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歌詞は分からなくても、音が伝えてくれるもの


小さい頃から歌が好きで、歌うことが好きだったせいか、曲よりも、歌詞重視の時期が長かったように思います。実際、歌詞が心に響いて、聴くたびに涙を流した曲は、数え切れないほど。
今、咄嗟にその中でどれ?と聞かれたら、すぐに答えられるほど、年代やその時の心象とリンクしていた曲は、数知れず。特に、悩みを抱えることの多かった、10代、20代の時に聴いた曲は、忘れられないものです。
将来のことに悩んでいたとき、バスの中で小さな声で歌って泣いたのは、アリスの「遠くで汽笛を聴きながら」でした。窓の外から見た夕日が綺麗だったことを、今も鮮明に憶えています。また、3人姉妹という洋画を母と観に行った帰り、電車の中で耳の奥からBGMで流れてきたのは、井上陽水さんの「少年時代」
「夢はつまり思い出の後先」という歌詞が、映画とリンクして「過去は幻、未来は夢、確かめられるのは今しかないんだなと」思った記憶があります。

それがいつしか、歌詞よりも曲の方に心惹かれるようになり、10数年前から心理の勉強を始め、波動についても学ぶようになってから、音は波動なのだと気がつきそれ以降、前ほど歌詞に対して重きを置かなくなったように思います。
曲自体に、作り手の思いが込められていることを、音から感じ取るようになったことが、主な原因です。
なので、それに気づいたころを境に、以前は苦手だったサウンドが、スーッと胸に入ってくるようになりました。激しめのビート、ロック、ジャズといった類も、以前はあまり好きではありませんでした。なんとなく耳に触る、うるさいというイメージで避けていたのです。
それが今では、ジャズの音色の多様さに惹かれ、特にピアノの演奏がメインの曲がとっても好きに。
こうこう、こういう理由だから好きなど、理屈から入るのではなく、わけもなく、ある時、急に好きになることはあるもの。私の場合は音楽がそれだった、というわけです。

音を波動として捉えるようになって、受け入れられる音、音楽が急激に増えたのとほぼ同時に、好きになったのが、ThailandのミュージシャンMewSuppasitです。
年齢は31歳ながら、デビューしてまだ2年しかたっていないことに驚きました。日本なら、もう中堅の年齢です。
5年前俳優としての仕事をスタートさせたそうで(オーディションに行っても落とされてばかりだったとか)それまではMVに出たり、モデルをしたり下積みもそれなりに経験したようです。
たまたま観た、ドラマでの挿入歌を歌っていた彼の歌声と、歌のうまさに惹かれたのがきっかけでファンになりましたが、特に好きなのが、2020年8月1日リリースしたデビュー曲、SeasonofYouです。もし、この曲を最初に聴かなければ、おそらくこんなにも好きにはならなかったと思います。
この曲を最初に聴いたことで、他の曲も聴いてみたいとCDを探したのですが、日本では発売されていないと知り、メルカリですべてのCDを買い集めました。
聴いてみると、予想した通り、どれも心に響く歌声で、急激に好きになった勢いで、タイの公式ファンクラブに入会してしまったのは、想定外。
今までも、考えもせず行動に移したことは何度もありましたが、まさか海外アーティストにハマるとは…さらにタイの公式ファンクラブを通して、直接レコードを買ったり、タイ語を勉強し始めたり…
我ながら、めちゃくちゃだなぁと恥ずかしくなりますが、まぁそれはそれでよかったのではないかと思っています。

今日まで、繰り返し何度何度も聴いているはずの、SieasonofYouですが、聴く度にと何故か涙が溢れてきます。
何度聴いても、涙が出る。不思議です。
タイ語で歌っているので、どんな歌詞なのか正確にはわかりません。
歌詞を紹介した文章を読んだ記憶はありますが、詳しくは覚えていません。
恋愛がテーマで、あなたは僕のすべての季節だというような意味だそうです。でもフレーズごとの意味は、よくわかりません。
なのに、涙が溢れてくる。
それは、きっとメロディから伝わってくる、相手を思う気持ち。恋する心、寂しさや悲しさや恋しさや、楽しさといったものが、私の心に響いてきて、涙させるのだと思います。
一つ一つの音は波動があり、その波動が重なり繋がり連なりメロディとなっていく。そのメロディは作り手の思いが込められている。
それが、聴くたびに心に響いてくるのだと思います。

タイ語は難しく、なかなか覚えられません。
歌詞でタイ語を学ぶ方法を、講師が紹介していることもあって、SeasonofYou を覚えようと繰り返し聴いています。繰り返し聴いていると確かに、単語やフレーズが自然に入ってくる感じがあります。面白いのは、日本語に変換してしまうこと。
私の場合は、あるフレーズが日本語の「こんりゅうじ」に聞こえてきて、そこはしっかり覚えました(笑)
もし、タイの推しに出会わなかったら、タイ語に触れることもなく、タイ語の歌詞の曲を聴くこともなく、言語は音であり、その音の波動が、何かを伝えてくれるということに気づくこともなかったことでしょう。

いつか「Season of you」の歌詞をマスターして、タイ語でこの曲を歌ってみたいと思います。


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