしてきたのかもわからない。信じているのは僕たちだけ

で、この言葉をかけられ、フル出場し激闘を制したSO田村優選手が試合後にインタビュアーから「今どんな気持ちですか?」と聞かれるんです。そこで間髪入れずに出てきた感想が、「実は、ジェイミーが試合前のロッカールームで5行の俳句を読んでくれて・・・」とこの5行の俳句をすらっと答えたんです。

この内容は初回の放送でもお伝えした内容ですが、試合直後の選手の口からさらっと出てくるぐらいなので、相当選手の心に刺さっているんですよね。これ、何でここまで刺さっているのか?前半の文章と後半の文章の主語をよく聞くと分かります。前半は、「誰も・・・ない」と3回言っている。そして、後半は信じているのは僕たちだけ。言い替えると「僕たちだけは信じている」。前半は「誰も〇〇ない」英語で言うと、NO oneメッセージ。後半は「僕たちは」となっている。英語で言うとWeメッセージ。つまり、NO oneメッセージ+Weメッセージのコンビネーション。何が良いたいかというと、前半と後半で主語が間反対になっているんです。

要は、前半の言葉の主語を「自分たち以外は」に置き換えて、後半を「自分たちは」のまま読むと分かります。

「自分たち以外は勝つと思ってないし、自分たち以外は接戦になるとも思ってないし、自分たち以外は僕らがどんなに犠牲をしてきたのかも分からない。」で、「自分たちは信じている」このメッセージの構成とコンビネーション、前回の放送で読んだ時も武者震いしちゃったんですけど、今改めて読んでも鳥肌立ちます。

ジェイミーHCは、自分たち以外の存在をあえて言語化して意識させたことで、「俺たちだけだぞ!勝てるって信じているのは!」という、選手たちに対して自分たちの「一体感」を強く訴求するWeメッセージをかけているんですよね。本当見事です。

そして、もう1つ紹介したいのは、先日の24時間TVで放映された羽生結弦選手の言葉。
羽生選手はこの放送でも、過去に2回かな、言葉を取りあげてきたんですが、今回も聞いていて1スポーツファンとして勇気付けられるというか、元気づけられる言葉でした

番組内では、コロナ禍な現状の中で「動いたこと」というテーマで話されていました。こちらも後半の文章の主語に注目して聞いてみてください。ではいきます。

「病床数が増えれば増えるほど、医療の最前線で本当にウイルスと戦っている方々ってすごく大変だなっていうのは常日頃感じていて。ウイルスをまずは自分に感染させない。そこからまた広げないっていうことをすることこそが、今回一番のみなさんへの応援なんじゃないかな。感染拡大につながるような行動をしないという選択をしているだけで、僕たちは回復した未来に向かって動けているんだなというふうに思っているので」

以上です。
後半の文章のみもう一度いきますね。

「感染拡大につながるような行動をしないという選択をしているだけで、僕たちは回復した未来に向かって動けているんだなというふうに思っているので」
これ、先ほどのジェイミージョセフHCの言葉と同様に、主語が僕たち/私達なので、Weメッセージなんです。でも、ジェイミーの言葉のような一体感を感じもしますが、プラスで連帯感も感じませんか?

これ何でなんだろうなと思ったんです。ジェイミーの言葉はダイレクトに選手向けの言葉で一体感を生んでいる。


で、羽生選手の言葉は確かに一体感もあるのだけど、なんかこう連帯感/責任感みたいなものもセットで感じて、少し背筋がピンとなる。羽生選手の言葉に含まれているWeメッセージは「私達は」という主語なので、そもそも一体感を感じやすいものではある。加えて、扱っている内容が新型コロナウィルスに関するものなので、確かに責任感を感じやすいテーマではある。でも、言い方悪いですがTVでみる政治家やコメンテーターがいうよりもずっと、「そうだよな。まずは自分が感染しないのが大事なんだよな」という、説得力というか感情がすっと入ってくるんですよね。

これ何でなのかなぁと何回か動画見直したり文章読み返したんですけど、とあることに気付きました。

羽生選手の言葉は視聴者向けのコメントかなと思ったんですけど、よく聞くと違ったんです。病院関係者向けの言葉なんです。
もう一度読みますね。

「病床数が増えれば増えるほど、医療の最前線で本当にウイルスと戦っている方々ってすごく大変だなっていうのは常日頃感じていて。ウイルスをまずは自分に感染させない。そこからまた広げないっていうことをすることこそが、今回一番のみなさんへの応援なんじゃないかな。(このみなさんというのが病院関係者のことを指してるんですよね。)で、続きます。感染拡大につながるような行動をしないという選択をしているだけで、僕たちは回復した未来に向かって動けているんだなというふうに思っているので」
最後に、視聴者と自分のことを「僕たちは」という風に括っているんです。

今何が言いたいかと言うと、このメッセージには2つポイントがあるということです。私なんかが2つに分解するのもおこがましいんですけどね。どういうことか。

①まずポイントは前半の文章「病床数が増えれば増えるほど、医療の最前線で本当にウイルスと戦っている方々ってすごく大変だなっていうのは常日頃感じていて。ウイルスをまずは自分に感染させない。そこからまた広げないっていうことをすることこそが、今回一番のみなさんへの応援なんじゃないかな。」繰り返しになりますが、この、みなさんって誰を指しているかと言うと、病院関係者。病院関係者のみなさんのことです。

