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海外での育休奮闘①~取得編~

みなさん、こんにちは。柳本です。

Twitterでは既にお伝えをしておりますが、現在私は育休的な休みを取得中です。なぜ「的な」と書いているのかは後々説明しますが、男性が育休を取るのって結構まだハードルがあるんだなーと今回の自分の取得でも感じました。ちなみに今の日本の男性の育休取得率は2019年で7.48%、10年前の1.72%よりは前進していますが改善の余地は大きいですね。なので私のドタバタ含めてnoteで発信して少しでもこの状況をよくできたらなーなんて思ってます!

また、私は今数人のチームメンバーを部下に持つ管理職なのですが、その視点でも見えてきたことがありましたので是非そちらも共有します。

ぶっちゃけ私一人が発信しても世の中に与えられる影響は少ないと思うのですが、ゼロよりは良いと思い発信します。実際に育休を取った期間の妻や新生児のこと、家事育児の大変さについては後編のnoteに綴りますのでそちらも乞うご期待!

読んで欲しいなと思う人は①育休をこれから取得しようと思う男性②育休の対象となる部下を持つ管理職の方③パートナーに育休を取って欲しいと考えている女性です。

なるべく軽快に書いていきますので最後までお付き合い下さい!

まずは夫婦で話し合おう!

まず前提として我が家は既に2歳になる第一子がおります。第一子の娘が生まれたときは里帰り出産ということもあり当時の私は育休を取らず。。。(軽く1週間弱の有給は取りましたが)

しかし今回第二子が生まれることが昨年わかり、妻から「今回は育休取るよね?」と言われたのが正直な所、育休取得に向け動き出したきっかけでした。妻の「取るよね(ゴゴゴゴゴゴ)?」に目の奥に炎を感じたのでこれはYESしか選択肢がないやつだと心の中で想い「じょ、上司に取る方向で相談してみるね!」と返しました。

まず前提として私は海外駐在をしており、コロナ禍のため家族を呼び寄せて育児や家事のサポートをしてもらうのが現実的には不可能という状況でした。日本からの渡航にも制限があるんですよね。もちろん妻と娘を帰国させて日本で生んでもらうという選択肢もないわけではなかったのですが、一緒に暮らしたい、家族が離ればなれになりたくないという思いが私にも妻にも強かったので海外で産むことを選択しました。

加えて妻と話し合った時に言われたのは、小さい娘がいる中で数日のみの休みではあなたはとても対応できない、だからまず1ヶ月程育休を取ることを考えてほしい、ということでした。確かに2歳の娘はまだまだというかめちゃくちゃ手がかかるし、妻が病院にいる期間、退院後も安静にしていないといけない期間に休みをとらずに仕事をしながら家事育児をするのは現実的ではないなと。特に女性は産後ホルモンバランスが崩れやすいし、授乳で昼夜問わず新生児の対応が必要になって結構メンタルへのダメージも大きいんですよね。その中で産後うつを発症する人もいると言うことも話し合いました。

「産後うつ」は出産後の女性のうち10%前後が発症するとされています。国立成育医療研究センターなどが過去に行った調査では、「産後うつ」の可能性がある女性の割合は、産後2週間をピークに徐々に減少し、3か月で6%から7%程度になるとされていました。このデータを見ても最初に育休でケアをしっかり出来るのは大切ですね!

今振り返るとここで妻から「取るよね?」と聞かれていなければきちんとまとまった休みを取るという選択をできていたか非常に怪しかったなと思います。聞いてくれてホント良かったと思う反面、自分でその大変さを想像できていなかったこと、妻に自分から育休を取ることを提案できなかった情けなさも感じました。

駐在中に欧州の同僚の価値観に触れて、ワークライフバランスという観点を学び、仕事一本足打法でなく家族との時間の大切さは感じていました。また1年以上に及ぶリモートワークで在宅育児をしながら娘と向き合い、仕事を続けてきたことも大きな価値観の変更点でした。随分私もマシになったと思っていましたが、それでもどうしても仕事に注力してしまう傾向が私にはあるようで、ここできちんと育休について考えられたのは良かったなと思います。

