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サッカー強豪ライプツィヒは何故ミスを推奨するのか?

本日は、ドイツサッカー1部のライプツィヒの戦術についてです。

このチームはレッドブルがスポンサーで、約10年前は5部リーグにいましたが、若手を中心としたカウンターサッカーで物凄い勢いがあります。
2019年ー2020年のヨーロッパ最強チームを決めるUEFAチャンピオンズリーグでは、下馬評を覆し、番狂わせを引き起こして、ベスト4に入りました。

色々調べてみると、NewsPicksで、とても興味深い記事を見つけました。
例えば、あえて、パスミスを推奨するということでした。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。

この躍進の立役者の一人が、2019年夏まで監督兼スポーツディレクターをつとめ、2020年夏までライプツィヒをはじめとしたレッドブルグループのサッカー部門の責任者を果たしたラングニック氏でした。

このラングニック氏の影響を受けた選手や、無名の時期に発掘された選手も多々います。

今日は、ライプツィヒの躍進、それを支えたラングニック氏から、戦い方を変えるヒントを学んでいきたいと思います。

ライプツィヒの躍進、パスミスこそがチャンスの理由について

まず、ライプツィヒの躍進をざっくり
・2009年に当時5部だったSSVマルクランシュタットというチームを、レッドブルが買収
・2012-2013年シーズンに、ランゲニッツ氏が、スポーツディレクターに就任

そこから、4部リーグ優勝、3部リーグ2位、2部リーグ2位と順調に毎年昇格していきました。
そして、 2016年-2017年シーズンからドイツ1部であるブンデスリーガに参戦。参戦して初年度で、いきなり2位という成績を残します。

そして、2019年-2020年シーズンのヨーロッパNo.1クラブを決めるチャンピオンズリーグでベスト4に進出しました。

街の小さなクラブから、これは大躍進といっていいと言えます。

そして、この大躍進の立役者がラングニック氏です。
ラングニック氏ですが教授というあだ名がつけられる稀代の戦略家でした。
「欧州サッカー界でレッドブル・ブランドを確立する」という夢を、オーストリアのザルツブルグ、ドイツのライプツィヒで実現します。

また、その前にも「世界的ソフトウェア企業SAPの創業者ホップ氏から全権を委ねられ、人口3000人の村のクラブをブンデスリーガ常連にまで引き上げることに成功」

資本家のスポンサーの元に、弱小チームから強豪チームにまでに引き上げる力を持っているといえます。

さて、ここからは、NewsPicksの記事
【名将の哲学】大富豪を虜にする指導者、求めた「4つのK」
を中心に彼の戦術やチームマネジメントについて考えていきたいと思います。まず、記事ではラングニック氏をこのように評していました。

もともとラングニックは選手としてプロ経験がなく、監督としてもドイツ7部からスタートした無名の存在だった。
眼鏡をかけた博士のような風貌を「教授」と揶揄され、マッドサイエンティストのような扱いを受け続けた。それでも自分の理論を信じて障害を乗り越え、欧州サッカー界で唯一無二の存在になった。

このように叩き上げの方のようです。

そのときに大事にしたのは、組織に求めた4つのKでした。
ラングニッツと親交のある、現在ビッセル神戸のコーチを務めるモラス氏はこう振り返っていました。

当時ドイツでは考えられないようなモダンなサッカーをしていて、なのに行く先々でクラブの幹部と衝突してしまう。プロ選手経験がない監督には、ここまで風当たりが強いのか・・・と思い知らされました。
でも彼はその壁を見事に越えた。よくラングニックは『4つのK』と言うんですね。あらかじめいいますと、ドイツ語表記です。
・『Köpfe(コップ)』(頭:優秀な経営者や監督)
・『Kompetenz(コンペンテンツ』(能力:監督・スタッフの経営力・指導力)
・『Konzept』(コンセプト)
・『Kapital』(資本)の頭文字です。

この4つをまとめあげるのが得意だった。サッカー界に新しい風を吹き込み、新しい時代の幕開けに貢献した方です。

ラングニッツ氏ですが、この4つのkにあるように、ゴールやビジョンを想像して、それを言語化する力に優れている、なので教授と呼ばれるんだろうなと思いました。

さて、その考えの元、実行に移しますが、何が成功に繋がったのか、この要因について触れていきます。

ここからは記事の抜粋です。大きく7つあります。

1.ミスの概念を変えた戦術革命
2. オーラ不足を演出で補う「スピーチ力」
3. オリジナルの戦術書による「コンセプトの可視化」
4. 若者中心の組織づくり「年齢に上限を設定」
5. スター化を防ぐ「徹底した規律」
6. 名前より能力で部下を選ぶ
7. バーンアウトで変わった「異端児から名リーダーへ」

ちょっと全部を語ってしまうと、入り切らないので、ここでは、「1のミスの概念を変えた戦術革命」と「6.名前より能力で部下を選ぶ」を抜粋します。

1.ミスの概念を変えた戦術革命
従来のサッカーにおいては、ボールを失う=ミスとみなされます。
ラングニックはパスミスをミスとみなしません。
それはすぐに奪い返せばいいからです。
パスミスをむしろチャンス、"コントロールされたカオス"とよんでいます。

であるので、あえて、密集地帯にパスを送り、こぼれ球を拾って、守備を崩壊する。

このように、ミスをしてもいいという前提があるので、選手は大胆に相手にとって危険なパスにトライすることができます。
安全なパスをする、リスクを犯さないというのが、ラングニッツのサッカーではミスといえます。