②そして、後半の文章は、「感染拡大につながるような行動をしないという選択をしているだけで、僕たちは回復した未来に向かって動けているんだなというふうに思っているので」。

この2つをつなげますと、感染拡大しないように動いているのは「自分たちとか周囲のためになるんだよ」それだけで回復していっているんだよという、自分と視聴者のためだけのメッセージだけでなく、そのような行動をとることは病院関係者の方達のためでもあるからね!という用に、最終的には、「病院関係者へのリスペクト/承認」につながるメッセージになっているんです。

ちょっと熱くなってしまって話が長くなってしまったのでまとめます。
ジェイミージョセフHCの言葉と羽生選手の言葉の共通点は「私達は」という言葉を主語にするWeメッセージ。これが相手/見ている人に伝わるメッセージになっている。

ジェイミーHCの場合は、誰も〇〇ない、という自分たち以外の存在を際立たせるNO oneメッセージを使うことで自分たちの存在を際立たせ一体感を強く感じる言葉のしかけになっている。

羽生選手の場合は、登場人物を、「自分と視聴者」と2つだけではなく「病院関係者」という3番目の存在を切り出すことによって、一体感と同時に連帯感/責任感も感じさせる言葉のしかけになっています。

こういう相手に伝わる/もしかしたら行動も変えるような言葉/言動をできるって、本当すごいなと、陳腐かもしれませんが素晴らしいなと心から思います。

では、このような言葉ってなぜ生まれるのか?これを次のチャプターでご紹介します。

承認の本質はfor youではなくfor meで伝えること

ジェイミーHCや羽生選手の使っている言葉.Weメッセージは、コーチングでいう、承認/相手を認めるというスキルの1種類なのですが、なぜ2人からはこのような素敵な言葉が生まれたのか?おこがましんですけど、私なんかからは出てこない言葉なので、何が違うのか?と思って考えました。

メッセージの構造を分解してもさっき以上のポイントはあんまり共通点出てこないし、結局何なんだろうなぁとずーっと思っていたんですけど、1つだけこれが決定的に違うなというところに行きつきました。ただ、私はジェイミーHCや羽生選手に直接話を聞いているわけではないので本当かどうか?は分かりません。

決定的に番うなと思ったのは、「そのメッセージは誰のために言っているのか?」というところの目的感。これが圧倒的に違うなと思ったんです。

この承認の言葉って、ややもすると「Weメッセ―ジ使えば一体感生まれるんでしょ」とか「主語が私は、のIメッセージを使えば相手を評価しないし良いんでしょ」と、承認の言葉を言うことそのものが目的になりがちです。つまりfor me。

ですけど、ジェイミーの言葉は、明らかに目の前の選手であるを鼓舞するために。そして、羽生選手の場合は「病院関係者」を応援するために。for meではなく、圧倒的にfor youなんですよね。

つまり自分がどういう言葉を言うかではなくて、相手が勇気付けられる/元気になるためには今、どういう言葉をかけたら良いのか?という視点のみでできている言葉。

この for meではなくfor youで言葉を紡いでいるからこそ、相手に届くんだろうな、ここが承認/相手を認める言葉の本質だなと思いました。

なーんだそんなことかと思われるかもしれませんが、これってそんなに簡単なことじゃないんですよね。相手のために言葉を作る/使うって、自分はやっているつもりでも相手には伝わらなかったりします。そこを、「この相手にはどういう言葉を投げかけるのがベストなのか?」それを真剣に考えた言葉のみ、きちんと伝わるのかなと思います。伝える/伝わる、一文字しか違いませんが、この差は大きいなと感じました。
では、ここを踏まえて私達が日常でどう生かしていけたら良いのか?次のチャプターで話します。

今日の学び→for youで伝えるためにはまず観察しよう!

今日はジェイミーHCと羽生選手の承認/相手を認めるという言葉を取り上げました。そして、その承認の言葉を投げかけるときには、「自分がどんな言葉を言うか?」というFor meのスタンスではなく、「相手はどういう言葉を言われたら元気づけられるか/勇気付けられるか?」というfor youのスタンスであることが大切だということをお伝えしました。

これ、日常にどう生かすか?私これ生かそうと思って正にクライアントと会話していたんですけど、いきなり実践しようとするとfor meのスタンスになっちゃいました。「あ、これ言いたいなー‼言おうー!」

なので、私の失敗を踏まえて今日あなたと一緒に取り組みたいTipsはこちら。
伝えたいことがあるけれども、なかなか上手く伝えられていない相手を思い浮かべてください。
で、その人のことをまず今日は観察してみてください。気の利いたことを言おうとかした時点で自分目線になっちゃいます。そんな時は、ジェイミーHCや羽生選手を思い浮かべていただいて、一旦「この人ってどんな人なのか?どういう言葉/タイミングの時に反応するのか?」その辺を観察してみましょう。

観察していくうちに、自然と伝えたいこと感謝とかが明確になってきたら素敵だし、その言葉はforyouになっているはずです。ぜひやってみてください。

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