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[導入事例]大学や教育機関の音声活用術とは?グロービス経営大学院に聞く

※2022年2月取材の記事です

音声プラットフォーム「Voicy」には、ブランドが音声で発信する「音声のオウンドメディア」とも言えるチャンネル(VoicyBiz)が存在します。

大学や専門学校など教育機関のチャンネルもあり、実際にVoicyBizを活用して学びを届けることで、イベント参加や受講につながったという事例も生まれています。

今回は、音声発信をうまく活用されているグロービス経営大学院さんに、音声発信の効果や運営方法を伺うべく、グロービス経営大学院 副研究科長の村尾佳子さんと、Voicy代表 緒方憲太郎が対談をおこないました。

音声で聴きたい方はこちらから

この対談は、音声でもお聴きいただけます!記事には書ききれなかったこともお話ししていますので、音声でもお楽しみください。

[事業紹介]グロービス経営大学院

2003年開始のグロービス・オリジナルMBAプログラムGDBAを前身として、2006年に開学(当初は株式会社立、2008年に学校法人に変更)。開学以来、「能力開発」「人的ネットワークの構築」「志の醸成」を教育理念に掲げ、ビジネスの創造や社会の変革に挑戦する高い志を持ったリーダー輩出のために尽力している、日本最大のビジネススクールです。
日本語プログラム: https://mba.globis.ac.jp
英語プログラム: https://www.globis.ac.jp

お話を伺った人

村尾さん

■村尾 佳子 さん
グロービス経営大学院 副研究科長当校のマーケティング責任者であり、副研究科長を務める。教員としては、「マーケティング・経営戦略基礎」などの授業を担当。

Voicyチャンネル「ちょっと差がつくビジネスサプリ」とは

—— Voicyでチャンネルを持って約2年半が経ちますがどうですか?

グロービスは2019年6月から毎日Voicyを放送しています。約2年半放送を続けていて、約7万人の方にフォローしていただいています。(2022年2月現在)
そんな方々が、Voicyの放送をきっかけにグロービスのセミナーや説明会に来てくださったり、受講生の方が「聴いています」って言ってくださったりします。卒業生も聴いていただいており、すごく色々な方に聴いていただいています。
特にVoicyで初めてグロービスを知った方は、説明会に来ていただくと「もしかして村尾さんですか?」と声に反応してくださることもあって、Voicyはすごいなと思っています。
間違いなくこの1〜2年で数百人単位でVoicy起点の方がセミナーに来てくださっていますね。

—— Voicy経由でイベントに来る方が増えてる要因は何だと思いますか?

今までは、動画やテキストコンテンツを見ることが主でしたが、圧倒的にボイスメディアというメディアそのものがきているんだろうとも思います。
あとは、グロービスは前向きに学び、知識をインプットしながら、自分の世界を広げるところが強いです。Voicyも自分の世界を広げたい、仕事に役立つ何かを学びたいなど、前向きな意欲の高い方が聴いてくださっていると思うので、そういうメディアの特性とリスナーとの相性がすごくいいんだろうと思います。

グロービス経営大学院の放送をつくるチームの体制

—— 毎日放送されていますが、どういう運営をされていますか?

村尾:
基本的には、スタッフが日替わりで放送しています。放送を担当するスタッフには、教員の立場の者と、まだ教員ではないけどグロービスMBAの在校生・卒業生のスタッフがいます。両者のうち、自分自身でコンテンツを持っていて発信できる人は、◯曜日担当としてコミットして、5分程度のコンテンツを放送します。日によってテーマを設けているので、それに合った内容で配信するのがまずひとつです。

もう一つのパターンは、グロービス自体がGLOBIS知見録やビジネスパーソン向けのキャリアに関するオウンドメディア「グロービスキャリアノート」の内容を、スタッフが5分程度にしっかりとまとめて放送するパターンです。
今あるコンテンツをベースに放送しているものもありますね。

—— なるほど!内容を凝縮して、エキスにしてサプリにするんですね。

まさにサプリなんです。凝縮されてるんですよ。若手のスタッフ中心に運営していますが、彼らはかなり楽しんでやってくれてると思います。
自分の声が放送されて、たくさんの人に届くのはすごいうれしいです。自分が話すのに抵抗がある人は、コンテンツを作る側になって、パーソナリティに好きに話してくれていいという感じで、それぞれがやりたいところを分担しながら、Voicyチームを作っています。

大学や教育機関が音声放送を持つ価値とは

—— 教育機関もしくは大学と音声の相性の良さはどうですか?

