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【10月のAudible読書メモ④】


『スロウハイツの神様(上)(下)』辻村深月

人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだ――あの事件から10年。アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。夢を語り、物語を作る。好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。

Amazon Audible HPより

莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。そんな中、あの事件の直後に128通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った1人の少女に注目が集まる。彼女は誰なのか。そして環が受け取った1つの荷物が彼らの時間を動かし始める。

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先週読んだ『島はぼくらと』とリンクしているとの情報から読み始めた。読む順番はこちらの作品が先のほうがよいようだ。

正直に言うと物語が動き出すまで、延々と状況説明が続いているようで、伏線が続いているのだとわかっていながらも、上巻の後半に差し掛かるまでは読み進めるのが、大変だった。下巻に入って怒涛の展開。

恋愛ものとして読むこともできるが、私はクリエイターへのリスペクト、愛、売り出し方、ファンに支えられているクリエイター、クリエイターを支えるファン心理など、クリエイターにまつわる諸々を知るのが面白かった。

『自分の〈ことば〉をつくる あなたにしか語れないことを表現する技術』細川 英雄

「あなたにしか語れないこと」を表現できるようになる!

・企画書・報告書を自分の言葉で書きたい
・伝わるプレゼンがしたい
・SNSで自分のオリジナルな考えを発信したい

どこかで見たような内容ではなく、自分オリジナルの考えをオリジナルに表現するには?
企画書で、プレゼンで、会議で、面接で、SNSで、誰もが突き当たる壁を乗り越える方法を解説します。

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巻末にある、「エピソード 自分のことばで語るときまでー千葉くんの挑戦」がとても興味深い内容だった。

千葉くんという高校生が選択科目の授業で「○○と私」というタイトルで原稿用紙20~30枚のレポートを書く活動をする。

自分で決めたテーマについて、自分の考えに基づきメモをつくる。そしてそのメモの内容について、仲間との話し合いや自分に投げかけられる質問に答えることで、自分のメモを書き直していく。また、一人の友達との対話を通してテーマについての考えを深め自分のことばで表現していく。その変容の様を見ていくのは実に刺激的だった。

千葉くんのように時間をかけた活動ではなかったが、仲間からの質問を受けて自分の表現にヒントをもらう活動については、少し似たようなワークショップに参加したことがあり、その効果を実感できたので千葉君が受けた授業のようなものが、日本語教育の授業でも取り入れられたらと思いながら読み進めた。

『春のこわいもの』川上未映子

“感染症”大流行直前の日常を舞台に描かれる6編の物語。
入院中のわたしがきみに宛てた手紙 ─「青かける青」。
高級ホテルでギャラ飲みの面接を受ける二人の女性 ─「あなたの鼻がもう少し高ければ」。
死期が近づいている老女と大柄な後ろ姿の家政婦 ─「花瓶」。
あなたと生年月日がまったく同じ作家の自殺 ─「淋しくなったら電話をかけて」。
大切な手紙を探しに夜の学校に忍び込む僕と彼女 ─「ブルー・インク」。
高校時代の親友から久しぶりにかかってきた電話に ─「娘について」。

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2020年の前半は、自分の生活が、世の中がどうなっていくかわからない中で、鬱々とした気持ちになった。その時の気持ちを思い出すような話。あるいは、時代に関係なく多かれ少なかれ、程度の差こそあれ、自分の中にある醜い部分を言語化されたような話。ヒリヒリした気持ちになったり、どよーんとしたり。ぞわぞわっとして読了した。ナレーターさんの声のトーンや読みがとても内容にあっていて、閉塞感が伝わってきた。

『鋼の自己肯定感 ~「最先端の研究結果×シリコンバレーの習慣」から開発された“二度と下がらない”方法』宮崎直子

読後、できなかったことに目を向けがちな私が、できたことに目を向けるという考え方にシフトできるようになったのが一番大きな変化だと思う。情報量が多いので、少しずつ繰り返し読みたいと思う。


聴く読書をすればするほど、読みたい、文字で確認したいという気持ちが強まる。

おそらく、スピードの調節が都度できないというか、しないのも少々ストレスになる原因かもしれない。

活字を追っているときはその内容によってゆっくり読んだり早めたり、または少し戻ったりしながら読んでいるからだと思う。Audibleでいちいち内容によってスピードを変えるかというと、そこまではしない。

とはいえ、ドライアイやら老眼で読書をあきらめていた私が月に何冊も本を楽しむことができるのだから、やはりありがたいツールだ。
11月もたくさん聴きたいと思う。



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