日本の状況はというと、コロナで里帰りができなくて周りに頼れる人もいなくて困っているという話も聞きます。筑波大の調査によると先ほどの「産後うつ」が10%から20%に増えているという結果もでているようです。コロナ禍においては日本でも男性の育休をより必要としている人は多いんじゃないかなと思います。

男性側は是非パートナーの女性の意向をしっかり聞いて欲しいなと思います。まずは夫婦でしっかりと話し合う事がスタート地点ですし、ここの結束が後々会社とコミュニケーションする上でもモチベーションになります。

女性側も男性パートナーの方に気を遣うことはあるでしょうが、ご自身の心身の健康や命が大切なので言う前から諦めず、ぜひ熱意を持って男性パートナーの方に相談してほしいなと思います。男性側も女性のこうしたリスクを理解して家族の命と健康を護る選択をしてほしいです。

私の場合も何となくの大変さは分かっているつもりでしたが実際に家事を里帰りと同じレベルでやることのきつさ等、わかっていない、イメージ出来ていないことが多かったのでこの部分は本当に男性も勉強し、理解しないといけないなぁと反省しました。

善は急げ、でも調べてみると。。。

ということで我が家の家族会議で方向性が決まったので、会社の状況をまず確認することに。私の場合は海外駐在員なので残念ながら日本の会社側の「育児休暇」の仕組みがそのまま適用できず、社内に海外駐在員向けの「育児休暇」の定まった制度がないことが判明しました。無念…

過去に「育児休暇」を取得しようとした人にもヒアリングをしましたが、どーにも社内での確認プロセスが煩雑でそこの時間をかけるなら有給で対応しちゃえと数週間の休みを取った人がいました。

ぶっちゃけ会社側とこの件で対決することも考えましたが、私にとって大事なのは育児休暇という制度を使うかよりもその期間にきちんと休めるかどうかだったので会社の制度は利用せずに有給を上手く使い3週間の休みを取るという選択をしました。幸い現地の駐在先にも数日分休みが付与される事もわかり何とかなりました。今後駐在員でそうした制度を使いたい人のために前例を作るというのも考えましたがそこまでは踏み切れず。当初夫婦で1ヶ月取得したいと言っていたのですが、有給の活用に切り替えたためここは少し期間を短く3週間とすることを合意しました。その代わり育休復帰明けもリモートワークを継続しなるべく育児家事に対応しようと決めました。

日本にお住まいの方は私のような育休制度の活用そのものへの疑念は少ないかと思います。ただし、所属している企業や上司によってはパタハラ(男性が育休を取ることへの嫌がらせ)が横行していたり、男性の育休そのものへの理解が不足していて「うちでは取れないよ」と言われるケースもあるようなので、取得する側が勇気を持たないといけない状況です。その意味で社内の情報を集める、特に身近で育休を取った男性社員がいるかは確認しておいた方がいいですね。取得者がいる場合は社内のプロセスや上司とのコミュニケーションの方法についてヒアリングをしておくことをお勧めします。

ちなみに男性の育児休業取得率が低い理由はなんでしょうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「平成29年度労働者調査」を見てみると男性が育児休業を取得しない主な理由は以下のとおりです。

■業務が繁忙で職場の人手が不足していた……38.5%
■職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった……33.7%
■自分にしかできない仕事や担当している仕事があった……22.1%
■収入を減らしたくなかった……16.0%

1つ目の人手不足は育休に限らず結構マネジメント側の問題な気がするんですよね。中長期的には育休が取りづらい会社よりも取得しやすくした方が従業員の寄与度も上がるはずですが、現場はそう簡単ではないのが悩ましい状況ですね。雰囲気については育休は国の制度のため育休が取れないということはないのですが、まだ前例がない、取った人が社内でもほとんどいない状況だと部下から言い出しにくいというのはありそうですね。

