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【7月のAudible読書メモ②】


国宝 上 青春篇 吉田 修一

国宝 下 花道篇 吉田 修一

聴くきっかけをくださったのは、ゆらゆらミルコさんのどこかの記事のコメント欄でコニシ木ノ子さんが『国宝』おもしろいぞ!ってお勧めしていたのを読んだからです。すぐにダウンロードしました。

Audibleやっててよかった、聴けてよかったと思いました。心から。聴いたというよりも観た、極上の舞台を観たという感覚です。

尾上菊之助さんの語りがとてもいいのです。義太夫の節回しの稽古の場面など、おそらく文字だけでは伝わってこない表現が見事に音声で表現されていて、耳が幸せでした。舞台のセリフなどは言うに及ばずです。何度鳥肌をたてたことでしょう。

「国宝」あらすじ

 任俠の一門に生まれながら、この世ならざる美貌を持った喜久雄。上方歌舞伎の名門の嫡男として生まれ育った俊介。二人の若き才能は、一門の芸と血統を守り抜こうと舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜けていくが――。長崎から大阪、そして高度成長後の東京へ舞台を移しながら、血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り、数多の歓喜と絶望が、役者たちの芸道に陰影を与え、二人の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。

『好書好日』より

何度も泣きました。歓喜の場面で。そして胸をえぐられるかのような絶望の場面も幾度もあり、感情は忙しかったです。登場人物が多い話は苦手ですが、全く苦にならず、最後まで集中して聴くことができました。二人の役者とその周りの人物も皆個性が際立ちとてもいいです。

舞台を客席から座って観ていただけでは、絶対に書けないであろう、楽屋や舞台袖での役者のしぐさや表情が、なぜこんなにも詳細に書けるのかとおもったら、作者の吉田修一さんは、許可を得て黒衣を着て舞台裏から歌舞伎を見ていたからなんですね。黒子の方と世間話ができるほどになるまでになったというのですから、驚きます。そこで目にされたことを余すことなく小説に盛り込んでくださったからこその読み応えがあります。(聴き応え?)

聴き終えた後、すぐにもう一度最初から聴きました。役者さんの舞台にかける思いと並々ならぬ努力と稽古量を、そして、それを支える様々な人々の覚悟と粋な生き様を知り、歌舞伎を観に行きたくてたまらなくなりました。



最後までお読みいただきありがとうございます。
また、次のnoteでお会いしましょう。


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