相性の良さはありますね。
教育機関の特徴はコンテンツがあることです。それぞれの教員がプロフェッショナルなので、既に自分の中にコンテンツがあります。それを、従来は動画やテキストなどでネット上に出していましたが、音声という新しい形で配信できるプラットフォームがあるのは、とてもプラスになっています。
0から作るのではなく、すでにあるものを上手にキュレーションしてギュッと凝縮するところは、教育機関ならではの特徴だと思います

授業は、みんなの興味関心が沸くものが数多くあると思います。それが本当に自分に合うか合わないかもそうですし、聴きたい内容かどうかもあったりします。音声は自分が聴きたい声もあれば、少し苦手な声もあるでしょう。テンポの相性もあるかもしれないので、お試し的に聴けるというのはすごくいいと思います。
多くの人が放送をきっかけに学ぶのが楽しいと感じてくれて、どんどん学びを深めていくという世界になれば、すごく素敵だなと思いますね

—— 各産業がマーケティングでフリーミアムモデルを作っていくかどうかは注目しています。コンテンツ自体は始めに提供して一定の認知を得て、いいなと思ったらお金を払うフローの方がスムーズな時代に変わったと思います。

人間の習慣ごと変わっちゃいましたからね。令和になって、人間の行動特性ががらっと変わっているので、残念ですが令和の時代に「お金を出したら初めて提供します」という昭和のやり方をやっても合わないですよね。
Voicyは本当にそう思いますが、毎日声を聴いていると、心理的距離も近づいていくんですよね。いきなり買うのはすごくハードルが高いですが、少しずつ聴き続けると、好きになっていくみたいなところもあると思います。やっぱり信頼醸成のプロセスってとても大事な気がします。

—— 大学などの教育機関も信頼が重要ですよね。パンフレットや説明会だけで決めるのは難しいですよね。

グロービスは社会人向けの大学院ですが、高校や大学などの人生の教育となると、人生において大きな選択だと思います。特に、大学は範囲が広いので何が学べるのかなど、本当に知りたい人は深く知りたいはずなんですよ。
そういう意味で、大学機関はもっとVoicyなどを使って広くどんな学校なのかを配信した方が、社会にとってすごくいいと思います。私が大学で働いていたら絶対やると思いますね。

あと、声だけを聴いていると、リアルに会ってみたいと思う部分もあるかもしれません。実際、会いに来てくださる方もいらっしゃいますし、私自身もVoicyを聴いていてこの人とリアルで会ってみたいなと思う方がいらっしゃったりするので、そういう効能もあるんじゃないかなと思いますね。

なぜテキストや動画ではなく、音声が良いのか?

—— さまざまな媒体を活用する中で、音声の立ち位置やメリット・デメリットなどを教えてください。

グロービスは、テキストも動画も音声もと広く用意していますが、ご本人の生活パターンによって選択されていると思います。なおかつ、それぞれ目的によって使い分けされると思っています。なので、ガッチリ時間を確保してインプットに集中する時もあれば、空き時間にながら聴きで耳からインプットするなど、色々なシーンで活用されていると思います。そういった意味で、やはり使い分けられるのでどの媒体も大事だとは思います。

また、音声は直感的にくると感じていました。今は動画で色々勉強できる時代ですが、やはり目が必要な前提だと疲れてくるんですよね。
満員電車では視聴できない時もありますし、実際に自分も動画を音声だけで聴くみたいなことをやり出していたんです。そうすると動画がなくても、インプットに関しては、音声だけで学べる方が実は幸せなんじゃないかと思いましたし、周囲からもそういう声が結構上がっていたのを見聞きしています。
音声は耳だけで集中できて、ある意味情報量がすごく多いと思うので、そういう意味では学びに関してはいいメディアだろうと思います。

—— ある程度分散させてリーチするのは大事ですよね。生活者が多様性を持ったおかげで、発信側もかなり多様性を持たなくちゃいけなくなったなと思います。

そうなんです。だからそこに関しては自分たちはコントロールできなくて、あくまでもコントロール権はユーザーが持っているもので、その人達の都合がいい場所に自分たちが存在してることが大事だと思います。

グロービス経営大学院の放送作りのコツ

—— グロービスさんでは、実際にどういうプロセスで放送を作っているのですか?