上司の立場にある人は是非社内の男性の育休の取得状況や前例なども調べてみる事をお勧めします。またある程度権限がある方であれば社内での管理職向けの育休に関する勉強会を主催するなど男女ともに育休が取れるよう意識を変える、理解を変える、行動を変える事で育休を取りやすい雰囲気の醸成に努めてほしいです。

伝えるにはやはり勇気がいる

ということで今回は育休的な休み(やっと伏線を回収できましたw)を3週間取るぞと決めた柳本でしたが、当然上司や関係者に相談して決めないといけません。ただの有給消化なので上司に断る権利はない?のかもしれませんが、それでもやはり伝えるときはドキドキしますね。

私の場合は少しややこしくて直属の上司(現地人材)と日本人の上司への両者への相談が必要でした。直属の上司は欧州人なので理解がめっちゃ早くて、なーんの問題もなく「もちろんOK、俺たちは出来ることをサポートするだけさ!育休期間の育休期間の仕事もサポートするからまたどこがサポート必要か教えて」とすんなり終わり、非常にポジティブな提案までもらえました。正直こういう反応をしてくれたら(あー言えて良かった)と胸をなで下ろすわけです。もちろん欧州の人間の育児に対する考えも多様ですが、さまざまなメンバーと話していて日本よりはこの家族との時間への理解や配慮があるなぁと感じます。

次にちょっと気を遣ったのが日本人上司。直属上司とも合意出来ているので基本止められる事はないのですが、日本ではまだまだ育休を取る人が少ないのでどんな反応されるかな~と不安になってました。これを言って仕事のやる気ないと思われないかなとか、評価が下がらないかなとか、まじめに仕事をしてきただけにやっぱり気になるんですね。実は日本人上司に育休を取ると相談をしやすくするために、子供ができたと分かった時から家事育児も頑張りつつ仕事のアウトプットを出すことを更に意識しました。出来るだけYESと言ってもらいやすいように(こんな事は本来不要な努力で良いはずなんですが、どうしても気になってしまうんですよね)頑張っていて、そのせいで昨年末は結構心身がボロボロでしたw

ぶっちゃけが続きますが、日本人上司用に伝え方のシュミレーションまで何度かしました。相手に反論・否定されないよう「そりゃ無理だよね」とか「育休とらないとやっていけないよね」と言ってもらえる要素を盛り込みました。3週間の育休って私にとっては(或いは見る人によっては)短いですが、まだまだ多くの日本人上司にとっては長く感じるのではないかと思うんですね。

かなり緊張をしましたが、「家族優先で頑張って」と日本人上司からも言ってもらえたのでホッと安心しました。コロナで家族が来れないとか娘が小さいというのは理由として言いやすかったですね。でもこういうヤキモキが日本の至る所であるのかと思うとちょっと悲しいですね。困難な理由がなくても「子供のケアをしっかりしたいので育休取ります、以上」って言える社会の方が良いなぁってしみじみ思いました。

上司に育休的な休みを取りたいと伝えたタイミングは取得の5ヶ月前でした。早めに言っておくのは上司が人員の補充や穴を埋める計画を立てるなど、組織として準備をする上で大切だと思います。権利として育休を取れるとしても取る側も職場への配慮は必要だと思います。

今上司の立場にある人に私からお願いをするなら、まず子供が生まれるという報告を部下から受けた時に「育休ってどうする?」と一言聞いてあげて欲しいです。下記のデータを見て下さい。なんと男性新入社員の約8割が育休取得を希望していると言うデータもあります。ここ数年で大きく伸びているんです。みんな取りたいと実は思ってるんですよ。

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もちろん部下も必要に迫られれば自分で言いますが、上位者が聞いてくれたら本当にありがたいです。できれば育休を促進出来るポジティブな言葉や私の直属の上司のようなサポートについて言及してもらえると更に嬉しいですね。男性で育休を取得したい部下は結構いますよ。彼らは悶々としてますよ、と言うことを伝えたいです。もし育休の基本的な制度や内容に理解が不足していると感じられたら下記書籍を参照されると概要を掴めます。

パートナーの女性の方向けには、パートナーの男性が社内でコミュニケーションをする時に思った以上に悩む実態があることを少しだけでも知っておいて欲しいなと思います。女性は産休育休取るのが当たり前なのに男性が取る時に消極的なのはおかしい!という気持ち、とてもよく分かります。でも男性側もまだ社会で男性の育休が普及しきっていない中で手を挙げることに勇気がいるんです。情けない話ですが。男性パートナーさんがそういうことに悩んでいるかもしれないということだけは覚えておいてもらえると嬉しいです。

取ると決めたら準備をしよう!