・続いて6つめの、名前より能力で部下を選ぶ

ラングニックが若き指導者にチャンスを与えたことで、多くの監督が巣立った。「ラングニックが常々言っているのは、指導者は『名前』ではないと。面識がない指導者でも、試合を見て自分のコンセプトに合うと思ったらヘッドハンティングする。
今、ヨーロッパのサッカー界には、ラングニックから学んだ指導者がたくさんいる。有名なところで言えば、チャンピオンズリーグ準優勝を飾った現パリ・サンジェルマンのトゥヘルなどです。
僕の知人であるロベルト・クラウスは、ライプツィヒの下部組織で監督を歴任し、1年間ラングニックのもとでコーチを務め、今年7月にニュルンベルクの監督に抜擢されました。
若い指導者が指名される流れをつくったラングニックの功績は大きいと思います

以上です。
ここでは、1と6を中心に取り上げましたが、他の項目も興味深いので、お時間のある時、記事にもアクセスいただけたらと思います。

さて、本チャプターではライプツィヒとその飛躍の立役者といえる、ラングニック氏が大事にしていることや、彼のスタンスについて取り上げました。次のチャプターでは、彼はどうして成果を残せるのか、物事の考え方のベースにあるものについて触れていきたいと思います。

"自分のお皿の外を見る"とは?

ここまでは、ライプチヒの立役者ラングニック氏の指導スタイルや大事にしていることについて触れていきました。取り上げてみて思ったのは、コンセプトがしっかりしている、そしてそれを実行する能力を有しています。

何故、それがうまくいくのかは、彼の考え方等が参考になるのかなと思いました。ここでもNewsPicksの記事になりますが抜粋します。

ラングニックがサッカー界に残した功績は何か?
そう尋ねると、モラスはドイツのある慣用句を引用した。
古い常識にとらわれずにコンセプトをアップデートし続けることで結果を残せると、証明したことだと思います。

ドイツには『自分のお皿の外を見る』という言葉があるんですね。自分がいる業界の外を見て、新しいノウハウを取り入れるという意味です。

ラングニックは脳科学、教育学、栄養学、スポーツ生理学、睡眠学などを、どんどんサッカーに取り入れた。
・コンセプトに基づいて若い選手を育て、
・そのために施設に先行投資し
・数年後にビッグクラブに売ればこれだけの額になるというクラブにも経営的なメリットがあるといった、ビジネス視点を持った説明
は企業の経営者の方たちから見てすごく納得がいくものだと思います。

この人だったら投資する価値があると思わせる。だからこそACミランのヘッジファンドの人たちがラングニックを呼ぼうとした。
この先、彼がどこの国でどんなクラブを創り出すのか。とても楽しみにしています

この記事を見ての私の印象は、
・監督という肩書や既存の戦術やチーム運営という枠組みにとらわれず、
・いろんな学問を吸収している
・そこから気づいたこと抽象的な学びを、うまくサッカーチームの運営という具体に落とし込めている

この能力に優れている方だないう印象を受けました。

また、当チャンネルの過去の放送回のTipsを実践している人だなと思いました。例えば
#43 青学原監督と元レッズ鈴木啓太氏から学ぶ“越境力"での 具体と抽象の往復運動
#40 トップ選手達の課外活動から学ぶ新しい自分との出会い方で取り上げた、サードプレイスを見つける
#17 巨人菅野投手から学ぶ、フィードバックを取りに行くコツで取り上げた、フィードバックを取りに行く姿勢
などなどです。

さて、次のチャプターでは、仕事や日常生活に活かせるTipsについて考えていきたいと思います。

Tips:手段と目的は分けて考えよう!当たり前を疑おう! 

さて、ここからはTipsについてです。Tipsは大きく2つありました。

・1つ目は、手段と目的をきちんと分ける大事さです。
ちょっと一昔前のサッカー日本代表の実況やニュースで思い出した例がありました。敗戦や勝ちきれず引き分けになったにも関わらず、
「ボール支配率では優位だったとか日本は試合をコントロールできていたとか」って聞いたことありませんか?
これって、ただ持たされていただけのケースもありますし、あくまでも、目的は勝利することではないでしょうか。


・もう一つは、前提や当たり前と呼ばれることを疑うということではないでしょうか。
価値観が硬直化してしまうと、ついつい視野が狭くなってしまいます。
そんなときは、『自分のお皿の外を見る』というドイツの格言や、ラングニック氏が実践したようにあえて、異なる分野の人の声を聞いてみるとか、刺激を受けて、価値観や考え方を定期的にアップデートするといったことが必要なのかなと思いました。

また、Tipsをまとめてみて思ったことがもう一つありました。
前回のりょーたむが取り上げた、前田健太投手はブルペンでは投げ込まないという回です。
これは、シーズンを通して登板数が非常に多い、このままでは長い間トップに居続けられない、長く居続けるためには、ブルペンでの投球数を減らすという結論に至ったというプロセスです。

これは、まさに、目的と手段を切り離せて、考えることができているよい事例です。

私も、色々と振り返ってみると、忙しいときは目的と手段を意識して分けられていないことは多々ありました。
そんなときは、今一度立ち返りつつ、凝り固まった価値観を研ぎほぐすという意味で、違う視点を取り入れようとする意識を持つことが大事だなと思いました。

終わりに

今回色々と掘り下げてみると、端から見ると番狂わせと呼ばれるような快進撃も実は、綿密に計画された戦略があったこと、その戦略が他のチームに影響を与えているということが知れたので、結構楽しかったです。

優勝候補や強豪が勝つのも面白いですが、ダークホースが番狂わせを起こす、その裏側を覗いてみるのも、スポーツ観戦の醍醐味だなと今回まとめてみて思いました。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。
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