ぶためん
小学生の頃、通学路の途中に行きつけの店があった。白髪で腰の曲がった女性が営んでいた駄菓子屋だ。
売られている商品は10円から30円の価格帯が多く、大抵の商品にあたり制度が導入されていた。普段はきなこ棒か蒲焼さんにするのだが、お腹が空き、夕飯まで我慢できないときに限り、1個50円する「ぶためん」を選んだ。
蓋をめくる。ブタメンのあたりは少なく、あたりの文字がなくても一喜一憂することはない。熱湯を入れてもらい、とんこつの匂いを顔に当てながら、一気に麺を取りすぎないように食べた。その様子を見ていたおばあちゃんは「美味しそうに食べるわね」と言った。
駄菓子屋には小学校を卒業するまで通った。卒業するころには、おばあちゃんの大きな白いパンツを畳むようになっていた。中学生か高校生になって駄菓子にもう心をひかれなくなった頃、店は閉じた。
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