聴いてほしいリスナー層が大体20〜40代と思っているので、その年代に近い若手のメンバーが、自分だったら何を知りたいか、顧客としての目線で何を聴きたくて何に関心を持ってるのかをすごく考えてテーマ出しをしたんです。
毎日インプットばかりだと疲れるだろうし、キャリアの関心もあれば、知識インプットもしたいとか、今どきみんなが何を気になってるかのトレンドも知りたい。そういう多様なニーズが見えてきたので、自分たちで考えつつ、受講生や友人に聴いてもらいながら、テーマを選定して決めました。

—— ただツールを入れたら良いというわけではないですよね。

そうですね。私たちもいろんなコンテンツを持っていますが、関心を持たないと聴いてくれないですし、やはり聴き続けてもらうことがとても大事だったので、そこはすごく意識しています。

—— なるほど。聴き続けてもらうためにどのように改善していますか?

メンバーが毎週ミーティングしていますが、最初は自分たちの中からこういうところに関心あるだろうという仮説を持ってやります。そして、実行にうつしたらVoicyにデータが蓄積されるので、それに応じて少しチューニングした方がいいんじゃないとか、試行錯誤しながらやっています。配信の時間帯とかもかなり見ながらやっています。

—— 当初と大きく変わりました?

コンテンツは途中で一度変えましたが、配信時間はずっと朝7時のままです。これはこの時間帯からの配信が悪くないというのが明確に見えてきたからです。しかも実はこの5分間というのも、一番最初に私たちが設定した通りで、大きく変更したことはないです。
多分Voicyで配信する側の一番最大のコストは、コンテンツを作ることでしょう。でも、コンテンツさえあれば10分ほどの時間で放送を作ることができます。だから、コンテンツが既にあるところにとっては、音声は際限なく低コストでできるメディアだと感じます。

これから音声配信を始める人に伝えたいこと

—— これからの音声に期待してることはありますか?

今、学び市場は動画が中心ですが、動画である必要のないコンテンツもあると思います。特に教育機関が持ってるようなコンテンツは、先生が大学や高校の授業で話していたりすると思うので、むしろ音だけで聴ける話になると、いろんな人の知見が学べるしいいですよね。
最近はリカレント教育が注目されていますが、さまざまな領域を知りたいと思っている人が多いので、そういった意味でもっと音声をベースにした教育コンテンツがあったら、すごく豊かな学びの世界が広がると思います。インプット型もそうですし、専門家が話してくれるチャンネルがたくさんあると嬉しいなと思います。

—— これから音声配信を始める人に向けて、配信を続ける工夫や逆に苦労したことなどを教えてもらえますか。

続ける工夫はコンテンツの見通しですね。
あまりにも作り込んで話すと棒読み状態になってしまいます。コンテンツを持っている人が話す場合は、今日のテーマを意識しながら緩く始めるのが大切かと思います。
ちゃんと録音しなくちゃ、作り込まなくちゃと考えると、どんどん心理的ハードルが高くなります。Voicyの収録アプリは簡単に編集できたり、戻れたりするので、そういう意味では気構えず、軽く始めるのが大切だと思います。

—— たしかに。でもやっぱりちゃんといいものにしたいという熱量のある担当者が必要ですよね。

それは大事ですね。それこそVoicy自体もいろんな形でアップデートしてくださっているので、そこをしっかりと意識していくことも大事だと思います。あとは「明日の配信をやらないと!」と身構えるとどんどん辛いサイクルに入ってしまうので、余裕を持って熱量の高い担当の方がいらっしゃった方がいいでしょうね。

—— とりあえずそのサービスを導入した時点でうまくいくんじゃないかと思ってる人がすごく増えていると感じます。

メディアに限らずどんな企画もそうですが、そもそもの目的はどこか、顧客は誰なのか、とマーケティングの“マ”の字さえきちんと押さえれば心配いりません。そこが本当に大事な時代だというのは改めて思います。

さいごに

「ちょっと差がつくビジネスサプリ」の人気放送

※2022年2月取材

お気軽にご相談ください

音声での発信は、瞬間的な「リーチ」や「効率性」という面を求めるには不向きです。一方、ブランドや企業が大切にしている世界観や、想いや本音といった価値をリスナー一人ひとりに届けるために役立てていただけると思います。
音声による新しい企業カルチャーの発信や、音声放送による組織の活性化に関心のある方はお気軽にご相談ください。

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