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ゴンドラの歌

クラシックの歌い手は、「再生芸術家」だと私は思う。

楽譜の音符たちを音にするからだ。


仕事としては、しかし、それだけでは音楽にはならない。

文字の場合もそうであるように、

行間(音符間?)を読むという楽しさがある。


「ゴンドラの歌」という曲がある。

私は森繁久弥さんの歌だと思っていたが、

あるとき、ステキなアレンジになっている楽譜を見つけた。

・・・ほう、私たちにも歌えるのか?


思い立ち動画を検索してみると、

何人かの動画が上がっていた。


中でもとりわけ気に入ったのは、

ちあきなおみさんの歌だった。

拍子の取り方がほんとに素晴らしかった。

僭越ながら、日本人離れしていると感じた。


この曲は8分の6拍子である。

この拍子は、実は多くの日本人にとって新しい。


ヨーロッパでは、古くからダンスにも使われるが、

クラシック音楽としては、水の流れを表すことが多い拍子だ。

例えば、スメタナ作曲の「モルダウ」。

森の中の葉についたしずく一滴から、

大きな川の流れまでの情景を、8分の6拍子に乗せて表現している。


おそらくこれに習った日本の曲として、

「早春賦」や「「浜辺の歌」があげられるかと思う。


語りかけるような森繁さんのうたと、

ステキな感性のちあきなおみさんの歌。

音符的に同じ曲でも、創り上げてみるとこんなにも違う。


音楽の懐の深さである。

音符だけを再生するなんて、もったいない。

ホームズ君やポアロ氏のように、

楽譜からいろいろと拾い上げてみるのは本当に楽しい。


カラオケとはまた違った、音楽の楽しみ方である。

ぜひ、お奨めしたい。

ちょっとしたことに気づけばいいのです。

誰にでも、簡単に、楽しめます。



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