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私ってこんな人

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私についての記事をまとめました。失敗した話が多いです。
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2023年8月の記事一覧

車は白線の内側に駐車してください(車にまつわる話3)

車は白線の内側に駐車する。至極あたりまえの話だ。 でも、「車止めの修理工事をするしばらくの間、白線をまたぐように止めてください」これが、3週間くらい続いたら?それはもう、私の中であたらしい習慣として身についてしまったのだ。当時住んでいた家の駐車場でのことだ。 ある日、私は歯医者さんへ車で出かけた。 その歯医者さんの駐車場は車通りの激しい大きな道路に面したところにあった。その駐車場にとめるには、まずできるだけ車道の左端に寄って50m位後方にある信号が赤になるのを待つ必要が

サザエさんになった日

財布を持たずにスーパーへ行ったことがありますか? 私はあります。(自慢してどうする) その日、私は財布を持たずにスーパーへ行った。 早くに気がつけばいいものをレジに並んでいる時になって財布を持って来なかったことに気が付いた。 はっ。どうしよう。財布持って来なかった! かごの中のもの、戻す?いやそれはダメだな。多すぎる。不審者すぎる。 一度かごに入れた未購入品を大量に棚に戻すのって、よくない。 はー。もう順番来ちゃう。恥ずかしいけど、言うしかないな~。 慌てて、頭の中

私の車はドコデスカ?(車にまつわる話2)

広い駐車場に車を止めたら、そこを離れる前に駐車場の番号を普通は確認するものだ。東のAとか5FのBとか。 私はしなかった。 あの日、私は初めて一人で遠くまで車を走らせた。片道30分の道のりは、私にとっては冒険だった。無事に到着した嬉しさと緊張が解けた膝をガクガクさせて、ヨロヨロと店内に入って行った。 一人の時間を満喫して、そろそろ帰らなければと駐車場へ戻ろうとして真っ青になった。 私は、どこに車を止めた? 額にじわーっと汗が滲み出てくる。次男の幼稚園バスが家の前に到着

バランスボールか昇降デスクか

ふだん、日本語学校で授業があるときは、ずっと立っている。朝、家を出てから授業が終わって教務室に戻るまでの間、ほぼ立ちっぱなしだ。 朝5時半に起きてから午後1時くらいまでの間座っている時間はおそらく30分あるかないかぐらいだ。 なのに、2020年の4月からの1年間、生活は一変した。授業は全てオンライン。通勤する必要もないから、ずーっと座わる生活を送っていた。 対面授業ではあり得ないスケジュールの日もあった。午前と午後で違う学校の授業をやるということも経験した。移動の必要が

スローモーションになるとき

痛みを伴うほうが、記憶に残りやすいという話をどこかで聞いたことがある。 今日、車を運転しながら、痛いことを思い出した。 子どもが地域のソフトソフトボール大会に出るという日、応援にかけつけるため私は急いでいた。家から徒歩でも行ける距離の学校のグランドで行われる大会だ。 でも歩いて向かっていては、試合開始に間に合わない。当時の住まいは、坂の多い地域でほとんど自転車に乗っていなかった。大人用の自転車もあったが、整備していなかったので、私は息子の自転車を借りることにした。 小

窓辺の灯り

高校生の時の英語の教科書の中のイタリア語の一文が、なぜだか忘れられずずっと頭の中にあった。 イタリア語を習ったことはないので、字面を自己流に発音して覚えたいた。 旅行会社に入社して、後輩ができたときにその自己流イタリア語をお披露目する機会を得た。後輩は大学でスペイン語を専攻していて、イタリア語もある程度わかると聞いて、ずっと頭から離れられない一文を言ってみた。 「あ、それは 窓辺の灯り という意味です。 発音もほとんどあっています。よく覚えていましたね」 彼女は私のな

最短距離に憧れて

私は方向音痴だ。それも極度の。 例えば、デパートに入ったとする。入ったときと出たときの出入り口が違っていたら、もうどっちに行けばいいのかわからない。 この前は、喫茶店でトイレから出て会計をしに行きたかったのに、逆方向の店の奥へずんずん歩いて行ってしまい、自分でもびっくりした。 友だちとの待ち合わせの場所にも、たいてい最短距離で行けない。Googleマップを使えばいいのに、なぜか自力で行こうとして歩行距離を増やしている。道を歩いていて間違いに気が付き、急にUターンして、後

お土産にご用心

長期休みが終わると日本語学校では、お土産を配る学生をよく見かける。母国のお菓子や、日本の旅行先からのお菓子だ。配る人ももらう人も、みんな笑顔で楽しそうだ。 今でこそ、学生の母国のお菓子にだいぶ詳しくなったが、この仕事を始めて間もない頃は、もらう物すべてが初めましての物ばかりだった。 「先生、どうぞ」 「わあ。ありがとう。これは、何ですか?」 「ココナッツのお菓子です」 見た目は平たくキャラメルのような形。甘くいい香りがしている。包み紙にじわっと、ココナッツの油が染み出て

ブレーキの踏み方

今は亡き私の父方の祖父母が元気だったころの話。 母が、二人の話をするときによく言っていたのが、「でもね、あの二人のすごいところは、人の悪口を絶対に言わないところよ。どんな人に対しても言っているのを聞いたことがない。これは本当に尊敬する」と、ことあるごとに私に言っていた。 何度も聞かされたこの話は、私がちょっと悪いことを言いそうになるとブレーキをかけてくれる。 人の悪口は言わない。 時には言いたくなることもある。けれど、ぐっと踏みとどまることができる。 ブレーキが錆び

ガソリンスタンドで笑われた話(車にまつわる話1)

運転免許は結婚してから取得した。まだ家には、車がなかった。夫は学生時代に免許を取り、ペーパードライバーになっていた。 新婚時代、東京都のはずれに住んでいた。駅を降りるとまず野菜の無人スタンドがあるようなのどかな場所だった。昔の農道をそのまま舗装したような道路。道幅は狭く、セダンタイプの車が2台すれ違うのもすれすれというようなところだった。 そして、家は最寄りの駅から自転車で20分強と通勤にも買い物にも大変なところだった。今でも時々あの頃を振り返って、「若かったから、あの生