無事に上位者への合意が出来ましたのでここからは準備です。私の場合は管理職としての仕事と実務担当者の仕事が2つ混ざっていました。3週間の休みで人員の補充はないので、休み期間中にこれらの仕事が滞らないようにしないといけません。

まずはチームメンバーに育休を取るということを伝えました。もちろん事前に取りたいと伝えていましたが、正式に上位者からOKをもらったので期間を具体的に伝えました。

次に私がやったことは3ヶ月詳細スケジュールの作成でした。出産のタイミングは前後することもあるため、いつ育休に入ってもいいように長めのスケジュールを作りました。縦軸に大項目の仕事を分類して、その内数として中小の項目の仕事を担当者とともに明文化しました。横軸は時間と主要な納期、イベント、私の休み予定の時期を組み込みました。これで誰がいつまでに何をしないといけないのかが私以外の人にも明確になります。

この資料をまず直属の上司に共有し、特に上司側からマネジメントの観点でフォローして欲しい案件に印をつけました。直属の上司も忙しいので主要なもの、鍵となるものだけに絞りました。次に私が実務担当者として仕事をもっているものはチームメンバーに振り分けられるものは振り分け、育休までの数ヶ月の間に一緒に入ってもらって育休期間中にサポートしてもらえるよう準備をしました。

駐在員としての業務は現地メンバーにはふれないので他の駐在員に根回しして対応してもらうように合意しました。

育休を取る当事者に向けたメッセージとしては、期間が長くなる人は特に簡単な業務標準を作っておくと引き継ぎがしやすくて良いと思います。短くてもスケジュールを作っておいたりあなたの脳内にしかない情報を資料に落とし込む作業はした方が良いなと思います。

上司の方は部下の育休が決まったら人員の計画や業務配分について検討し、対象者や残ったメンバーと話して何を優先するかを決めていく必要がありますね。ここは正直泥縄にならないように日頃から部下の多能工化を試みたり、チーム内での業務効率を高めておく必要もあると思います。

いざ、Come on baby!

育休取得に関する準備はこれでOKとなって、あとはいつでも出ておいで赤ちゃんという状態が何日か過ぎました。ちょっと油断している内に予定日より早い段階で妻が入院、そのまま出産に挑むことに。急でびっくりでしたが、周りの人に支えられて、無事に休みに入ることができました。念願の赤ちゃんとの対面、育児家事の奮闘については次回のnoteに譲りたいと思います。

今の段階で言えることは本当に育休を取ると決めて良かったなということです。赤ちゃんや家族と過ごせる時間は本当に幸せだし貴重なんです。新生児なんてあっという間に変わってしまいますからね。性別に関係なくこの幸せな時間を是非味わって欲しいなと思います。

育休をプッシュしてくれた妻にも、まだ小さいのに必死にお姉ちゃんを全うしようとする娘にも、合意してくれた上司達にも支えてくれるメンバーにも感謝感謝です。自分1人ではできない事が多いけど、多くの人に支えられて何とかやってます。子供の命を育てるって一人では本来できないことで多くの人の助けがいるんですよね。改めて実感しております。

私のnoteが育休を取りたいという男性に少しでもお役に立てたなら嬉しいです。ではまた次のnoteでお目にかかりましょう!


私たちにできることを一歩ずつ。

参考文献:

⇒第一子が生まれるときに読みました。基本的な知識が欠けていたなとその時も反省をしつつ、とても勉強になりました。女性から男性に理解を促す意味でこの本を渡すケースもあるようです。

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